願いの自動販売機
街角に、見慣れない自動販売機が置かれていた。 飲み物のボタンはなく、代わりにこう書かれている。
《なんでも一つだけ願いを叶えます 100円》
サラリーマンの田島は、冗談半分で100円を入れた。 すると機械が低く唸り、紙片が一枚出てきた。
《願いをどうぞ》
田島は少し考え、こう書いた。
「お金持ちになりたい」
紙を入れると、機械はしばらくガタガタと震え、 やがて小さな封筒を吐き出した。
中には一枚の紙。
《あなたの願いは叶いました》
「え、もう?」 田島は周囲を見回したが、何も変わっていない。
そのとき、スマホが震えた。 ニュース速報が表示される。
《世界的な大富豪・田島グループ会長が急逝》
田島は凍りついた。 自分と同じ名字だが、まったくの他人だ。 しかし続報にはこうあった。
《遺言により、全財産は“同姓同名の人物”に譲渡される》
田島は震える手で読み進めた。 確かに、自分の名前が書かれている。
「……本当に叶ったのか」
喜びよりも、背筋に冷たいものが走った。
ふと振り返ると、自動販売機は跡形もなく消えていた。 ただ、地面に小さな紙切れが落ちている。
拾い上げると、こう書かれていた。
《願いには、必ず誰かの“支払い”が必要です》
田島は封筒を握りしめたまま、しばらく動けなかった。
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