第3話 溺愛日記
大和は追いかけて来なかった。
やっぱり、私と大和はほんとにただの幼馴染だったんだ。
後日、LINEで謝られて結局仲は戻った。こんな愛想のない謝罪なんか頼んでないけど。むしろ揉めたままの方がよかった。だってそしたら、大和は私のことで悩んでくれる。大和の頭が私でいっぱいになる。
そんな考えを持ってしまうくらいに大和への愛は日々高まっていった。
「俺結婚するわ。」
そう言われた時は、頭が真っ二つに割れたかと思うくらいに頭痛がしてショックで感情も失った。その相手は別に特に可愛いわけでもなく、美人でもなく、料理が得意そうでもなくただ生きられればそれでいいという感じの顔をしていた。“干し芋”という言葉が鳥肌が立つくらいに似合っていた。
「おめでと」と言った時の私はきっと世界で一番いい奴で世界で一番嫌な奴だろう。
結婚式は2週間後に迫っていた。
きっと私はどこかで大和と一緒になれると思っていたんだ。でも実際、愛することもせず、この恋は終わろうとしていた。ブチっとチューブを切られたような感覚だった。でも大和は全く違う方向を向いて、私が教えた指輪を別の女にあげるのだ。
また、高校の時のゼミ合宿の写真をクリックしてしまった。そして今までしてきたLINEの会話を一字たりとも読みこぼさず、読み続けた。私は泣いていた。何も出来ないままただ負け犬になった。あなたの人生に関われただけでいいなんて都合のいいこと言えるほど、いい奴じゃない。
私は走っていた。ドラマの最終回のようにただ全力で。26歳が塩尻市の風に殴られながら走っていた。
大和は、塩町公園にいた。なんで都合よくいるかな。
私は深呼吸した。大和に伝えよう。
さよなら、と。
そう言って私は大和の前から消えよう。そしたら、心配してくれるかな。
次に会うのは来世かな。
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