第5話 春合宿と、別れ
試験が終わった直後は、美鈴や友達とで遊園地に出掛けたこともあったし、何というか、今の俺って、普通の大学生っぽいんじゃないか。
いや、そんなこと共学の高校生なんかも普通にやってることかもしれないなあ・・・じゃあ、普通の若者っぽい、にするか。
いずれにしても、結構充実していた気がする。
でも、空虚な日々が始まってしまった。
今日も、朝は普通に起きて朝食をとったが、何をしようかな、という状況だ。
長野に帰っても、姉貴は来ないし、母さんと喧嘩になりそうだし、結局スマホ三昧になりそうだし。
そういえば、長野の従妹のみどりちゃんは高校2年生だよな。まだ3学期の真っ最中だ。あの子は結構優秀だという進学校に行っているようだから、既に受験生モードかもしれない。
あの子どうしてるかな。子どもの頃は、よく遊んだ。
でも、去年の夏は長野に行かなかったし、その前の年末年始は、受験直前でやっぱり行かなかったし、一昨年の夏とかは、盆期間に姉貴に連れて行かれたけど、親戚がわんさかいて、挨拶ぐらいしかできなかったし。
そもそも、もう俺のことなんて忘れて、案外リア充青春のど真ん中かもしれない。可愛かったからな。きっと可愛い女子高生になってるだろうし。
などと考えていると、スマホが鳴動した。
<ももか先輩>と表示されている。あれ、珍しい、電話ですか!
やべ、お待たせしてしまう。
「はい、高階です。お待たせしてすみません、ももか先輩。」
「いいのいいの、そんなの。高階君の声が聞こえただけで、天にも昇るような気分になるんだから私。」
天にも昇るような気分って・・・いきなり何言ってんだこの先輩は。
まあ、いつものことだけど。
「勘弁してくださいよ、晃さんに叱られます。」
そうそう、晃さんには、同じコースの先輩という貴重なコネクションのおかげで、2年生でどのように履修すべきか、どの教授の講座が要注意か、といったことを教えてもらっている。
ただ、一般教養科目については、俺の選択が晃さんの選択とは少し違っていることもあって、そこは、美鈴に情報を頼ってたけど。
さらに、晃さんは、ももか先輩の彼氏なんだよね。その関係もよくわからないところもあるんだけど、詳しく聞くわけにもいかないし。
「晃のことは今はいいの。今は君だけだから、わ・た・し。」
「だから、勘弁して下さいって。」
「君は可愛いよね。」
俺の話聞いて下さいよっていうか、美鈴みたいなこと言わないでほしい。
この先輩、この手の冗談が好きというか、深く考えずに男子に放言する癖があるみたいだ。
ももか先輩が1年生の時、サークルの2人の男子が、
「いつも僕のことしか見てないよね?もう即決だよこれ。」
「俺のこと、好きなんじゃね?いや、150%確実だぜ。」
などと立て続けに勘違いし、玉砕したことは俺も聞かされてよく知っている。
一部では勝手に盛り上がり、
「オレの相性診断だと、この状況、200%完璧だぜ、行くしかねえだろ!」
「黙ってても明日、今行けば今日間違いなし。善は急げだ今すぐ告ってこいや!」
とか、煽り立てるメンバーもいたらしい。どう考えても根拠レスじゃんか。うまく行くわけねえだろ。クソすぎる。
そもそも、一方的な想いだけでうまく行くわけないんだよ。そう、ももか先輩本人からも直接聞いている。
ちなみに、ももか先輩からではないが、玉砕した先輩方は、サークルをやめ、その後キャンパス内ではその姿を見ることがないという話も聞いた。
合掌、いや、祈りなさい、ですか?って、さすがにそこまでは、作り話、ですよね?
