第3話 執事とメイドは焚き火のそばで…

 髪や身体の手入れも終わり、私もすっかり寝入ってしまった夜のこと…私は隣で寝ていたカノンの起きる音で目が覚めた。当然日も昇っていない真夜中の暗がりの中でのこと。


「まだ起きていらしたのですね。」


 焚き火の前に座っているメルトに寝間着のまま話しかけるカノン。


「俺は戦闘要員も兼ねている。夜襲されたら俺の問題になる。」

「それでも少しは寝ないお身体に悪いですよ?…隣失礼しますね?」


 そう言ってメルトの横に座り込むカノン。


「星、綺麗ですね。焚き火のおかげで暖かいですし。意外と落ち着きますね。」

「眠いならテントに戻って寝てろ。」

「いえ…眠くはないのですが…少しメルト様とお話がしたくて…ダメ、ですか?」


 カノンの上目遣い。それに猫撫で声に近しい声。女の子の顔してるわね。カノン。いいわよ!そのままメルトを落としてしまいなさい!


「好きにしろ。」

「ありがとうございます。…ところでその…メルト様は3日間ずっと起きてらっしゃるつもりですか?」

「あぁ、俺の魔法は寝なくても活動できるようにする効果も持ってたりする。故に、寝なくとも問題ない。」

「そうですか…少し心配にはなりますが信じます。しかしメルト様はそうなると負担も多くなるのでは?」

「そうだな。しかし差して変わり無い。」

「そうですか…それでメルト様。お一つ質問よろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「メルト様は…」


 私、まだまだ2人の会話を聞いていたいのですが少々眠くなってきてしまいましたわ。今日はあきらめて…ZZZ


 次の朝目を覚ますと…カノンは横で寝ていた。昨日はあのまま眠りについたのね。折角なら一晩くらい…ってなんかいい匂いしてきたわね。


「カノン?起きて?朝食の準備ができそうよ?」


 そう言ってカノンの肩を揺らす。


「んんぅ…はっ!おはようございますお嬢様!申し訳ございません。寝坊してしまいました…。」

「気にしなくていいわ。メルトが朝食の準備をしてくれているようだし行きましょう?」

「は、はい。」


 身支度を整えテントを出るとメルトの用意した簡易的な朝食が置かれていた。


「おはようございます。お嬢様。朝食のご用意はできておりますのでお席に着いてくださいませ。」

「ええ、ありがとねメルト。」

「一人じゃ何もできないお嬢様のためについてきてますから。」

「また嫌味を…」

「エメラルドもお嬢様と一緒に朝食を取ったらどうだ?」

「むぅ…メルト様。いえ…メルト、くん。その…えっと…」


 何かを言いたげにメルトの方を見ては真っ赤に染まった顔を背けるカノン。なにそれ…かわいい!と言うかメルト、くん?


「あぁ、そうだったな…カノン。名前で呼んでほしいのだったな。慣れないな名前で呼ぶのもくん付けで呼ばれるのも…」

「そ、そうですけど!あんまりはっきり言わないできださいませ。…恥ずかしいので。」

「そうかすまない。…しかしなぜ名前で呼んでほしいなどと…昨日はそういうだけ言ってテントに戻って行ってしまったから理由を聞きそびれた。」


 この鈍感メルト!あんたのことが好きだからでしょうよ!!


「わ、わかりません。しかし…その名前で呼んでいただくたびに嬉しく?なって行くのです。」

「距離感的な問題か…まぁ、それで良いと言うなら俺も気にしない。」

「は、はい。これからもお願いしま、す?」

「あぁ。」


 …なるほど理解したわ。カノンは100%メルトのことが好き。これは変わらないわ。でも…好きであることを自覚してないどころか恋心とすら思っていないのね。

そして問題はメルト!気にしなさすぎ…と言うかもうちょっと感づいてあげなさいよ!女の子がここまでしてるんだから!!

更に欲を言うと昨日の夜まで時間を戻してカノンのおねだり見たかった!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る