第7話:四人の共有財産

 学園の時計塔が、放課後の終わりを告げる重厚な鐘を六度鳴らした。その音は、一般生徒にとっては自由な夕刻の始まりを告げる合図だが、特待生ハナ・シュタインベルグにとっては、世界が「四人の女神」という名の狭い檻へと収束していく死刑宣告に他ならなかった。


 ハナは、四人に囲まれ、寄宿舎の最上階にあるリア・ド・ラ・ヴァリエールの特別私室へと連行されていた。先頭を歩くのは、冷徹な騎士の如き足取りのリア。その背後からは、ハナの腰に手を添え、まるで壊れ物を運ぶように優しく、だが確実に逃げ道を塞ぐノア。右側には、ハナの腕を掴み、時折その柔肌に自身の尖った爪を立てて愉悦に浸るルナ。そして左側には、一歩一歩の歩調すら管理するように、冷徹な眼差しでハナの歩容を観察するミナ。


「……あ、ぅ……っ」


 ハナの喉から漏れるのは、もはや意味をなさない湿った喘ぎだ。『共有』の成立以来、ハナの意識は常に霧の中にあった。理性の糸は、四人のヒロインが放つ強烈な執着の引力によって、一本、また一本と引き千切られている。


(……ああ。……帰ってきた。……私の、地獄。……私の、……祭壇)


 リアの私室の奥に隠された、大理石造りの広大なバスルーム。そこは、ヴァリエール公爵家の財力が惜しみなく投じられた、文字通りの「聖域」だった。扉が開かれた瞬間、熱を帯びた蒸気と共に、数種類の高価な香油が混ざり合った、頭を狂わせるような芳香がハナを包み込む。


「……さあ、汚れを落としましょうか。ハナ、自分から脱ぎなさい。私の手を煩わせるな」


 リアの命令は、冷たい氷の刃となってハナの背筋を貫いた。ハナは震える指を制服のボタンに掛けた。だが、昨夜からの蓄積された疲労と快楽の余韻で、指先に力が入らない。もたつくハナを見て、ルナが鼻で笑いながら、乱暴にその手を退けた。


「もー、遅いわよ! あんた、わざと私たちが脱がすのを待ってるんでしょ? エッチな特待生さんなんだから!」


 ルナの指が、ハナの制服を強引に引き剥がす。布地が擦れる音が、静かなバスルームに異様に大きく響いた。


 全裸になったハナは、浴室の中央に置かれた、純白の大理石の椅子に座らされた。  そこからは、ハナにとっての「部品としての洗浄」という名の蹂躙が始まる。四人は役割を分担するかのように、ハナの周囲を取り囲んだ。


 まず動いたのは、リアだった。彼女は、最高級の馬毛で編まれたブラシを手に取ると、ハナの背中に冷たい湯を浴びせ、容赦なくその肌を擦り始めた。


「昨夜、ノアの甘ったるい匂いが染み付きすぎているわ。……私の不快感が消えるまで、その薄汚い皮膚を磨き上げてあげる」


 リアの洗浄は、もはや「洗う」という次元を超えていた。ブラシの毛先が、ハナの繊細な肌を赤く腫れ上がらせるほどに強く、そしてリズミカルに叩きつける。ハナは、大理石の冷たさと、背中を走る激痛に身体を硬直させた。


「あ、ぐ……っ、リア、様……っ、痛い、です……っ」


「痛い? 結構なことだわ。……その痛みが、あなたの神経に私の存在を刻み込むのだから」


 リアの暴力的な愛撫に呼応するように、ノアが正面からハナの膝元に跪いた。ノアは、黄金色の聖油が満たされた器を手に持ち、それを自身の滑らかな掌に広げた。


「ふふ、リアちゃんは相変わらずね。……そんなに強く擦ったら、ハナちゃんの柔らかい肌が傷ついてしまうわ。……さあ、ハナちゃん。私の『癒やし』を受け入れて。リアちゃんの痛みを、全部私が溶かしてあげる」