で、ももか先輩は、ほとんど見たことがないようなマジな怒りの表情でこのように言っていた。
「酷いと思わない?あの人ら、私の思いなんて全く考えもせず、私のこと「好きだ」とかぬかしたんだよ?しかも、何回も!」
俺にしてるみたいな、上目遣いでじっと見つめるとか、手を握って私は○○君だけとか言うとか、お約束のハグしまくりとかの状況は伝え聞いていたから、冷静に考えると、酷いのはももか先輩だ、と言う人がほとんどのような気がするのだが、それを聞かされた時の俺は、
「そうっすね、ひでえ先輩たちですね!」
とか、本当にそう思ってしまったから、ももか先輩にそう言ったのだが、
「わかってくれるのは、高階君だけだよ、うれしー💛」
とかマジに感激した顔で、俺をハグした。
ちょい小柄で、ちょい可愛くて、ちょいスタイルが良いって感じのももか先輩だと思ってたけど、なんか包容力が半端ないって感じで、動けなかったな。
うん、柔らかくて暖かい感触も・・・
「ちょっと高階君、変なこと考えてない?」
やべ。変なこと思い出してしまった。
「もちろん、考えていません!」
「まあいいけど。でね、春合宿の件なんだけどね。」
所詮はうちのサークルなので、春合宿といっても、新年度に向けての気合を入れるといったものであるわけもなく、生真面目に野山をハイキングしていた時代とも違い、郊外に出掛けて、思い思いの遊びをするだけである。
まあ、一体感といえば、夜の飲み会くらいだけど、三々五々離れて、身勝手に過ごすメンバーもいる状況らしく、非常に緩い合宿である。
そんな状況ではあるけど、サークル内で付き合う人たちもそこそこいると聞いた。
晃さんとももか先輩もサークル内で誕生したカップルである。
この2人の関係は、ももか先輩の例の騒動があったこともあって、サークルの7珍の1つとか言ってる先輩もいたけど、そういうの、良くないですよ。
まあ、あとの6つも教えられたはずだけど、どうでもいいから、忘れた。
「何か問題発生ですか?」
「大問題よ。晃がね、行かないって言いだしたの。他のメンバーもね、行かないって人が結構出てきてしまってね。もうバスとか宿の手配はしてしまったし、困ったなあって。」
あれ、晃さん、ドタキャンって程ではないけど、らしくない話だよな。それに、結構スケジューリングとかしっかりしてるはずだし、どうしたんだろう。
「それは、まずいですねえ。」
「そういう状況だからね、高階君悪いんだけど、合宿係の手伝いしてくれないかな。これから出てきて。2時からね。」
ん?そういう状況って、手伝いとは関係ないじゃないですかあ?
要するに、俺に手伝わせたいだけ?
「先輩のお手伝いはやぶさかではないのですが、岩村も係ですよね。」
岩村とは、サークルの1年女子の岩村咲のことである。何かと俺に突っかかってくる女子だ。
「岩村さん、風邪ひいてしまったみたいで、出てこれないんだって。それから、合宿にもっていくもの確認したいって思ったんだけど、ちょっと力仕事だから、晃に頼んだら、「わりいわりい、バイトなんだ」とかぬかして、来てくれないの、酷いでしょ?」
まあ、ももか先輩にとっては酷いかもしれないけど、バイトならしかたないような。
それに、<ぬかして>とか、前から気にはしてたのですけど、はしたなくないっすか?その口癖。怖くて指摘できないけど・・・。
「だからね。頼れるのは君だけなんだ、ね、いいでしょ?」
その頼み方、反則です。
でも、俺には通用しませんよ。俺は、玉砕した先輩方とはちょっと違うんです。
「そうは仰いますが、勝手なことすると、岩村に「係でもないくせに勝手なことして!」って切れまくられるので、ご容赦いただければ・・・」
「わかりました!それなら、サークルの副会長でもあるわたしが、高階君を合宿係に任命します!会長の浅野君にも言っておくわね。これなら、岩村さんも大丈夫でしょ?」
大丈夫って、まあ、そうですけど。いや、岩村さんなら、ももか先輩のご指示なら言うことを聞くはずなので、ただの逃げ口上でした。ごめんなさい。でもねえ・・・。
「うーん・・・」
「じゃあさ、お昼一緒に食べよ。おごってあげるから。」
「そんな、2人きりで食事なんて、晃さんに申し訳なくてできません。」
「それは心配しなくていいよ。晃にはね、事前に高階君にお手伝いしてもらうから、ランチおごってあげるんだって言ってあるから。彼もね、「それはいい。高階はいい奴だからな。うん、変な奴でないから安心だ」って言ってたし。」
本当かよ。既定路線じゃねえか。
まあ、晃さん、高評価ありがとうございます。
遠慮なく、彼女、お借りしますって違うな。
俺が借りられるんだな。
「わかりました。すぐ行きます。部室に行けばいいですね?」
「そうね、それがいいわ。2人で熱く熱く語り合おうね!」
やめてくれえ。まあ、俺には「熱く熱く語り合おうね、合宿について」てことがわかるから、問題ないけど、ももか先輩、これからも多くの男の人生を変えていくんだろうな。
「わかりました!失礼します!」
「じゃあね、また後で、バイバイ」
渋ったような感じになったが、俺はももか先輩が嫌いではない。
もちろん、男女の関係として、好きと言うわけでは全くないし、まあ結構というか、かなりうざいことも多いのだが、サークルでは一緒に行動することが多かったりする。
なんとなくだが、気に入られているような感じだ。
俺自身も、一緒にいるのが結構気楽な人なので、ありがたい女子の先輩である。通常では、だけど。そう、酔っぱらうと、なんというか、ちょっと逃げるのが大変だったりするが、今日は飲み会ではないから、考えないことにしておこう。
