第2話 執事とメイドは出発してから…
衝撃の日を、学園に向かう準備を終えて出発の日になった。私たちは大勢の使用人に見送られ屋敷をあとにした。馬車のなかで…
「エミリーお嬢様。3日の間は簡易テントで過ごしていただくことになります。簡易的なお身体や髪の手入れはできますが、お風呂はないのでご容赦ください。そして王都のほうに着きましたらハロルド様とマロン様も住んでおられる別邸に行き入学の日を待つのみになります。質問はございますか?」
「無いわ。ありがとね。カノン。」
「お役に立てて光栄です。」
まぁ、ほとんどカノンが説明してくれた通りの流れね。ちなみにハロルドとマロンと言うのは私の兄と姉に当たる存在ですわ。ハロルドお兄様は学園の3年生でマロンお姉様は2年生。
2人共運命の相手を学園で見つけたとかで…交際中らしい。羨ましいは…まぁ、私には私を愛してくださる婚約者の方がいるのですけど。
「お嬢様もう少しで夜営の場所に着きます。」
「カノン。王都に着いた2日目って…」
「お嬢様の婚約者であり、先についていらっしゃる隣国、エンジル王国の第1王子、ミカエル王子に手紙を書いて頂きます。」
「そうよね…ミカエル王子は良いのだけれど社交辞令だらけの手紙を書くの…嫌になるのよね。」
「そこは辛抱してください。」
カノンと談笑していると馬車が止まり馬車の扉が2回ノックされる。そして扉が開きメルトが言う。
「夜営の場所に着くのは少し遅れそうだ。野盗に囲まれている。…気配的にそろそろ襲ってくるころだろうからエメラルドとお嬢様は馬車の中に。」
「メルト。蹴散らしちゃいなさい。生死は問わないは。」
「了解しました。」
「メルト様…その…お気を付けて。」
「あぁ」
その少しの会話の後、メルトが扉を閉めた。外からは戦闘音が聞こえ始めた。
「メルト様は大丈夫でしょうか…強いというのはお噂程度に聞いたことはあるのですが。」
「あら?知らなかったのかしら?メルトはうちの国でも恐らく一番強い。それくらいに優れた魔法使いであり執事よ。」
「…その、疑っているわけではないのですが…なぜそのような方が王族ではなく準王族のクリスタル家の執事に?」
「それは…」
私が理由を話す前に扉が開く。
「聞いても愉快な話ではない。あまり深入りしないことを勧める。」
「ご苦労ね。メルト。それじゃあ夜営の場所に向かいましょう。」
「はい。」
「終わったのですね?メルト様。それで野盗の方々は…」
「殺した。道端に放置していたらそのうち魔物が食らうだろう。」
「お怪我は?」
「俺がこの程度の奴等に怪我など付けられることはない。」
「…安心しました。引き留めて申し訳ございません。メルト様。馬車の方、再びお願いいたしますね。」
「あぁ、任された。」
メルトが静かに扉を閉めて馬車が動き出す。
「ねぇ、カノン?せっかく一緒に夜営するんだもの。夜は恋バナでもしましょう。」
「えぇ、是非、私にお嬢様とミカエル王子の恋バナ聞きたいです。」
「そうじゃ…まぁ、いいけど。」
そうこうしているうちに夜営の場所に着いた馬車が止まり、メルトが夜営の準備を始める音が聞こえてくる。
「お嬢様…その…メルト様の手伝いに行って来てもよろしいでしょうか。」
「やめときなさい。昨日の昼みたいになるわよ。」
「お嬢様、見ていらしたのですか!?うぅ…恥ずかしい…。」
カノンもエメラルド家の次女という立場で、令嬢なので異性と手を繋ぐことは愚か、重ねたこともないのである。その為、初々しく可愛らしい反応をしているのである。
私と違ってミカエル王子の様な婚約者も専属メイドの立場なのでいらっしゃらない。「自分の好きな人のお嫁さんに行きたい。」と言う貴族らしくない理由で婚約者を作らない代わりに私の専属メイドとして働いているカノン。きっと恋もなにもかもメルトが初めてなのでしょうね!!
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