 ノアの掌が、ハナの足首からふくらはぎ、そして太ももへと滑り上がってくる。リアのブラシが「剥奪」の感触なら、ノアの聖油は「浸食」の感触だった。熱を帯びた油が、毛穴の一つ一つに染み込み、リアの与えた痛みを、不気味なほどの快感へと変換していく。


(あ、ああ……っ! リア様の痛みが、ノア様の油で……ぐにゃぐにゃに溶けていく……っ。……これ、解釈違い……っ。……でも、私の身体が、この二つの矛盾した刺激を……同時に求めて、震えてる……!)


 ハナの脳内では、壊れかけたオタクが、自嘲気味に、そして恍惚として悲鳴を上げていた。


 そこに、ルナが横から割り込んだ。彼女は、ハナの首筋から肩にかけて、石鹸の泡を塗り広げると、まるで獲物を検分する獣のような瞳で、昨夜自分がつけた噛み痕を見つめた。


「……あーあ。ノアの油のせいで、私のつけた『しるし』が薄くなっちゃってる。ねえ、ハナ。あんたの身体は、誰のものか忘れてないわよね?」


 ルナは、ハナの鎖骨に、今度は本気で血が滲むほど深く、牙を立てた。


「ひぅ、あぁぁぁっ!」


 鋭い痛みがハナの全身を貫き、腰が跳ねる。だが、その腰を後ろからリアが、前からノアが、逃がさないようにしっかりと固定している。


「……ルナ様、過剰な出血は管理上好ましくありません。……拭ってください」


 ミナが、銀のトレイを携えてハナの横に立った。彼女はハナの髪を一本ずつ丁寧に指先で検分し、頭皮に異常がないか、寄生虫や汚れが残っていないかを、事務的な、だが執拗な手つきで調べていく。


「……心拍数、140。体温、37.8度。……ハナ様、あなたは現在、四人の令嬢からの過剰な刺激によって、脳内物質が異常分泌されています。……今から、私の『規律』によって、その高ぶりを冷静に、論理的に沈静化させます」


 ミナは、氷水で冷やした金属製のヘラを取り出すと、それをルナが噛み付いたばかりの、熱を持った傷口に押し当てた。


「あ、が……っ、冷た……っ、い……っ」


 灼熱と、極寒。暴力と、慈愛。混沌と、規律。


 ハナの五感は、もはや正常な判断能力を失っていた。四人がかりで身体の隅々までを「洗浄」され、磨き上げられ、刻印され直される。それは、ハナ・シュタインベルグという個体を抹消し、「四人の共有財産」としての新しい皮を被せるための、神聖で醜悪な儀式だった。


「……さあ、綺麗になったわね、ハナ。……ここからは、もっと深いところまで、私たちの『所有権』を再定義してあげましょう」


 リアが、ハナの耳元で残酷な死刑執行の猶予を告げた。ハナの身体は、お湯と香油でピンク色に上気し、自身の意志とは無関係に、次の蹂躙を求めて、大理石の上で情けなく震えていた。



 ◇



 湯浴みを終え、四色の香油が混ざり合った「支配の香り」を纏わされたハナは、リアの寝室に鎮座する、広大な天蓋付きベッドへと運び込まれた。最高級のシルクシーツの冷たさが、上気した肌に触れる。だが、その冷たさを感じる余裕すら、今のハナには残されていなかった。


 ハナの四肢は、ベッドの四隅から伸びた、柔らかいが決して千切れないサテンの帯によって、大の字に固定された。それは抵抗を許さないためではない。四人が同時に、ハナという「共有財産」のあらゆる部位に、一寸の無駄もなくアクセスするための、合理的な配置だった。