俺は、部屋着から着替えると、すぐに大学に向かった。
今の時期は、大学の入試も一段落し、構内に入ることができる。
俺は部室に急いだ。
先輩をお待たせしてはいけない。
部室の前に行くと、扉が開いていた。
誰かいる、すなわち、ももか先輩がいるということだろう。
中に入ると、先輩が座っていた。
俺を見て、微笑んでいる。今日も可愛いですね・・・とか言えるわけもない。
「すみません、ももか先輩、遅くなりました。」
「いいのよ、急に呼び出してごめんね。じゃあ、とりあえずランチしよっか。」
「はい。」
「何食べたい?」
「先輩のお好みに合わせます。」
「そう、高階君は可愛いなあ。」
と、微笑みを見せつつ上機嫌なももか先輩である。
可愛いなあ、は、スルー。これも、先輩が普通に使う言葉にすぎないのだ。
「じゃあ、何でもありそうなファミレスにしようね。」
ということで、俺は、ももか先輩のお供で駅の方向に戻っていく。うん、彼女とデートでもないし、ファミレスは普通だよね。
既に午後1時を過ぎているためか、そのファミレスは空席が目立ち始めていた。
「ふう、お腹空いたね。」
そっか、先輩を待たせたわけだもんな。
「すみません、俺を待ってくれていたからですよね。」
「何言ってるのかな?私が君を呼んだんだよ。そして、君は来てくれた。急なお願いなのに聞いてくれてありがとね。」
そんな風に上目遣いしないでください。可愛すぎるじゃないですか。
「数少ない仲良くしていただいているももか先輩のお願いですから、当然です。」
「そうなの?ふーん。あれ?何照れてるのかな、可愛いなあ全く。」
う、赤い顔になってるんだろうな、恥ずかしい。
「えっと、そうじゃなくて、早く頼んじゃおうね。」
「あ、はい。」
ということで、ももか先輩はベルを押して係の人を呼んで、注文をした。
「高階君は、あ、これね。」
と確認し、俺の分も注文してくれた。
「ありがとうございます。すみません、俺が呼ぶべきなのに。」
「高階君も男の子だねえ。でもね、今日はお姉様に任せなさい。」
「は、はい・・」
抵抗できねえ。
姉貴みたいだ。
「でね、晃、酷いのよ。急に合宿行かないとか言ってるのよ。」
「さっき、そうおっしゃってましたね、付き合いの良い晃さんにしては、珍しいなあ。」
「そうなのよ。でも、訳を教えてくれないの。高階君、聞いてくれないかな?」
それを聞いて、びくっとしてしまったが、そもそも、晃さんが彼女に言えないことを俺に教えてくれるものなのかな?
とはいえ、俺には選択権はないし。
「聞くことはできますけど、晃さん、俺に教えてくれるのかなって思います。」
「そうね、でも、君になら教える気がするんだ。」
何となく、違和感というか、妙な胸騒ぎを覚えたが、とりあえずは了解するしかなかった。
その後ランチしながらたわいのない話で盛り上がってしまい、気が付くと2時はとっくに過ぎていた。
「あの、ももか先輩、そろそろ部室行きませんか?」
「何よ、私とお話しするのがそんなに嫌なの!?」
なに切れてんだ?ももか先輩。
いや、俺的には、このままいつまでもお話してるのは楽しすぎるくらいなんだけど、合宿の準備は大事ですよね?
「そんなわけないじゃないですか。久しぶりに先輩と盛り上がって、楽しくてしょうがないですよ。」
「うふふ、知ってるよ、君の顔に書いてあるもん。」
頼んますよ、先輩。照れちゃうじゃないですか。
「ちょっと怒った顔も可愛いね。」
俺の心理完璧に読まれてる。かなわねえ。
「ももか先輩の方が可愛いです。」
つい、本音が出てしまった。だって仕方ないじゃないか。ほんとに可愛いんだよ、このおねえさん。
ももか先輩は、首をかしげてちょっと不思議そうな顔をしたが、すぐにいたずらっ子のような表情になって言った。
「あれ?君、先輩の彼女口説いてるの?」
んなわけねーだろ、おい!とは言えないし、俺がいらんこと言ってしまったのかな、やべーかな、いや、普通の誉め言葉だよなあ、と、当惑していると、
「うそうそ、全く君はわかりやすすぎるよね。そうね、もっとお話ししたいけど、そろそろ部室に行きましょう。ていうか、部室でお話すればいいんだし。」
その通りです、最初からお分かりですよね、先輩。
ももか先輩は、約束通りご馳走してくれた。
部室に戻る途中も、話が途絶えない。
「ももか先輩、ご馳走様でした。」
「いえいえ、当然よ。さあ、ちゃんと働いてもらうからね。」
「お任せください!」
「頼もしいわあ、華奢にもみえるのに。」
はいはい、中学の、しかもサボリ気味だった部活以来、スポーツとは無縁ですからしょうがないです。
「でもね、なんだろう、可愛いのに、しっかりしてるよね、君。落ち着いているっていうか。」
美鈴には、落ち着きがないって言われるけどなあ。
ちっちゃいころは、姉貴にも良く指導されたし。
「そうですかねえ・・・。俺、いつもいろんなところうろついているって言われますけど。」
「そうかもしれないわねえ・・・。でもね、そういう話ではなくて、本質的な心の芯とでもいうのかな、高階君はその芯がしっかりしてると思うの。だからかな。」
まあ、融通が利かないところはあるけど。
と、ももか先輩の高階像を語られつつ、部室に戻ってきた我々である。
「まずは、持っていくものの確認ね。」
俺は、先輩の指示に従って、目的のものを探し出したり、あるいは、一番下にしまい込まれていたりするものを引っ張り出してくる。
「それから、天体望遠鏡。」
なにそれ?それって必要なのっていうか、そんなものあるの?でも、理工学部生主体のサークルだった歴史の重みを考えればあり得ないことはない、か?
