ヘレナ

 ある日のお昼時。

子供の楽しそうな声が響く、公園。

その公園の木下で、

賑やかな声がした。

 

「しゃちょ とうころもし おいしいよ!」

 

 拙い言葉。

まだ少し、正確では無い言葉に

「あぁ。そうだな。

美味しいな

椿。」

と渋い声で、椿を見る、

いずれ菖蒲か杜若の社長、

福智桃源。

 

「椿

それは、とうころもしじゃないよ。

とうもろこしだよ」 

 

 そう言うのは、

いずれ菖蒲か杜若の探偵、

辻竜胆

 

「りんど!

どーぞ!」

 

そういい、竜胆に林檎を渡す、椿。

「あぁ!

ありがとう!」

貰った林檎を

ひょいと、口に入れ食べる。


「うん!

美味しいよ!

ありがとう椿!」

 

「ぱんちゃん

どーぞ!」

 

と、熊猫のパペットに食べさせる

ふりをする椿。

そんな二人をみて、幸福な気持ちを、

お茶と一緒に飲む、桃源。


 木々の間から差し込む日光。

ぽかぽかの太陽。

椿と、竜胆の笑顔。

桃源の、穏やかそうな顔。

 

 その幸せに、忍び寄る影があった。


 お弁当を食べ終わった椿と竜胆。

二人は、

レジャーシートの上で仲良く

お昼寝をしていた。

 

「仲のいいな。

本当の兄弟のようだ」

 

 そういい、二人を眺める桃源。

その時、桃源の携帯機器に、

着信音が鳴った。

事務所の社員、武蔵野鉄線からだ。

 

「すまん。

鉄線からだ。

椿を少しの間頼む。」

 

と、竜胆に言い後を去る。


「任せてよぉ」


眠たそうな声で返事し、また、

眠りに落ちた。

 

 数分後

 

「ぱんちゃん 

 ないないった」

 

と言い、泣く椿。

その声に起き、竜胆が

「どうしたんだ

椿」

 と、心配の声を掛けたと同時に、


 「なるほどね。

つまり、椿のぱんちゃんが居なくなったと」

 

と、理解する。

椿の方を振り返り、手をバッと開け

「大丈夫!

この謎は、

この名探偵、辻竜胆が解決する!」

と、高らかに宣言した。

 

 その声に

「りんど!

ありがと!」

 

 と、笑顔でお礼する椿を見、

嬉しそうな笑顔を見せた。

 

 椿と一緒に捜査を開始する竜胆。

 

「まず初めに、現場をみてみよう!」

 

 といい、椿に問う。

「ここは、中華街だよね?

中華街は、

美味しい食べ物が沢山あったね!

例えば?」

 と簡単な質問をする。

すると大きな声で、

「ごま おたんご!」

  その応えを聞き、

にこっこりと笑顔を向け、

  

 「そうだね!

 美味しい胡麻団子があるよね。

椿も大好きってことは、椿の好きなあの子達も食べるよね?」

 

 と聞く。

「にゃーにゃーたち!」

と言う椿に、いい笑顔をし、

「そう!

普通、人間がいたら近づいて来ない!

なのに、

椿が持って寝てたぱんちゃんを持って

行ったってことは、

僕たちを信用してるってこと!

椿の、一番仲良しな猫さんは?」

と、目線を合わせ聞くと、

ハッとした顔で

 

「レッサー!」 

 

 と二人息ぴったりに答える。

「レッサーの所へ行くぞー」

と言う竜胆に合わせ

「ぞー!」

と答える、椿だった。

 

 カラスの鳴き声がした頃。

「すまない。

長引いてしまった」

と、急いで帰ってきた、桃源に

「二人で事件を解決してきたんだ。

凄いでしょ」

 と自慢げに言いながら、

椿の頭を撫でる竜胆。

 

 その竜胆を、

「よくやったな。」

と頭を撫で、褒める桃源。

それに小声で

「あったりまえだよ」

といい、笑う竜胆。

そして、寝ながら少し笑う椿。

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