「……いい眺めね。昨夜よりも、ずっと『馴染んで』いるわ」


 リアが、ベッドのヘッドボード側に立ち、ハナの頭頂部から見下ろすようにして言った。彼女は、ハナの両頬を自らの掌で挟み込み、親指でハナの唇を乱暴に割る。


「あ、ぁ……っ、りあ……さま……」


「鳴かないで。今から、貴様の神経を一本ずつ、私たちが望む形に『調教』してあげるのだから」


 リアは、ハナの口内に自らの指を深く突き入れ、喉の奥を支配した。それは、ハナが勝手な言葉を紡ぐことを禁じるための、物理的な沈黙の強制だった。


 蹂躙は、四方向から同時に、そして全く異なる質感を伴って開始された。


 ハナの右側には、ルナが陣取った。彼女は獣のような身のこなしでベッドに這い上がると、ハナの右腕の付け根から指先までを、自身の舌で舐め上げるようにして「洗浄」し始めた。


「……ん、ハナ、あんたのこの指……さっきミナが綺麗にしたばっかりなのに、もうこんなに震えてる。……怖いの? それとも、私に噛まれるのが、そんなに気持ちいいの?」


 ルナは、ハナの指先を一本ずつ、自身の口腔へと招き入れ、甘噛みをする。骨が軋むような鋭い痛みと、粘膜の熱。ルナの「激情」という名の毒が、ハナの右半身をじりじりと侵食していく。


 対照的に、ハナの左側からは、ノアの「救済」が忍び寄る。ノアは、ハナの脇腹から太ももにかけて、温められた最高級の蜜蝋を少しずつ垂らしていった。


「ふふ、ルナちゃんは相変わらず野蛮ね。……ハナちゃん、そっちは痛いでしょう? ……でも、こっちはこんなに温かくて、柔らかいわよ。……さあ、私の愛に意識を委ねて。……リアちゃんの暴力も、ルナちゃんの痛みも、全部この温かさで白く塗り潰してあげる」


 ノアの細い指が、蜜蝋を肌に塗り広げながら、ハナの最も敏感な場所に、愛撫という名の「洗脳」を施していく。リアの指に喉を塞がれているハナは、逃げ場のない快楽に、声にならない悲鳴を喉の奥で転がした。


 そして、ハナの足元。ミナは、琥珀色の瞳を眼鏡の奥で冷徹に光らせ、ハナの脚を自身の肩に担ぐようにして固定した。


「……心拍数、さらに上昇。165。……被験者の脳内では、現在、エンドルフィンとドーパミンが臨界点を超えて分泌されています。……リア様、ノア様。これ以上の同時刺激は、個体の精神崩壊を招く恐れがありますが……『規律』として、私がこのまま、彼女の感覚を『限界』まで引き上げ、強制的に再起動させます」


 ミナは、冷たい金属製の器具——それは生徒会の機密管理に使われる、微弱な電流を帯びた「検分棒」だった——を、ハナの柔肌に押し当てた。


「ひ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 電流が神経を駆け抜け、ハナの背中が弓なりに反る。だが、その身体は、リアの指、ルナの牙、ノアの蜜蝋、そしてミナの電流によって、完全に四方向から「縫い止められて」いた。


(……あ。……あ、ああああ……っ!!)


 ハナの脳内では、もはや「解釈違い」という言葉すら意味をなさなくなっていた。  四人のヒロイン。それぞれが単体でも、一作品を背負って立つほどの強烈な個性と魅力を持つ、ハナの「推し」たち。その四人が、今、自分の身体という名の小さな舞台の上で、互いの独占欲を、執着を、狂気を、これでもかとぶつけ合っている。


(……これ、公式設定では『四人の友情の誓い』って呼ばれてた、あのイベントの、裏側……? ……違う。……そんな綺麗なものじゃない……。……これは、私という生贄を奪い合い、汚し合い、そして四人で『一つ』に統合しようとする、禁断の儀式なんだ……っ!)


