第9話 犯罪者への尋問

 アルミナ王国では元王太子への尋問が始まっていた。

「貴様!帝国に侵入して奴隷狩りをしたという話だが、いつからだ!?とっとと答えろ!」

 ビシッと鞭の音がする。

「な、何をする!俺は王太子!王族だぞ!不敬な!」

「まだそんな事言ってんのか?廃嫡、除籍されて王族を名乗るだけで不敬になる極悪人が!」

「俺にはアルベスタ教がバックに付いているのだぞ!教皇に連絡しろ!」

「お、早速お仲間の名前を出してくれたか。

 …にしても、いきなり大物だな。

 おい、教皇サマを『ご丁重におもてなし』すべく、迎えに行ってこい。ここの隣が空いてるからちょうど良いだろ。

 そっちのお前は陛下に伝言してこい。『教皇サマをこちらで丁重におもてなしします。』とな。理由を聞かれたら『逃亡阻止のため』で充分だ。まぁ、騎士団長のオレからの伝言の時点で察してくれるとは思うがな。」

 騎士団長の命令で二人の騎士が出ていった。

「で、実際いつからのことなんだ?

 もしかして覚えていないくらい昔から、ってことなのか?この城の地下に奴隷が置かれ始めたのは10年くらい経つはずだが…もしかして、その頃からってことなのか?

 その当時の奴隷は一人も残っていないし、先月には10人くらいいたと思ったが、今いるのは3人。それも先月にはいなかった者たちだな?いなくなった奴隷はどこにやったんだ?

 で、なんでアルベスタ教の教皇が後ろ盾になったというんだ?もしかして、奴隷がいなくなったことも関係してるのか?」

 両手を壁に鎖で繋がれたグース元王太子は、壁に手をついた状態で尻を突き出す格好に固定されていた。

 そして質問のたびに鞭で尻を叩かれる。

「ど、奴隷は潰れたり壊れたりしたから、処分して新しいのに入れ替えてるんだ。当たり前だろうが!

 少しは教皇にも融通したがな。彼奴は獣人の男の子供を欲しがったからな。俺様は若い女だけで充分だから、男は譲っても問題ないしな。」

 ピクッ…騎士団長の鞭を持つ手に力が入る。

「ほぉ?

 …で、どんなことをしたら潰れたり壊れたりするんだろうなあ?」

「フンッ!奴隷には俺様の子種を注ぎ込んでやってるだけだ。それに耐えられないなど軟弱なだけだろう。」

 まだ成人していない子供たちが多かったと聞いている…それをこのクズは…

「そうか。では、同じ待遇を味わってもらおうか。

 …キサマは壊れないと良いな。」

 騎士団長は、グースの下着をずらして下半身を露出させると、奴隷たちのいた部屋に無造作に置いてあった淫具を尻に突き刺した。

「ッ!…アーッ!!!」


 それにしても…教皇め、違法奴隷で買収されていたということか。腐ってやがる。この件は絶対に許さん!

 7歳の息子と5歳の娘を持つ騎士団長は、徹底解明することを誓った。


 ――――――――――――――――――――――

 同じ頃、国境の街では、ガッソの尋問が行われていた。

「おう、ガッソ。ずいぶん派手にやらかしてくれたな。他にお前に協力して帝国から人攫いをしていた奴はどのくらいいるんだ?ここにもいるんだろ?」

 両手を後ろで縛られ、両足を開くように固定されたガッソにサムソンが質問する。ガッソの股間はまだ血が滲んでいる。完全には治されていないらしい。

「ここにいるのは、ミルコとマッシュがそうだ。」

「王太子が人選した奴らか。王都にも他にいるのか?」

「あ、ああ、他にもいる。王都には…」

 ガッソの出した名前は、騎士団から25名にものぼった。

「いつからやってたんだ?」

「…じゅ、10年前からだ。」

「ん?その頃は、まだお前は騎士団に入ってないよな?どういうことだ?」

「騎士団への入団希望者で、入団試験に落ちた者に『臨時アルバイト』の連絡が来たんだ。王太子名で。

 それで5年くらい、そのアルバイトで成果を出していたら、騎士団への入団試験を再度受けるように話が来て、試験を受けたら正式入団が決まったんだ。」

 サムソンは頭を抱えた…よりによって入団試験自体にも不正が行われているって事か。確かにここ数年、明らかに質の悪い人材の割合が増えたとは思っていたが、そんな裏があったのか…

 

 そんな事実にサムソンが打ちのめされている時に、突如声が聞こえた。

『あー、サムソンさん、まだ移動してなくて助かりました。魔王の使いの者です。』

 話を聞けば、今度は副隊長として来ていたセルジが宰相指示でやらかしたって?

 …護衛でついて来た奴らの残りは宰相選抜だったよな…口裏を合わせられると厄介だ。

 仕方ない。ミルコとマッシュに迎えに行かせて、他の奴らは先に王都に帰そう。

 護衛騎士全員を集め、ミルコとマッシュを残して、他はガッソの護送で先行して王都へ帰還。期間後は騎士団長に報告。

 ミルコとマッシュはサムソンと共に勇者たちへの襲撃者を受け取りに行く、と命令した。

 (…胃が痛い…)

 サムソンは胃薬の手配が必要だと感じ始めていた。

 

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