「天体望遠鏡なんて持っていくのですか?」
たまらず俺はももか先輩に質問した。
そうか、あの箱が望遠鏡の箱だな。
想像したよりは大きくないけど、一番奥に収納してあるから、ちょっと大変かも。
「毎年もっていってるのよね。何年か前の先輩たちがおいて行ったものらしいんだけど、夜中に男女2人がこれで星を見ながら語り合って、結ばれたらしいの。」
何そのロマンティックな伝説みたいな話。マジかよ。
まあ、それをきっかけにしたカップルが誕生しても、いいのかもしれない。俺には関係ないことだけど。
「でもね、高階君は使っちゃだめだよ。」
「何でですか!」
カップルとか関係ないし、別にこれで女の子と仲良くなろうなんて発想はないけど、使うなと言われるとつい反発してしまった。それに、結構星とか眺めるの、好きだったりする。
「だって、君には私がいるから。」
「さっきは先輩の彼女口説くなって仰ったでしょ!」
「こわーい、高階君が怒ったあ💛」
いや、怒ってません、結構楽しいです。恋人同士になりえない関係だってちゃんとわかってますからね。
先輩も、楽しそうで、何よりです。
一時間ぐらいで、確認作業は完了した。
「ありがとうね、本当に助かったわ。これで、あとは当日バスまで運ぶだけね。」
「当日、俺も早めに来て手伝います。」
「ありがとう、自主的に言ってくれて。頼りにしてるよ。」
「お任せください。あの件は、晃さんには、近いうちに聞いておきます。」
「お願いね。」
ももか先輩は、微笑みつつ言った。
*
しかし、結構聞きにくい話だよな。
いや、それ自体は問題ないんだけど、晃さんが行かないって言いだしたほんとの理由が気になる。
そして、それはかなりやばいものの気がするんだ。
とか、考えて、その日は晃さんに連絡できなかったが、翌日になると、別に深く考えることじゃないんじゃね?と思って、メッセージ送ってみた。
<晃さん、春合宿参加されないのですか?>
少し経って、スマホが鳴動した。
<晃さん>と表示されている。電話の着信だ。
「高階です。」
「おう、高階。久しぶりだな、メッセージサンキュ。」
「こちらこそご無沙汰してます。」
「ほんと、試験前に会ったきりだもんな。試験はどんな感じだった?」
「晃さんのおかげで、経済学概論をはじめとして、結構イケたって思います。」
「そうか、よかった。で、春合宿の件なんだけど」
「はい」
「ももか、何か言ってたのか?」
「い、いえ、そうではなくて、何というか、晃さんがいらっしゃらないので、寂しそうっていうか・・・」
思わずそう言ってしまったけど、そういう感情ではなかった気がする。
「おいおい、何気にしてるか知らんけど、そんな遠慮することないぜ。お前が聞いてきた時点で、ももか情報でしかないことは判るし。今回の係は、俺以外に、ももかと岩村ちゃんだけだし、お前が岩村ちゃんとそんな話するわけもないし。」
・・・晃さん、俺の人間関係お見通しなんですね。
「はい、まあ。」
「そうだよな。それから、ももかを手伝ってくれたんだよな、ありがとう。俺が手伝うべきだったのだけど、バイトいれてたんでさ。」
既に、ももか先輩から伺ってますけど・・・なんからしくない話の気がする。でも、こう言うしかない。
「いえいえ、バイトなら仕方ないですよ。」
「ああ、それでな、春合宿、参加できることになったから。」
え?まあ、よかった、だよな。
「そうなんですか、良かったです。」
「おう、でも、昨日ももかには連絡しておいたんだけどな。」
なんだよ、メッセージ位くれればいいのに、ももか先輩。すげー緊張したじゃないですか、全くもう。
でも、何でだろ?
「すみません、突然連絡して、お電話もいただいてしまって。」
「気にすんな。じゃあ、合宿でな。」
「はい、失礼します。」
通話を終えた後、俺は再びひっかりを覚えた。
何で、ももか先輩は、メッセージをくれなかったのだろう。
また、何でこのタイミング、俺がももか先輩の手伝いをする日になって、それも俺がももか先輩と離れた後に、晃さんは行くことを連絡したのだろう。
あれ、この胸騒ぎっていうか、ももか先輩に感じた違和感と関係あるのかな?なんだろう。
そうか、少なくとも、ももか先輩は、晃さんに直接聞いてほしかったのだな、俺に。
それだけは、確かだ。
結局、晃さんは参加することになったことに安心して、何故当初は参加できなくなったのかを聞けなかったけど。
そして、ちょっとしたごたごた・・・といっても関係するメンバーは限られているが・・・があったものの、俺たちは無事に合宿の場所にやってきた。
この春合宿は、毎年3月中旬に毎年房総半島の南の方で行われる。夏合宿もそうだが、うちのサークルは、同じ宿を毎年利用している。
我がサークルは、毎年比較的おとなしいメンバーで構成されているためか、宿に大きな迷惑をかけるようなこともなく、向こうも歓迎してくれているらしい。
その今回の合宿地であるが、この辺りは、黒潮が近いせいか、冬でも暖かい。
3月中旬では、東京では、まだ冬の寒さの日もある。でも、こちらは完全に春だったりするのだ。
結局、土壇場になって参加者が増えたようで、予定の人数が集まり、合宿はいつも通り楽しく経過している。
晃さんも参加していて、さすがに合宿だからべたべたしたりはしないが、ももか先輩と仲の良さがわかるような場面もあって、ちょっとほのぼのとした気分にさせてくれる。
でも・・・。
なんだろう、みんながいるところでは、何となく仲が良いようにみえるんだけど、ちょっと不自然な感じにも見える。
そう、晃さんはいつもどおりなんだけど、ももか先輩が無理に合わせているというか。
さすがに、この合宿中にももか先輩にどうしたのですか、なんて聞くわけにはいかないし。
とか、ぼーっと考えていると、
「高階君、友達いないんだねえ。合宿で1人で佇んでいるとは。」
こんなからみをしてくる奴は1人しかいない。しかも女子。
「岩村さん、いつも通り俺の相手してくれてありがとう。」
「相手なんてしてないし。話してないし。全くもう。」
なんだそれ、事実と違うじゃないか、全くもう。
「いや、話してるでしょ?折角だから、もっと語り合おうぜ。」
「なにそれ、そのサイアクのシチュエーション。もう知らない!」
一人でプンスカしながら去っていく岩村さん。
今回は、サイテーじゃなくてサイアク、だったか。
何でいつも怒ってるんだろう。
別にいいけど・・・でも、何かいつもと違う気もするなあ。俺に伝えたいことでもあるのかなあ・・・。
ふぅ、ちょっと気晴らしに、その辺歩くか。
宿に戻ろうかと思ったけど、そうすると岩村さんと2人きりとかになりかねない。
わざと私と2人きりになろうとした、とか大騒ぎされて、サイテーサイアクのクズ男とか言われて罵倒されに行くこともないよな。そこまで言われたことはないけど。
今日は午前中、1年の同期と2年の先輩たちの4人で、テニスしたりしていたのだが、午後はみんな別のグループで行動するということで、あぶれてしまった。夏合宿は参加したけど、秋の旅行には参加しなかったからだろうか、何となく溶け込めない感があって、俺は混ざることができなかったんだ。もちろん、混ざるのを拒否されたわけではなく、自分の気が進まなかっただけ。
そんな感じの傾向は昔からあったのだけれど、去年の夏合宿では、ももか先輩が俺のことをよく見てくれていたので、俺は一人になることはあまりなかった。
けれども、今回、ももか先輩は何だか余裕がないのか、俺のことをあまり構っている時間が多くない感じだ。
でも、一人でいるのも悪くないし、夜は宴会だし、別に寂しくもない。
俺は、海岸に行って見ることにした。
誰かに会うかなとも思ったが、誰もいない。
まあ、そんなものかと苦笑しかけたその時、向こうに晃さんとももか先輩がお店に入って行くのが見えた。
ああ、あの2人の邪魔してはいけないな。
見つからないように、そうだ、あの小屋の影のところに入れば、あっちからは見えない。
ということで、俺は小屋の反対側に移って、そこで海を眺めていた。
しばらくすると、小屋の横、すなわち俺の横を通り過ぎて行ったカップルがいた。
静かなので、通り過ぎるまでわからなかったのだが、晃さんとももか先輩じゃないか。
2人とも俺には気が付いていないようだ。
あれ、何だろう、距離が微妙に離れてるし、いつもより、足が速いような。
そして無言。
明らかに変だ。
なんか気まずい。見つかりたくない。
と思った俺は、先ほどの岩村さんに遭遇するというリスクのことも忘れ、宿に戻ることにした。
逃げるように宿に戻ってきた俺は、運悪く、女子に割り当てられた部屋を出てきた岩村さんに遭遇してしまった。
やばい。
と思った瞬間、
「高階君、おかえり。あのさ、今回の合宿に、瞳さん来てないよね。」
あれ、岩村さん、俺と会話してくれるのか?まあいいけど。
「市川さんか。そうだね、今回参加してないよな。そもそも、最近あんまり見かけないかも。」
「瞳さん、別の旅行の予定があったみたいなんだよね、もっとも直前に急遽キャンセルになったらしいけど。」
なんで、この子、仲が悪いはずの俺に話すのだろう。
まてよ、まさか。
次の瞬間、俺の中で違和感のジグソーパズルがどんどん埋まっていった。
そうか、そういうことか。
ももか先輩が心配だ、大丈夫かな。行かないと。
「高階君、ダメだよ。私も行きたいけど。」
岩村さん、そうか、君はももか先輩を慕って係を引き受けてるくらいだものな。
知ってたのか。
「全くもう、これだから高階君は。私とは気が合わないし、サイアク野郎だし。」
とお約束のようにプンスカしながら女子部屋に戻ってしまった。
気が合わないどころか、感性一緒じゃないか、岩村さんよ。
今度から咲ちゃんって呼んじゃおうか。
ダメだな、サイテーサイアククズ野郎にさらに2つ位称号を付け足されるだけだろうし。
俺は、何やら盛り上がっている雰囲気の女子部屋から離れて、割り当てられた男子部屋の1つに向かった。
この日、俺と岩村さんだけが感じ取った、晃さんの浮気を原因とする晃さんとももか先輩の破局は、合宿が終わった後、だんだんと他のサークルメンバーにも噂として流れていくようになる。
あれは、ももか先輩と晃さんの破局の噂が広がっていく直前のことだった。
サークルの春合宿が終わった直後のキャンパス。
新学期は始まっていないが、結構学生が歩いている。
俺も、サークルの新入生勧誘の諸準備のため、大学に来ているわけだ。
あ、晃さんとももか先輩だ。
「ちわっす」
と、あまり言わない挨拶を言ってみる俺。
「なんだよ、痴話ってよお、お前らしくない下劣な挨拶だな。」
と陽気な晃さん。
しかしその横のももか先輩は、
「つまらない冗談ね。」
対して、晃さんは気にした様子もなく笑っている。
「あははー」
でもなに、ももか先輩のあの一瞬の冷たい視線。
そう、彼女が彼氏を窘めるような感じは微塵も感じられないような、心底軽蔑しているって感じのもの。
彼女が彼氏に向けるものじゃない。
やっぱりそうでしたか、ももか先輩?
そんな思いを俺が秘めているとは全く気づかずに、いつもの陽気な感じで晃さんが俺に話しかける。
「お前、サークルも結構真面目に活動してるよな。お疲れ。」
「まあ、2年になりますからね、新入生も入ってきますし。」
「おお、頑張れよ!」
「失礼します。」
と、俺が去ろうとすると、ももか先輩がじっと俺を見ていることに気が付いた。
とりあえず、ももか先輩にも会釈する。
ももか先輩は少し微笑みを受かべて、小さく手を振った。でも、その目は何かを言いたげだった。俺は何も聞くことはできなかったけど。
*
それからまもなく、晃さんとももか先輩が別れたという話が、サークル内で確定事項として共有されることになった。
同時に、晃さんとサークルメンバーの市川瞳さんの関係が明らかになった。どうも晃さんが二股かける感じで、少し前から付き合い始めたらしい。
もともと、晃さんと市川さんは友達として仲が良かったみたいで、普通に2人で話しているところを見たこともあったが、ももか先輩と市川さんは友達というよりは、サークルの仲間にとどまる関係なのかなという感じで、2人でいるところは見たことはなかった。
俺は、サークル内の私的なネットワークからは外れている場合が多いのだが、岩村さんがなぜか晃さんとももか先輩の別れ話と、晃さんの新しい関係に関しての話を教えてくれたので、まだ春休み中だというのに、これらに関しては、割と早くその情報が流れていることを知った。
サークル内での二股という大胆なことをした晃さんは、当然かもしれないが、メンバーの非難を受けることになった。
(三橋さん、最低男だよ。)
(市川瞳もひでえ女だよな。俺たちのももかタンの幸せを奪いやがって。)
ももか先輩は、あんたらの所有ではないけどな。
それはそれとして、
(波岡先輩がカワイソすぎる。これは萌える。)
萌えるんじゃねえ。
みたいな感じで、あることないことごちゃごちゃになって、収拾がつかない状況になってしまった。ももか先輩というサークルの重要人物を二股かけて切り捨てたというのは、メンバーには相当なインパクトだったのは間違いない。
本来個人の問題ではあるのだが、会長の浅野さんは、この件に関して、サークルの公式問題に準ずるものとして、動いていたらしい。
その場合、副会長に相談してというところなのであろうが、副会長はももか先輩なので相談するわけにもいかず、会長の同期の人たちとかと相談したりしていたようで、先輩方の間で非公式に話し合われたとのこと。
その結果、晃さんにはかなり厳しい話がなされたらしい。これも噂だけど。
岩村さんは、
「悪口みたいなことは言いたくないんだけど。」
と前置きしつつ、二股が問題ではなく、市川さんと旅行に行こうとして合宿をドタキャンしかけて、サークルの運営を混乱させたことが会長の浅野さんや先輩たちの逆鱗に触れたらしいということと、当初は、ももか先輩の自業自得みたいな感じで考えている先輩も少なくなかったそうだが、合宿の準備を放棄し、さらにドタキャンを企てたということで、晃さんは、仲が良かったはずの浅野さんにも見放されたらしい、ということを後になって教えてくれたのだが、この時は俺は何も知らなかった。
そして、公式というかはっきりとしたことは、公表されることはなく、会長や先輩たち、そして本人も言わないので、結果としてどのような裁定になったのかはわからないけど、退会勧告といってるメンバーもいたし、たぶん外れてはいない気がする。
このときの俺は、若いんだから、別にいいじゃないか、二股は良くないとは思うけど、そもそもサークルの活動とは関係ないし、それだけで退会させることはないじゃないかよ、と思ったのだが、他のメンバーはそうでもないみたいだった。
俺の同期の男子学生なんかも、
「三橋のクズ野郎、永久除名でいいよ。いや、そんなのじゃあ済まされない。殴ってやりたい。」
とか言ってた奴がいた。いや、こいつマジだわ。まあ、本当に喧嘩は売らないと思うから、流したけど。しかし、そこまで評価ダダ下がりなのか?
「俺、サークルやめることにしたよ。」
新学期が始まる直前、晃さんは俺に話してくれた。
いたたまれなくなったみたいだ。それに、市川さんもやめるらしい。
「やめることないじゃないですか。」
「いや、けじめをつけないとね。お前にも世話になった。」
「何言ってるんですか、俺こそ先輩には感謝しかないです。同じコースの先輩後輩として、よければ、これからもお付き合いよろしくお願いします。」
「ありがとう。そういってくれるのはお前だけみたいだ。俺は嬉しいよ。もう誰も挨拶してくれないしさ。自業自得とは言え、全て否定されるようなこと言われたりもしたからね、ほんと、お前には救われたよ。こちらこそ、良かったらいつでも連絡してくれよな。」
そっか、想像以上に評判悪いんだな。でも、一般的にはしょうがないのだろうな。
「ありがとうございます、また連絡させていただきます。」
「そうだ、ももかのことなんだけど、悪いことしたってのはわかってる。虫がいい話ではあるんだけど、良ければ、なんだけど・・・、ももかのこと、仲の良い先輩として、これからも頼む。」
さすがの俺も、それには何というか、複雑な思いを抱かずにはいられなかった。
「晃さん、何を仰りたいのでしょうか・・・まあ、ももか先輩とは、これからも仲良くさせていただきたいとは思ってますけど。」
「あー、俺、何言ってるんだろう。そうだよな、今更何を言う資格もないよな。すまない。俺ってほんとに身勝手だよな。忘れてくれ。」
晃さん、ひょっとして、俺にももかさんを託したかったのだろうか。いや、あの晃さんだもん、そんな身勝手な発想はしないはずだよ。捨てた女を後輩に・・・なんて、クズ男、いや、カス野郎の発想でしかない。
「少なくとも、ももか先輩は俺の大事な先輩ですから、そこは安心してください。」
「そうか、ありがとう。じゃあ、またな。」
晃さんは行ってしまった。
そして、市川さんもひっそりとサークルを退会してしまった。
たかがサークルだし、入退会は自由だけど、ちょっと寂しいという気持ちと、なんか割り切れない気持ちだ。
その直後、俺は市川さんと学内で鉢合わせた。俺は、サークルを辞めたといっても、向こうは先輩だし、普通に挨拶した。市川さんは、はっとしたような顔を向けたが、少し笑顔を見せて挨拶を返してくれた。
俺が知りうる話の範囲だけど、晃さんだけでなく、市川さんにも結構厳しい見方をするメンバーが大半だったから、結構無視とかされてたのかもしれない。
確かに、晃さんのしたことは、ほめられた話ではないと思うけど、たかが学生の恋愛じゃねえのかなあ。学生時代の恋愛から結婚するカップルが存在することは認識してるけど、それだけがあるべき姿ってわけじゃないだろうし、少なくとも、周りがとやかく言う筋合いはないのじゃないのかなあ。
それに、ついこの間まで仲間だったのに、突然無関係って言う扱いもないって思うのだけど。
こんなことで、折角築き上げた人間関係が壊れていくなんて。
よくわからないけど、でも、恋愛って、何か嫌だ。俺は、本気でそう思っていた。
