「白き星」を渇望するバフ王の白島さん

野ざらし 厳莘

プロローグ

<尊敬する各位の旅行者様……東京千代田へ、ようこそ……>


プレーヤーから嘶れるようなアナウンスがループする。バッテリー表示はもう赤く点滅し始めている。


足は鉛のように重い。一歩踏み出すたび、膝がギシギシと震える。だけど、止まってはいけない。絶対に。


駅にはスーツケースを引いて行き来する人々がいて、大半は外国人旅行者か日本人の旅人だろう。


空気には鼻をつくような濁った匂いが漂い、胃がむかむかする。


私は手を上げてキャップのツバを押さえ、マスクを少し上に調整する。


私にとって、無事に住まいに辿り着くだけで、それでいいのだ。


「お嬢様!」

「シャオユエ、お急ぎくださいませ?」

「お嬢様、これが今後日本で必要となる資料でございます。」


「ん?」


私はシャオユエが差し出す紙を受け取る。生存資料?何それ?


紙にはこう書かれていた。

白島 星時

日英混血帰化生徒

15歳

日本・東京・千代田……


これはまさに私の個人資料じゃないか!

「だから?」


「お嬢様、住まいに到着されてから帽子をお取りくださいませ。」

「ああ、わかったわ。」


おっと!そうだ!

こっそり教えてあげるね!

高校!女子高生なのよ!

高校一年生の女子高生よ————!


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