 リアが馬乗りになり、ハナの口腔内へと指を挿れる。呼吸ができなくなり、涙が溢れる。


 リアが、ハナの喉から指を抜くと、代わりに自身の唇を、ハナの震える唇に押し当てた。その接吻は、甘い愛の告白などではなく、自身の肺にある空気をハナの肺へと強引に流し込む、窒息寸前の「所有権の再確認」だった。


「……私の目を見ろ、ハナ。……今、貴様を壊しているのは、私だ。……そして、この女たちだ。……貴様の記憶のすべてを、私たちのこの『共犯の夜』で埋め尽くしてやる」


「そうよ、ハナちゃん。……もう、自分の名前も、自分が誰だったかも、思い出さなくていいの。……あなたはただ、私たちの色に染められるだけの、透明な器になればいい……」


 ノアの囁きが、リアの接吻の合間を縫ってハナの脳へと浸透する。ルナがハナの首筋を貪り、ミナがハナの感覚の「目盛り」をさらに一段階、冷徹に引き上げた。


 視界が、火花の散るような白濁に染まる。ハナは、自身の理性が、尊厳が、そして「ハナ・シュタインベルグ」という個としてのアイデンティティが、四人の令嬢という巨大な波に呑まれ、砂の城のように崩れ去っていくのを感じた。


 それは、究極の絶望。そして、オタクとして、これ以上の「幸せ」などこの世に存在しないのではないかという、身を切るような背徳の歓喜だった。


「あ、は……っ。……みんな、みんな……だ、いすき……っ。……わたしを……ころ、して……っ!!」


 ハナの口から、ついに、一人の「人間」としての最期の言葉が零れ落ちた。四人の令嬢は、その言葉を聞き、獲物を完全に仕留めた狩人のような、冷酷で艶やかな微笑みを浮かべた。



 ◇



 深い闇が、窓の外で白濁した青へと移り変わる。天蓋付きのベッドの上、四人の令嬢による凄惨なまでの「共有」の嵐が過ぎ去った後、そこには、汗と香油にまみれ、虚ろな瞳で天井を見つめるだけの「肉の塊」が横たわっていた。


 ハナ・シュタインベルグの意識は、昨夜の過剰な刺激によって、一度完全に死に絶えていた。指先一つ動かす気力もなく、全身の筋肉は弛緩しきっている。だが、四人の主君たちは、彼女に安息を与えるつもりなど毛頭なかった。


「……朝よ、ハナ。……起きなさい」


 リアの冷徹な声が、ハナの耳元で響く。彼女は既に夜着を脱ぎ捨て、一分の隙もない乗馬服姿で、ハナを見下ろしていた。その手には、昨夜の淫靡な感触を微塵も感じさせない、冷たい氷水に浸されたタオルが握られている。


「ひ、あ……っ」


 リアがそのタオルを、ハナの熱を持った顔面に押し当てる。激しい冷たさが、強制的に意識の断片を繋ぎ合わせ、ハナに「現実」という名の絶望を思い出させた。


「……まだ、終わっていないわ。……これから、あなたが今日一日、学園で『模範的な特待生』として振る舞うための、最終的な調整を行うわよ」


 リアは、ハナをベッドから引きずり出すように立たせると、再び、今度は朝の冷気が漂うバスルームへと連行した。


 朝のバスルームで行われる「湯浴み」は、昨夜のそれとは目的が異なっていた。  それは、昨夜刻み込まれた無数の「所有の痕跡」を、一般生徒の目に触れないよう、巧みに隠蔽し、塗り替えるための、ミナの指揮による「偽装工作」の儀式だった。


「……ハナ様、動かないでください。……これより、肌に残った鬱血キスマークの消去、および神経の沈静化を行います」


 ミナは、琥珀色の瞳でハナの全身を走査するように見つめ、特殊な冷却ジェルを指に取った。彼女は、ルナが首筋に執拗に残した噛み痕や、リアが手首に刻んだ縄痕に、そのジェルを丹念に塗り込んでいく。


