第3話 初めての狩り
朝霧が、森を包んでいた。
ウルガは剣を握りしめる。
隣には兄、レイン。
「緊張してるか?」
「少し」
嘘じゃない。
でも、怖くはなかった。
今日は、初めての狩り。
獲物は小型の魔獣。
危険度は低い。
――はずだった。
森は静かだ。
静かすぎて、逆に落ち着かない。
(……気配が多い)
前世の感覚が、小さく警告する。
だが、兄は落ち着いている。
「焦るな」
「まずは
周囲を見ろ」
頷く。
その瞬間――
藪が、弾けた。
「来るぞ!」
小さな魔獣。
だが、速い。
反射的に、剣を振る。
――空振り。
「っ!」
足が、もつれる。
地面に倒れる。
(しまっ……)
影が、覆いかぶさる。
剣が、割り込んだ。
兄だ..
魔獣を弾き、前に立つ。
「下がれ!」
その背中が、やけに大きい。
(……また、
守られてる)
悔しさが、喉に刺さる。
立ち上がる。
逃げない。
足は震えてる。
でも、剣は離さない。
二体目が来る。
兄が応戦中。
(今だ)
呼吸を整える。
狙う。
今度は――
振り回さない。
小さく、確実に。
剣先が、魔獣の脚を裂く。
「……!」
倒れた。
完全じゃない。
でも、当たった。
戦いは終わる。
森に、静けさが戻る。
兄が、こちらを見る。
「……今の」
「悪くなかった」
短い言葉。
でも、
胸が熱くなる。
「……ごめん」
「最初は
誰でも失敗する」
頭に、手が置かれる。
子ども扱いだ。
それでも――
嫌じゃなかった。
帰り道。
ウルガは考える。
力が欲しい。
だが、近道はいらない。
意識の奥で、我儘な玩具箱が
静かに在る。
――まだだ。
今日は、自分の足で立てた。
それだけで、
十分だった。
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