第4話 失恋未満

  「会わせたい人がおんねん。」

純陽からLINEが来た。なんやねん会わせたい人って。

  「何それ。昭和かw」

いつものように軽く返事をする。

「令和令和。ほんまにお願いしますって」

純陽の言葉に少しだけ胸がざわついた。

「えっマジなん?」

「何彼女?」続けて送る。

「今から写真送るわ」

純陽のメッセージの数秒後、2ショットの写真が送られてくる。

  純陽と右隣にトゥンカロン片手に微笑む女がいる。

「彼女か」短く反応する。

「お前とこの子会って欲しいねん。」

出た。自分のお気に入りとお気に入りを仲良しにしようとする奴。ほんま嫌いやわ。

「なんかこの子となあちゃんが組み合わさるとすごい化学反応が起こる気がして!」

出た。化学反応。こいつはどこまでも馬鹿やわ。

「スタバ2個買ったるけん」

そんなにあって欲しいんか。まあ大学生といっても私は家の店を継ぐし将来も明確。特に忙しくもない。会うだけでスタバ2個は海老で鯛を釣るようなものだ。

「会ったるわ。」




その数日後、純陽と県立公園で待ち合わせをした。県立公園ってとこ嫌やわ。車では近すぎるし、何しろ近くに駐車場がない。

歩くには疲れる。なんでもっと来やすいとこにせんねん。

「おおおお。こっちこっち。」

そこには既にトゥンカロン女がいた。

トゥンカロン女は一瞬怪訝な顔をした。

まさか知らせてないのか?私が来ることを。そうしたら私がデート中に割り込んでくる彼氏のウザい幼馴染みたいになるじゃん。なんと。純陽という男は。

「あ…。初めまして。芹那です。ジュンジュン…森野さんの彼女です。」

彼女の上目遣いは私を余計に苛立たせた。

「大学で純陽と同じサークルの七瀬です。」

女子に挟まれた純陽は横でニコニコ笑っている。そして純陽は頃合いを知っているかのような口調で

「じゃあ、俺はこれで!!!」

と去ってゆこうとする。

マジでこの男。今の光景を側から見たら純陽を2人が取り合っているみたいだ。

なんやねん。私はこのくだらん恋人ごっこには入らへんから。

でもそこには私の知らない純陽がいた。

失恋した私の背中を摩り大丈夫を繰り返すあの純陽はもういなかった。

純陽の背中が小さくなってゆく。

馴染みのスーパーがいつの日かつぶれ、

ぽっかりと空いたあの空間を見た時のようなんとも空虚な気持ちになるのだった。

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