「あ、ぅ……っ、冷た……い……っ」


「……当然です。このジェルには、血管を収縮させ、痛覚を麻痺させる成分が含まれています。……これで、あなたが講義中に不意に昨夜の快楽を思い出して、無様に震えることを防ぐことができます」


 ミナの指先は事務的で、一切の情を排していた。だが、その指がハナの肌をなぞるたびに、ハナは「自分という存在が、ミナの管理システムの一部として、完全に組み替えられている」という恐怖を、改めて突きつけられる。


 そこへ、ノアが純白のローブを羽織り、温かいミルクの入った銀杯を手に現れた。


「ふふ、ミナちゃんは相変わらず徹底しているわね。……さあ、ハナちゃん。仕上げにこれを飲みなさい。……これは、あなたの瞳に『光』を戻し、学園の誰もが、あなたが昨夜の地獄を経験したとは気づかないようにするための、魔法の聖水よ」


 ノアは、ハナの顎を優しく掬い上げ、その飲み物を口に流し込んだ。それは、昨夜の甘い毒とは異なり、脳を無理やり覚醒させ、偽りの多幸感を与える香味がした。一口飲むごとに、ハナの瞳に焦点が戻り、頬に朱が差す。だが、その瞳に宿ったのは、本物の生命力ではない。ノアが描いた「理想的な特待生の表情」という名の、精巧な仮面だった。



 ◇



 身なりを整えられたハナは、再びリアの私室の鏡の前に立たされていた。鏡の中に映る自分は、驚くほど「いつも通り」だった。ボロボロにされたはずの制服はミナの手によってアイロンがかけられ、ルナがつけた首筋の痕は、ノアが選んだ幅の広いベルベットのリボンによって、完璧に隠されている。


「……仕上げだ。……ハナ、これを着けろ」


 リアが、トレイから一つのアクセサリーを取り出した。それは、ヴァリエール家の家紋が小さく彫り込まれた、銀の細いチェーンのブレスレットだった。だが、その裏側には、ミナが施したマイクロチップと、ノアの「祈り」が込められた小さな宝石が埋め込まれている。


「……これは、貴様を繋ぐ首輪だ。……学園にいる間、これが貴様の肌に触れている限り、貴様は一瞬たりとも、自分が誰の飼い犬であるかを忘れることは許されない」


 リアが、ハナの左手首にその鎖を巻き、錠をかけた。カチリ、という小さな、だが重厚な音。その瞬間、ハナの心臓が大きく一度、跳ねた。


「……うん、似合ってるわよ、ハナ。……放課後、またここに戻ってくるまで、しっかりとお留守番をしていなさいね?」


 ルナがハナの耳元で囁き、その耳たぶを最後に一度、強く噛んだ。


 痛み。冷たさ。偽りの光。そして、重い鎖。


 ハナ・シュタインベルグは、一礼して、四人の令嬢の部屋を辞した。一歩踏み出すごとに、服の下でミナの冷却ジェルが肌を刺し、手首の鎖がチャリと音を立てる。


(……ああ。……私は、戻らなきゃ。……教室へ。……いつもの、モブとしての日常へ)


 学園の回廊を歩くハナの姿を見て、すれ違う生徒たちは囁き合う。


「見て、あの特待生さん。……なんだか、昨日よりもずっと『綺麗』になったと思わない?」


「本当。……聖女様に目をかけられたせいかしら。……なんだか、神々しいほどだわ」


 ハナは、その言葉を遠い世界の出来事のように聞きながら、薄く、完璧な微笑みを浮かべた。


 誰にも見えない。自分の肌の下で、四人の令嬢の情念が、今もなお溶岩のように渦巻いていることも。自分がもう、彼女たちの命令なしには、瞬き一つできない廃人であることを。


(……解釈違い。……そんな言葉、もうどこにもない。……あるのは、四人の神様が創り上げた……私という名の、美しい……抜け殻だけ……)


 チャイムが鳴る。ハナは、四人の令嬢が待つ「放課後の再会」までの、果てしなく永い、偽りの日常へと足を踏み入れた。


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