第5話 魔王の決闘宣言
「では、決闘状を書いて出す事にしようか。後で遣いの者をこちらに送ろう。
二人から見て、扉の前の護衛は信用できるか?」
二人は顔を見合わせ、微妙な顔をする。
ん?護衛が何か話しているようだ。
「そうだ。ちょうど良い機会なので、私の魔法を披露しよう。扉の前の会話を聞こうじゃないか。」
口の前に人差し指を立てて、魔法を発動する。
「なぁ、いつまでここで待機なんだ?魔王城に攻め込んでも良いだろ。」
「宣戦布告してきた魔王が討伐され、新しい魔王が選定されたんだ。その新しい魔王が何も行動を起こしていないから『一時待機して様子を見る』ってのが国王様からの指示だろう?ここで下手に攻め入れば、王国からの戦争開始となって、侵略戦争と取られるから、それは避けろ、って宰相様からも言われてるだろ。」
「でもよぉ…かなり長い期間ご無沙汰でよぉ…ここでの待機が長いと娼館にも行けねえ。溜まってるものをどうやって処理しろってんだよ。」
「我慢しろ。」
「いっそ勇者サマと聖女サマに性欲処理してもらおうか?
聖女サマを人質にすりゃ勇者サマも逆らえねえだろ?そうすりゃ二人とも楽しめるぜ?
せっかく護衛についてるんだ、身体で慰安してくれてもいいだろ。お前なら、どっちの方が良いんだ?やっぱ聖女サマか?いつもあの胸をガン見してるもんな。」
「っ!な、なにを言ってるんだ!聖女様は護衛対象だろうが!」
アリスの顔が青い。心当たりがあるんだろうな。両手で胸を隠すようにしている。
「俺はなあ…勇者サマの引き締まった身体を滅茶苦茶になるくらいに汚してやりたいんだよな。穴という穴を使ってズタボロにしてよぉ…気の強そうな女がズタボロになって、俺なしではいられないように調教してやるのがタマンねぇんだよ。」
今度はカオルが両手で身体を抱えるようにして震えている。
「なあ、一緒にヤらねぇか?」
「…バ、馬鹿野郎!もしそんな事したら、あの王太子殿下に殺されるぞ。二人とも魔王討伐したら王太子殿下に嫁ぐ事になってるだろうが!」
「そんなもん、魔王に負けた事にして俺たちの慰み者にしてやりゃ良いじゃねーか。新しい魔王はまだ何も言ってきてねぇんだ。きっとこっちに攻める気はねぇんだぜ。」
「…うっ…だ、だが…」
「王都に戻れば、王城地下の奴隷たちを使い潰して楽しませてもらえるのに、ここじゃそれが無いんだから仕方ねぇだろ。」
ギリッ…歯を食いしばる。ここまで腐ってたか。コイツらは早めに潰そう。そう、内心決意する。
二人とも顔を青くさせて震えている。
「と、こんな感じで諜報活動してたわけだが、流石にこのまま放置ってこともできないな。決闘状持ってくるまでの時間すら惜しい。すぐに決闘宣言しよう。」
すぐに魔法を展開する。今まで使う機会は無かったが、今の音を集めるのとは逆の魔法だ。
「全世界の者に告ぐ。
ワタシは新たな魔王だ。
先代魔王とは異なり、一般市民が犠牲になるのは避けたい。なので、先代魔王が出した宣戦布告は破棄させてもらう。
しかし!魔王と勇者、聖女との決着は必要だ。
そこで勇者、聖女の二名対、魔王であるワタシとの決闘にて決着を付けようと思う。
ただ、そこに横槍が入るのは絶対に避けたい。
よって、場所は魔王と勇者、聖女のみが立ち入れる場所として魔王城を指定する。魔王の名において魔王城への立ち入りは魔王、勇者、聖女のみとすることを宣言しよう。ミッドガル帝国内となるが、勇者と聖女には案内を付け、道中の安全は保証する。
勇者と聖女以外の者が同行する場合には、アルミナ王国からミッドガル帝国に対する宣戦布告と見做し、侵略されたものと見做して相応の対応を取ることとする。
なお、決闘の条件は決闘開始前に勇者、聖女、魔王の三名による合同宣言を行なった上で、今と同じ方法で公開する。ゆえに、その前に勇者や聖女を害そうとする者がいる場合には、相応の罰を受けてもらう事にする。」
とりあえず宣言したのは全世界に届いたかな?
宿の周りを見てもざわついているから成功しているようだ。
お、扉がノックされている。
「勇者様!聖女様!今の魔王の声はお聞きになりましたか!」
二人に目線で合図する。
「ああ、聞こえたよ。迎えがくるかだろうから、それまで待機だね。」
扉の向こうでチッ!と舌打ちが聞こえる。二人とも眉間に皺が寄る…せっかくの美人が台無しだぞ。
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