第2話 風に揺れる心
数学の時間。
「はぁ…」
隣の席にいる一条風斗を見ると、ついイライラしてしまう。
幼馴染のくせに、いつも授業中はぼーっとしているのに、試験では上位。
必死に勉強しても追いつけない自分が情けない。
私の名前は三好月代。ごく普通の女子高生。
でも、心の奥では、風斗のことを意識している自分に気づいてもいる。
「ちょっと、何ぼーっとしてたのよ」
イライラをぶつける私に、風斗はいつも通りの意味不明な返答。
「えーっと…先生の髪は将来薄くなりそうだな…と。」
思わず笑ってしまった。
笑っちゃうなんて…不覚。
隣の男子がイケメンだったらな…なんて、心の中で呟いてしまう自分にも気づく。
国語の時間。
風斗は指名されているのに気づかず、私は小声で教科書を指差す。
あぁ…私はお節介なのかしら?
いいえ、違うわ。これは“親切な私”なのよ。
でも、隣の席だから仕方なくやっているだけ。
放課後。
陸上部の怪我で休部中の私は、時間を持て余していた。
そんな時、見つけたのが話題のオンラインゲーム「サウザンドフェアリー」。
キャラクターを作るのに一時間もかけた。
魔法使いにして、名前はムーン。服は紫、目は赤。
魔法を放つだけで楽しい…指示に従って攻撃するだけでも、心が弾む。
そして、ギルドマスターのウインドさん―
「ウインドさん、こんにちは」
「ムーンさん、こんにちは」
彼の声を聞くと、胸の奥が小さく高鳴る。
モンスター、ジャイアントバファローが現れる。
「ウインドさん、頑張ります!」
火魔法を放ち、指示通り攻撃する。
命中した瞬間、心の中で小さくガッツポーズ。
でも、ウインドさんが繰り出す剣の動きは、あまりにもカッコよくて…目が離せなかった。
「す…凄いわ…」
胸の奥がざわめく。
この感覚は、尊敬だけじゃない。
もしかして――心の奥で、何かが芽生え始めているのかもしれない。
戦闘が終わると、彼の背中に駆け寄る。
「ウインドさん、凄い!」
感謝の気持ちを伝えたけれど、彼はいつものように冷静で、少し不器用に見える。
それでも、胸の奥の高鳴りは止まらない。
この世界で、彼の隣で戦う時間が、私にとってかけがえのない瞬間になりつつある――。
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