うちの執事とメイドはできるかもしれない

@2121501

第1話 うちの執事とメイドは…

 ジュエリ王国の外れにありながら絶対権力を誇る貴族の鑑のような貴族。クリスタル家。準王族に当たるこの家系の者は誰も彼も超一流。


「それで社交のためにもその家の一人娘の私が学園に行かなければいけないのはわかるわ。王都の別邸に移らなければならないのも…でも…


行くまでに3日かかるのは何とかならなくて!?」


 私、エミリー・クリスタルは共に出立の準備をする専属執事とメイドに叫ぶ。と言うか叫ばずにはいられない!長すぎる!

その期間お風呂入れないのはどうかと思う!


「お嬢様あまり叫ばれると頭だけではなく喉も無くなりますよ。」

「それ、遠回しに能無しって言ってるわよね!!」


 苦言…と言うか罵倒を飛ばしてきたのは私の専属執事のメルト・ティフォール。背は普通より少し高く、綺麗な銀髪、顔もクールなイケメンさん!おまけに声も良い!

この意地悪な性格と無愛想がなければ…。


「あまり叫ぶと学園に着く前に喉を痛めてしまいますよ。一旦休憩しましょうか。南方より珍しい茶葉を仕入れましたので。」

「そうね…ありがとうカノンカノンはずっと私の味方ね。」


 私に優しいひと言をかけてくれるこのメイドは私の専属メイドのカノン・エメラルド。おしとやかで優しい私の聖女的存在!!一応うちの分家にあたるエメラルド家の次女で可愛い私の従姉妹に当たる存在!


「エメラルド。俺が茶の準備をしてくるからお嬢様のお側にいて差し上げろ。」

「感謝いたします。メルト様…その、しかし…」

「どうした。エメラルド。何か他にも用件があるならそれも済ませてくるが…」

「いえ!何でもありません。お茶の方お願いしますね。」

「あぁ」


 仕事の中での何気ない会話。それを終えるとメルトは扉を閉めて準備に向かってしまった。私のカノンがあの冷たい態度のせいで落ち込んでるじゃない!!

カノン。安心してメルトは誰にでもあんな感じだから!!


「お嬢様。申し訳ないのですが…その…明日の出発時の馬の確認の方をついでにメルト様にお願いして参りたいのですが…しばしお側を離れてもよろしいでしょうか?」

「そんなことしなくてもいいわよ!帰ってきたメルトをもう1回行かせてやりましょう!」


 あんな無愛想な男、使い回してしまえばいいのだわ!


「しかしもう昼ですので…これ以上遅くなってしまいますと明日に響く可能性もございますので…」

「わかったわ。許可するから言ってきなさい。」

「感謝いたします。」


 そう言ってカノンは部屋を出て行った。…って!カノンったら肝心のチェックリスト忘れてるじゃない…。

仕方がないので…ほんとに仕方がなくですわよ?かわいいかわいい私のカノンの為に届けに行ってあげますか。

 私が自分に言い訳をしながら調理場の前まで来たとき中から話し声が聞こえてきて思わず曲がり角に隠れてしまった。


「メルト様。お嬢様にあまり悪口言ってはいけませんよ。」


 私のためにそれを言うために行ってくれたの!?カノン…流石は私の専属メイドですわね。感動いたしましたわ。


「…善処する。それで何の用でここに?」

「メルト様一人では大変かと思いまして…その…僭越ながらお手伝いにやって参りました。」

「そうか。なら…」

「私はその茶葉の…」


 茶葉やクロスの用意をしながら2人の声が重なり…調理場で高い戸棚に手を伸ばす2人の手が重なった。


「きゃ!…えーと、その、申し訳、ございません…。うぅ…」


 カノンの顔が真っ赤に、そして目が潤んで、恥ずかしそうに顔を手で隠す。


 え!何その反応!私の知らないカノンですわ!しかも…かわいい!まさか…まさか!もしかしてカノン…メルトのことが好きなのね!!


「あぁ、こちらこそすまない。他意は無かった。許してくれ。」

「いっ、いえ!その…うぅ…私の不注意でもあるので…その…お互い様です。」

「そう言ってもらえると助かる。」


 …これはカノン!私は応援するわよ!


 こうして知らぬ間に専属メイドの意外な一面を知ったのであった。


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