そして、岩村さんから、運営を混乱させたことが問題になったという話を聞いたとき、それなら仕方なかったのかもしれないとは思ったが、晃さんを責める気には何故かならなかった。
そんなサークルを揺るがす「大事件」ではあったのだが、新学期が始まると、サークルではそんな騒動もすぐにメインの話題でなくなってしまった。
そんなある日、まだ授業は始まっていないが、個人的な調べ物があって、俺は図書館に来ていた。
朝から来ていたのだが、ふと気が付くと昼前の時間。俺は、昼食を取ろうかと館外に出て、キャンパスの外に行こうと学内のストリートを歩き始めた。
あれ、前を歩くのは、晃さんと、市川瞳さんだ。でも、何だろう、あまり親密そうな感じでもなく、早足で歩いている。
向こうは俺に気づいていないようだったが、俺はなんとなく後ろについて行きたくなった。別に何か探ろうというつもりではなかったのだが。
そして、晃さんと市川先輩は、学外に出るかでないかのあたりで、手をつないで、一瞬二人で微笑みあうような感じで、どこかに行ってしまった。あー完全にカップルだな。学内では遠慮してただけなのだろう。ま、いいんじゃないのって感じ。
その時、
「ちょっとちょっと」
「うゎ・・」
俺は驚いて思わず声を上げそうになったが、振り返るとそこには微笑みを浮かべたももか先輩が立っていた。
「二股かけられて、フラれちゃったけどさ、でも、あの2人仲良さそうだし、もういいかなって。」
と、言いつつ、ちょっと涙目にも見えるももか先輩だった。
もう、晃さんたちのことはいいや。
「あの、なんというか、元気出してください!」
泣きそうかなと思えたももか先輩だったが、もう明るい笑顔だった。
「何そのセリフ、まあいいや。なんか元気出た。ねえ、ちょっと付き合ってくれない?」
「まずいです!晃さんに隠れて。」
何言ってんだ俺。やべえ、こんなところでお仕置きのハグ攻め喰らいたくない!
「何言ってんの、もう終わった関係だよ、見たでしょ君も。それに、お茶しようってだけだよ、何か勘違いしてるのかな?」
俺の過剰な動揺を見透かしたかのように、微笑みつつ余裕な台詞を俺にかける、いつも通りのももか先輩だった。
「と、とんでもないです!ご一緒させていただきます。」
「たまにはおごってあげる。」
最近は、たまには、ではなく結構頻繁な気もするが、指摘するとやはり怖いことが起きそうなので、素直にももか先輩に従う俺である。
ももか先輩は、俺をあまり行った記憶がない喫茶店に連れて行った。そして、特に晃さんとのことを話すわけでもなく、いろいろな話をしてきた。
ももか先輩は、終始笑顔だったが、悲しい気持ちも秘めているような気がして、俺はつらかった。
それでも、それを悟られないように俺も笑顔に努めた。
でも、帰り際。
「高階君、心配してくれてありがとうね。私は大丈夫だから。そう、君がこうやってお話してくれれば、大丈夫だからね。」
とりあえず俺は、その意味を深く考えることもないと判断し、ただ単に先輩が笑顔でいてくれるのなら、お安い御用ですよ、と思っていた。
*
学生たちは新しい学年になった。
俺も2年生になった。
そして、新しい1年生が入学してくる。
我がサークルも、新会員を積極的に勧誘する。晃さんと市川さんの退会で、一件落着とはならず、当初はかなりぎくしゃくした雰囲気もあったが、それでも、会長を中心として勧誘の準備のため、活動している。
そして、新入生獲得もなぜか結構な数の1年生が仮とはいえ、入会してくれることになった。確かに、このサークルらしくもない団結感のある感じだったから、それがよかったのだろうか。
もっとも、騒動の話はでなくなったとはいっても、みんな忘れたわけではないような気がする。
ももか先輩は、そうしたサークルの活動にちゃんと顔を出してくれている。メンバーとも普通に話している。
でも・・・
笑顔は前と同じで可愛いけど、辛そうなのは俺にはわかる。
多分、岩村さんもわかっているのだろう。彼女はももか先輩を慕っているし、たぶん俺以上に状況をわかっている気がする。
ももか先輩から、電話はあれ以来こないが、メッセージはたまに来る。俺も送る。
メールも来たりする。
結構長文で、楽しい。
それから、ももか先輩は、俺に懐くような感じで何かと話し掛けてくるようになった。
あれ?俺の方が後輩のはずだけど。
岩村さんには、
「高階君、ももかさんに気に入られようとしてるのね、サイテーのクズ野郎。」
とか言われたりする。
サイテーはいいけど、クズ野郎は止めて欲しいんだよ、咲ちゃん。
俺は二股かけたりしないし、そもそも彼女いないし。
こうして、様々な人間関係が交差する状況に巻き込まれたような感じで、俺は怒涛のように状況が変化していく春を過ごしていた。
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