第22話 sideシュマカ 気紛れな一日
ある日の昼下がり。
シュマカは街外れの空き地にいた。
理由はない。
気づいたら、そこに子供がいただけだ。
「ねえねえ! それなに!」
「ん? これ?」
手のひらに浮かべた小さな光を、くるりと回す。
大した力は込めていない。
ただ、きらきらと色を変えるだけの、取るに足らない戯れ。
「すごーい!」
「もう一回!」
「はいはい」
子供達に囲まれ、シュマカは大げさに肩をすくめる。
「仕方ないなあ。
じゃあ次は――もっと派手なの」
ぱん、と軽く手を叩くと、空中に現れる紙吹雪。
色も形もばらばらで、落ちる途中でふわりと消える。
歓声。
「わああ!」
「もう一回!」
「次はなに!?」
「欲張りだなあ」
そう言いながら、シュマカは楽しそうだった。
作り物の笑顔ではない。
計算もない。
彼らは怯えない。
疑わない。
こちらを“何か”と決めつけもしない。
「君たちさ」
しゃがみ込み、目線を合わせる。
「今が一番楽しいって顔してるね」
「え? うん!」
即答。
それが、心地いい。
精神の高さも低さも関係ない。
ただ、今この瞬間を全力で楽しんでいる。
それだけで、十分だった。
「よし」
立ち上がり、両手を広げる。
「じゃあ、次は追いかけっこだ」
「やったー!」
駆け出す子供達の後を、わざと遅れて追う。
捕まえない。
捕まらせない。
転びそうになれば、さりげなく支える。
泣きそうになれば、少しだけ派手な演出を足す。
それだけ。
しばらくして、子供達は満足して帰っていった。
手を振りながら
「またねー!」
と叫ぶ声を背に、シュマカは軽く手を振る。
「うん。
また気が向いたらね」
一人になると、静けさが戻る。
「……ふふ」
悪くない一日。
危うさも、張り詰めもない。
ただ、等身大の時間。
そして――
その後、ふと脳裏に浮かぶのは、黄金の閃光。
静と動。
無垢と覚悟。
「……どっちも、好きだな」
シュマカはそう呟き、再び歩き出した。
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