────────4人の友人の旅
故郷での約束 (1)
彼らと初めて会った時、彼らはまだ崇拝される英雄などではなく、孤立した小さな村で夢の見方しか知らない子供たちだった。
部外者にとってグランツ村はアロキサリア王国の地図上の小さな点に過ぎなかったが、私たち四人にとって、その村こそが世界のすべてだった。
「ラヴィエル、その木を削るのに必死になりすぎだ。お前の敵はただの木の影だぞ?」
その声の主はヴェイル・アッシェン。彼は私たちの秘密基地である古い木の枝に腰掛けていた。
ハーフエルフの血を引く彼の銀色がかった髪が、夕日に照らされて輝いている。
鋭い瞳は常に地平線を見つめていた。まるで村を囲む森の境界の先に何があるのかを見通そうとしているかのように。
ヴェイルは皮肉屋だったが、その刺々しい言葉の裏には、誰よりも仲間の安全を願う優しさがあった。
「木の影じゃない、ヴェイル。これは『備え』だ」手元の木刀から目を離さずに私は答えた。「いつかこの村を出るなら、運だけに頼るわけにはいかない。外の世界はこの草原ほど優しくはないんだ」
ヴェイルは鼻で笑った。予想通りの反応だ。
だが、彼は反論しなかった。この世界において、語るべき物語を持って帰る冒険者と、名前が墓碑に刻まれるだけで終わる者を分かつのは「備え」だけだと知っていたからだ。
「備え、備えって、いつもそればかり! 酒場でくだを巻いているおじいさんみたいよ!」
ドレスの裾を泥で汚した一人の少女が、溢れんばかりの活気でこちらへ走ってきた。
エリナ・モルヴェイル。彼女を見て、高貴なる侯爵家の令嬢だと思う者は誰もいないだろう。
エリナはまさに「炎」の化身だった。聡明で魔法の才能に溢れ、行く手を阻むものすべてを焼き尽くすほどの意志を持っていた。
彼女にとって父の城壁は牢獄であり、この森こそが真の自由だった。
「これを見て! 触媒なしで mana(マナ)の流れを制御して、小さな光を作れるようになったの」彼女は誇らしげに言い、指先で踊る淡い光の塊を見せた。
「素晴らしい進歩ね、エリナ」木陰から穏やかな声が響いた。イセレーヌ・アトラが、純血のエルフだけが持つ天性の優雅さを纏って現れた。 実年齢では私たちより遥かに年上だったが、イセレーヌは常に私たちを対等に扱ってくれた。彼女は私たちの調和を保つ存在であり、冷静で、賢明で、常に警戒を怠らなかった。
「でも忘れないで、エリナ」イセレーヌは続けた。「暗闇の中で明るすぎる光は、招かれざるものを引き寄せてしまう。制御を欠いた力は、自分自身……そして周囲の人々を危険にさらすわ」
太陽が沈み始め、空が深く、どこか哀愁を帯びた橙色に染まる中、私たちは円を描いて座った。
その午後の静寂は、いつもより少しだけ重く感じられた。
「今朝、市場でみんなが何を話していたか知ってる?」エリナが沈黙を破り、声を潜めた。
「禁忌の領域への遠征のことよ。父様のもとに、多くの冒険者パーティーが二度と帰ってこなかったという報告が届いているわ。帰還できた者たちでさえ……彼らはもう以前の彼らじゃない。伝説になるためには、それだけの代償が必要だって人々は言っている」 私は手の中の木刀の感触を確かめながら、一瞬黙り込んだ。「それなら、俺たちの目的は奴らとは違う」断固とした口調で言うと、全員が私を見た。
「俺がこのパーティーを作ったのは、名声や莫大な富を得るためじゃない。世界に俺たちの名が知られなくたって構わない。俺の目的は単純だ。一緒に出発し、成すべきことを成し遂げ、そして何より大切なこと……全員で共に帰ることだ。四人で。欠けることなく。誰一人として置き去りにはしない」
「共に帰る……」ヴェイルはその言葉を、まるで発音の難しい異国の呪文のように呟いた。「それは魔王を倒すことよりも難しそうだぜ、ラヴィエル。魔物と裏切りに満ちたこの世界で、メンバー全員が揃って帰るなんて、不可能に近い贅沢だ」
「確かに困難だわ」イセレーヌが応じた。そのエメラルド色の瞳が私の奥底を見つめる。「外の世界は村の子供たちの約束なんて気に留めない。けれど、理不尽なまでの強情さで不可能を可能に変えられる人間がいるとしたら、それはあなたよ、ラヴィエル」
私は一人一人の顔を見つめた。「俺は君たちの中で一番強いわけじゃない。魔法の才能はエリナに比べればゼロだし、ヴェイルのような目の鋭さも、イセレーヌのような賢さもない。ただの人間だ。でも約束する。俺は君たちの帰り道を確保するために、戦場に最後まで立ち続ける最後の男になる。『最後の一瞬』を、決して死の瞬間にさせはしない」
エリナは小さく微笑んだ。それは周囲に伝播するような自信に満ちた笑みだった。「分かったわ、リーダー。あなたがそう言うなら、私は私たちの帰り道を邪魔する奴らを焼き尽くす炎になってあげる」
「なら、俺は一睡もせずに危険を察知する目になってやるよ」ヴェイルが付け加え、ようやく円の真ん中に手を差し出した。 イセレーヌが最後に手を重ねた。その掌は冷たく、しかし力強かった。「この約束は、村の空の下で刻まれたわ。四人の親友、一つの簡潔な目的。帰還よ」
あの時、平和な夕暮れの下で、私たちは無敵だと思っていた。「帰る」という言葉が将来どれほど重い荷になるのか、知る由もなかった。
いつか、この約束が壊れないようにと、血に染まった足を雪の上で引きずらなければならない日が来ることも。
忠誠心が、どんな肉体的な傷よりも苦痛に満ちた呪いになることも、私たちは知らなかった。
しかしあの日、私たちは互いへの希望に満ちた眼差しを交わす、ただの四人の親友だった。共にいれば、世界が私たちを打ち砕くことなどできないと信じていたのだ。
「行こう」私は立ち上がり、ズボンの砂を払った。
「日が暮れた。今日はそれぞれの家に帰るが、いつか世界に証明してやろう。このパーティーは、暗闇の果てからだって全員で帰ってこれるんだってことを」
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