第5話

-月面上空-


戦艦ギャラルホルンは整備のためにドッグに向かう中、所属不明機の信号をキャッチ


オットー・ギーガー少佐の第3小隊、ドワッゼⅡ3機が迎撃のため出撃した........


『識別信号は友軍ですが.....恐らく......』


ゲオルクの切迫した声に、コリィは


「そうか.....俺だな。標的は。」


ExAの機体は連合仕様が標準、つまり、こいつの識別信号は連合機........


彼は冷静に状況を分析、いや、想定内であるかのように、二人に指示を送る


『識別信号を連合のものに切り替えろ。ロック、シーカー解除。戦闘隊形。』


その歴戦のベテラン故の肝の座り方に、二人は、頼もしさを覚え、自らの身をも奮わせた


「距離は50km......」


ディスプレイのウェポンカテゴリから自律誘導式ミサイル、XAM-7を選択......


シーカーON


『発射』


機体のミサイルラックから4発のミサイルが射出、飛行を開始する


それは月面の地形をなぞり、確実に目標へと迫っていく


獲物を見つけた隼のような速さで


XAM-7


AIを搭載した自律誘導式の新型ミサイル

誘導時にレーダー波を発しないほか、真空である宇宙空間では、飛行時の摩擦熱も発生しないため、一度ロックされたらレーダーで探知するのは困難である.......



_________『なんだ!?アラートが!レーダーには映ってないぞ!』


月面を飛行する第3小隊3番機のパイロットが焦り、浅く速い呼吸音と共に声を上げる


『落ち着け、少尉。赤外線に切り替えろ』


少佐は冷静に赤外線モードに切り替え、飛行時のスラスターの熱を捉えて、ドワッゼⅡのGew91重粒子ライフルの照準を合わせて1、2、と瞬時に撃墜していった


『クソッ!回避機動が効かない!なぜだ!』


3番機は頭部の40mmバルカンで1基撃墜、その後回避機動でミサイルをかわそうとするが、背中を向けた彼にミサイルが迫っていた


『ダメだ!振り切れな.....』


背部のスラスターにミサイルが命中、燃料に引火して3番機は爆散した


『敵討ちといこうか』


呟く少佐の表情から一才の和やかさが消え、戦場の鬼神へと戻る


『敵は右に逸れたか......いや、こっちに向かってくる。射撃戦用意。敵は2機!」


コリィ大尉がレーダから敵の動きを察知、重粒子ライフルを構える


『『了解』』


「そうか.....ロック範囲内だったな。」


ふっと笑い、Mk21A1ライフルを射撃する


グリーンの光線が月面を駆け、目標を貫かんとする


『この距離でか!』


驚きを隠せない声で少佐が口にする


熱源接近アラートでビームの接近を察知し、2機のドワッゼⅡは左右に散開、回避機動をとる


右に逸れつつ接近してくるオットー機をコリィ大尉は未来位置をAI補正と自らの勘で未来位置を予測、偏差射撃をする


そして左に行ったマリウス機を、ゲオルクがライフルの射撃で追いたて、ブルーノが仕留めにかかる


しかし、


『ミサイル!?』


ミサイルの接近警報を目にして、ブルーノは迎撃、回避機動を取らざるを得なくなる


彼は接近するミサイルに対して、左右に機動しつつ後退、マルチランチャーから射出した擲弾、頭部バルカン砲で対処していく


『クソッ、分断されたか』


ゲオルクが吐き捨てる


すると攻撃のチャンスと見たマリウス機が反転し、追い立てていたゲオルク機を、ライフルで牽制しながらスラスターを吹かし急接近、格闘戦で堕としにかかる


『手強いな......』


少佐はそう漏らしながら、しかし確実に、G3との距離を詰める


Weapon.....腰部ビーム砲×2を選択、起動


コリィは機体の武器システムを操作し、腰部ビーム砲を展開、接近する敵機に対して火力で圧倒しようとする


「距離10km......」


腰部ビーム砲を発射、2つの閃光が月面を疾る


「手数を増やしてきたか」


少佐は顔色ひとつ変えず、粒子ビームを回避しながら、時折反撃しつつ、さらに距離を詰める


「とうに視認距離.....射撃戦での決着は難しい.....か」


コリィは口にすると、サブアームを用いてライフルを背面ラックに懸架、腰部のビーム・セイバーを抜き取る


グリーンの強烈な光がG3の濃紺のボディを照らす


「これじゃキリがないな」


同じくオットーも、ライフルを背負い、背面のビーム・セイバーを取った


禍々しいマゼンタの光が月面に放たれる


少佐は機体を急加速、G3を直に視界に捉え、セイバーで斜めに斬り下ろす


それを機体出力に優っているコリィは、セイバーで受け、そのまま押し返そうとするが、少佐はそれを受け流し、懐に潜り込む


勝負あり、かと思われたが


「何!?」


少佐の視界には、自機の右腕が、G3の足から展開している隠し腕によって切断されているという事実だけが入っていた。


しかし、驚きはしたものの、彼は即座に機体を後退させ、左腕にライフルを装備、射撃によって牽制しながら撤退していった


『マリウス、撤退だ』


その命令を聞いたマリウスは、運が良かったな、とも言いたげに、機体の一つ目のセンサーを横目にゲオルクのゼクト改を見つめ、スラスターを吹かして飛び去っていった


『大丈夫か、二人とも』


戦闘を終えたコリィが声をかける


『はっ、問題ありません。』


そう答えるブルーノに、


『何とか、大丈夫です.....』


急死に一生を得たゲオルク


その声は、疲労と緊張が解けた後の、浮遊感が混じっていた


二人の無事を確認した大尉は、


『これで月面に用はない。離脱して戦艦と合流、基地へ帰投する』


と告げて、スラスターを吹かし上昇、月面から先導して離脱していく


『『了解』』


二人もそれに続き、スラスターを吹かす


舞い上がる砂埃は、勝利の狼煙か、それとも暗雲か


今の彼らには、そんなことを考える暇もなく、ただ、任務の完了と無事の帰還を祈るのみだった

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