「面倒臭いなぁ」

そういった、

少し背が高く大人びた天月が言った。

「おめぇ、気、張れよ」

と少し慎重そうに言う白雨。

あれから約二年後。

十六になった、天月と白雨。

天月はsauda-zi幹部の一人となっていた。

鬼釈迦との関係はさらに悪化し、

現在は二つ組織の戦争中だ。

ゴーストタウンとなりつつある

昔は栄えた街で。

 

「そんじゃぁ俺は、

ここらの雑魚共を殺るから、

おめぇはすっこんでろ」

そう言って高層ビルの上から

一人で飛び降りたかと思うと、


「異能力―――哀」

 

その瞬間辺り一面の空は

銃弾に埋まり、

瞬きをした瞬間に、

銃弾は地面に埋まり、

周りにいた人間は消え、

赤黒い彼岸花が咲いた。

 

黒の瞳には彼岸花なんかは映らず、

彼岸花の上にいる白雨凛だけが瞳に映った。

 

「雑魚どもが」

 

という声にはっと現実に引き戻され、

「やりすぎ。

少し情報を引き抜く為に取っておきたかったのに」

と文句を言いながら白雨の元へ降りる天月。

それに対しいつもの様に

「あ?ならてめぇがやれや。」

と強気の姿勢で返す凛。

「そっ。

ならやってみる?

バンビ君?」

と火花がちった瞬間、

二人の導火線に火をつけんがごとく

誰かの熱い視線を感じた。

その視線に目をやる。

すぐ近くのビルの上。

 

藍色の髪がなびく青年がいた。

「誰だぁ?てめぇ」

と毎度のように喧嘩を売る白雨凛。

それに対し

指先をピクリと動かした天月黒が、

「いや。

今回は相手が悪い。」

といつもよりやけに弱気に言う。

「は?なんでだ?」

と眉毛を少し上げ聞く白雨凛に対し、

 

「君の能力、なに?」

 

と耳元で藍色の髪が揺らめく。

白雨凛が息を呑み、

天月黒が白雨凛に目をやった瞬間、

 

鈴の音と共に

鈍い音がする。

白雨凛が

ビルの壁に

 

 

 叩きつけられた

衝撃音。

 

「痛ってぇなぁ、」

と言いながら服に付いたコンクリートを少し払いのけ、

 

「間一髪ってところだな、

ところで、

てめぇだれだ?」

 

と少し怒りの混じった声で聞く白雨凛と、

どこか神妙そう面持ちをする天月黒。

 

漆黒の羽と砂埃が、舞う。

漆黒の翼をもった藍色の髪の青年が、

先程まで白雨凛が立っていた場所にいた。

「私?私はね」

と口角を上げ名前を言うと同時に

 

「異能力――」

 

と言う天月黒の少し切羽詰まった声。

 

 

 それを遮るかのように

 

「やめろ」

 

と言う渋く通った声が響く

天月黒も、白雨凛も、青年

「sauda-zi、鬼釈迦。もうやめろ」

ともう一度言う声にチッと舌打ちをし、

飛び立つ藍色の髪の青年。

 その翼を、目にしながら

ぼっと立つ天月黒にたいし、

 

「おい急げ。

いずれ菖蒲か杜若の社長だ!

流石に分が悪ぃ。」

 

と言う白雨凛のバイクの後ろに跨り、

砂埃とガス臭さを撒きながら消えていった。

 

 sauda-zi本部へ戻る途中の高速道路。

「呆気ねぇなぁ。」

という凛と、

少し神妙そうな面持ちの黒。

「なぁ、

おめぇはあいつのこと知ってんのか?」

と聞く白雨凛に重い口を開くように

「あぁ。もちろん知ってるとも」

と答える天月黒。

興味が入り交じった感情を抱きながら

「で、誰なんだ?」

といつもとは違うように聞く白雨凛に対し

「あいつは、鬼釈迦の、

雲雀鴉だよ」

と言う天月黒。

それにあっけらかんに

「今、sauda-ziと戦争をしている所のやつだろ?

なんだ。

ただの

異能持ちの雑魚じゃねぇか」

と言う白雨凛に少し付け加えるように

「そこの若頭だよ」

と言った瞬間瞳孔をばち開き、

「若頭だ?

あそこの若頭は、

二年前ぐらいに異能の暴走で、

死んだんじゃねぇのか?」

と叫び少し口を開け後ろを振り返り

天月黒の目を見つめた。

それに対し

「凛。前見なよ。事故するよ」

と言う言葉をかけいつも通りにまた話し始めた。

 

「確かに二年前、

あそこの若頭は死んだ。

だけど、その後すぐにさっきのやつが

鬼釈迦に入り、

若頭の座に着いた。」

 

と淡々と言う。

それに対し次は、

 

「そんな噂も聞いた事すらねぇよ。

ボスからも聞いた事ねぇ。

てか、あいつは誰なんだ?」

 

と少し冷静さを取り戻した白雨が聞く。

すると右肩に頭を少し倒し、

顎に指を当て、

「そうだね。

あいつは、雲雀鴉。

二年前に、

あそこの頭首の能楽燕に拾われて、

若頭の座に着いたんだ。

それしか知らないよ。」 

と言う天月。

「じゃぁ

なんで

てめぇは知ってんだ」

と冷たく言い返す白雨。

 

「それはね、

私のトモダチが教えてくれたんだよ」

 

と本調子に戻りまた、語り始めた。

「第三構成部隊の幹部に

黒崎安助

っていう人いるでしょ!

その友達が、

森さんの頼みで調査したところ…」

と少し溜め

はっと息を呑み

 

「若頭の座に着いたことがわかったんだって!」

 

と何故か自慢気な表情をしている黒に

少し口角が緩んだ顔で

 

「すげーじゃねぇか

お前の友達」

 

と応える凛。

それに満足気に

「そうでしょ」

と笑う黒。


丁度sauda-ziの本部に着いた二人は、

バイクを降り、

自動扉の中に入っていった。

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