第2話 生き残るための作戦

「で、だ。このあとの方針、考えないとなぁ…無策のまま勇者に倒されるのを待つのは嫌だしなぁ…

 何か良い案はないかなぁ?」

 とりあえず、俺は情報を整理することにした。


 まず魔王たる俺。

 見た目はほとんど人族。髪の毛に隠れてわかりにくいがちょこんと鬼の角が二本生えている。たんこぶを作ったレベルといえば、イメージできるだろうか。

 見た目で考えると鬼人族と人族の混血なのだろうが、身体能力は人族と変わらない。というよりも人族でも貧弱な部類ではないかと思う。代わりに魔法が少しだけ使える。とはいえエルフほどの魔力もないし、魔法特性自体が貧弱な『電波』だ。歴代魔王の魔法特性は、火炎であったり爆発であったり凍結であったり、と一対多の戦闘に非常に向いていた。先代魔王に関しては、魔法はなくても身体能力が非常に高い牛系統の獣人だったから、大きい斧を一振りするだけで多くの人族を薙ぎ払っていた。それに比べて俺はそんな戦場では素早く逃げ回りつつ情報を集めるくらいしかできない。

 ん?どうやって先代魔王を倒したのか?

 それは、俺が使える唯一の魔法『電波』を特定周波数まで高めて、ピンポイントに集中するように三点から電波を浴びせて体内の水分を沸騰させたんだよ。頭の部分だけに集中するように設定して、なおかつバレにくいように個々の電波は弱めにして。決まったときには魔王の頭が弾け飛んで、ちょっとしたトラウマになるレベルの惨劇だった。

 まぁ、ともかくそんなふうに先代魔王カオスを倒したのが、新たに魔王に選定された俺、ノーマというわけだ。


 では、勇者と聖女について集めた情報を整理しよう。

 勇者は歴代勇者と異なり、今回は女の子だ。まだ成人したばかりの18歳。聖女と同い年だ。見た目は勇者が茶髪のショートヘアで青い目をしたスレンダーでボーイッシュな元気娘。聖女はやや大人びた黒髪黒目で胸部装甲厚めのグラマラスなインドア派という感じ。どちらも非常に可愛らしく、あと5年もすれば絶世の美女と言えるくらいに美しくなると想像できる。

 聖女と幼馴染というのは歴代勇者と同じだが、今回の性別は女。歴代の勇者は魔王討伐後に王族との婚姻を要求されても、幼馴染の聖女のみを妻とし、子をなさずに寿命を迎えている。聖女の方も王族からの婚姻は拒絶して、勇者と添い遂げるのが定番となっているが、今回は二人とも女であるため、魔王討伐後は王太子の妻に、と要請が来ているらしい。

 アルミナ王国としては、やっと念願の勇者と聖女の血を王家に取り込める、というわけか。ただ、あの王太子は傲慢が服を着たようなやつらだからなぁ…王太子は見た目がガマガエルで中身は我儘三昧の女好きだったかな。見目麗しい貴族令嬢を見つけるとすぐに手を出していて、何人かは自分で未来を絶っていたはずだ。

 …人族に戦争しかけた先代魔王もダメだが、それ以上に生かしておいちゃいけないやつだな。俺が魔王に認定されなかったら、真っ先に暗殺しに行っていたところだったんだが…

 あの王太子の話が出ると、勇者も聖女もものすごく嫌そうな顔をするのは見たことがあるから、王家との婚姻は避けたいんだろうなぁ、とは推測できる。

 んー…あのクソ王子との婚姻は回避してあげたいなぁ…名案はないものか…

「とりあえず、一度会って話をしてみるか。」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る