第7話 紹介
仕事終わり、
美咲からメッセージが届いた。
美咲『今日、時間ある?』
彩乃は、
少しだけ考えてから返す。
彩乃『あるよ』
すぐに、
嬉しそうなスタンプが返ってきた。
待ち合わせは、
会社の近くの居酒屋だった。
先に着いていた美咲は、
見つけるなり手を振る。
美咲「彩乃ー!」
彩乃「お疲れ〜」
美咲「今日ね、
ちゃんと紹介したくて」
彩乃「うん」
その声は、
自然に柔らかかった。
奥の席から、
一人の男性が立ち上がる。
森下「はじめまして」
落ち着いた声。
森下「森下です」
彩乃「はじめまして。
小川です」
美咲「森下さん、
彩乃」
席に着くと、
会話は自然に始まった。
森下「いつも、
美咲さんから話は聞いてます」
彩乃「……いいことだけなら」
森下「多分、
全部です」
少し照れたように笑う。
美咲「ちょっと!」
そのやり取りに、
彩乃は思わず笑った。
無理していない。
背伸びもしていない。
ただ、
一緒にいるのが当たり前みたいな空気。
森下「美咲さん、
最近忙しそうで」
美咲「忙しいけどね、
話せる人がいると違う」
森下「それなら、
よかったです」
美咲は、
その言葉に安心したように笑う。
彩乃の胸も、
少しだけ温かくなった。
ああ、
よかったな、と思う。
ちゃんと、
大切にされている。
それが、
一番うれしかった。
食事が終わって、
店を出る。
夜風が、
心地よかった。
美咲「今日はありがとう」
彩乃「ううん。
嬉しかった!」
美咲「ほんと?」
彩乃「うん。
安心した」
その言葉に、
美咲は少し驚いて、
それから嬉しそうに笑った。
森下「また、
よかったら」
彩乃「……はい」
駅までの帰り道。
美咲は、
満足そうな顔をしている。
彩乃も、
自然と口元が緩んでいた。
誰かの幸せを、
こんなふうに喜べる夜は、
久しぶりだった。
ふと、
研修会場のことを思い出す。
あの頃も、
こんなふうに笑っていた人がいた。
場を和ませる笑顔。
隣で見て、
安心していた笑顔。
橘くん、
元気かな。
浮かんだ名前に、
自分で少し驚く。
でも、
嫌な気持ちはしなかった。
それだけ、
今の心が落ち着いている証拠だった。
彩乃は、
小さく息を吐いて、
前を向く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます