第5話 男なんて

「はぁ、今日も終わるなー」

  そう呟くのは27歳辻村悠。

空はグレーの曇り空。

もう別れて24時間以上経つのか。

昨日別れたばかりの彼女のことが気になって仕方がない。彼女との思い出が走馬灯のように浮かんでは力なく消えていく。

  家にまっすぐ帰る気になれずフラッとカフェに寄る。通った店員に

 「コーヒー」と人差し指を立てる。

と、その店員を見た瞬間俺は心を奪われた。顔がタイプなだけじゃない。その首筋までのさっぱりとしたショートヘアを揺らす風までもが俺を魅了した。

端的に言えば優しい感じ。かすみ草って感じのお姉さんだった。

ドラマでよくあるスローモーションが今俺の身に起きていた。

俺の感情は「付き合いたい」とかいう感情を通り越していた。


「おひとつでよろしいですね」

その店員の事務的な言葉が耳に飛び込んできて現実に引き戻された。

彼女と別れたばかりなのに俺という男はなんて変わり身の早い奴なんだろう。

「はい。おひとつでよろしいです」

俺の声はうわずっていた。

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