第17話 舞踏会の終わりに

前書き

いつもお読み頂き有難うございます。

本作は派手さだけでなく、


ウルガの選択や人との関わりを大切に描いていく予定です。


もし合いそうだと感じていただけましたら、


ブックマーク・評価で見守っていただけると嬉しいです。



感想もすべて目を通します。


次話もお楽しみいただければ幸いです。



本文はコチラから↓

「もうスキルは使わない」


シュマカは軽く肩をすくめ、楽しげに笑った。


「大切な玩具を壊したくないからね」


その瞬間、距離が消えた。


セレナの槍が振るわれるより早く、拳が迫る。受け流し、踏み替え、反撃。しかし次の一撃がすでに来ている。


速さだけではない。重い。


骨に響く衝撃が積み重なり、体勢を崩すたびに一歩、また一歩と後退させられる。


「どうしたんだい? ほら、止まらないで もっと、もっとだよ」


笑みは崩れない。


遊ぶように、試すように、シュマカは徐々にギアを上げていく。




セレナは歯を食いしばった。


槍で距離を保とうとするが、間合いは容赦なく踏み潰される。拳、肘、膝。無駄のない動きが、黄金のエースを確実に追い詰めていった。




――その頃。


ギルド内で待機していたウルガは、落ち着かずに身じろぎしていた。


理由は分からない。ただ胸の奥がざわつく。


「ウルガ、待ちなさい」


リーナの声が背中に飛ぶ。


しかし足は止まらなかった。次の瞬間には扉を抜け、森へと走り出していた。


息を切らし、辿り着いた先で見た光景に思考が凍りつく。




力なく垂れ下がるセレナの手。


その腰に腕を回し、舞踏会場の中央に立つかのような仕草で、戯けるシュマカ。


まるでダンス。


残酷なほど優雅なその光景。




「……やめろォッ!」


ウルガの叫びと同時に、力が呼び覚まされる。


スキルが応え、神具が顕現した。


だが、次の瞬間。


背筋を冷たいものが走った。


「君はまだ、そのステージにいないよ」


耳元で囁く声。


振り向くより早く、続く言葉が落ちる。


「そこで寝てる彼女に、楽しかったって伝えてよ。じゃあね……」


振り返った時、そこにシュマカはいなかった。


森の気配だけが、何事もなかったかのように揺れている。


ウルガは膝から崩れ落ちた。


荒い息が喉を鳴らす。




幸いセレナは気絶していただけだった。


子供たちも無事だ。


それでも、胸の奥に残る感覚は消えない。


「あれは……本当に、人間なのか……」


問いは、誰にも届かないまま森に溶けていった。

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