第2話 間違いノート、ひまわりと屋上の秘密基地

浅野柚希が星見高校に転校して三週間目、初めての月間考査が行われた。数学の試験紙には赤いバツがいっぱい付き、柚希は机に伏せて落ち込んでいると、理奈が静かに隣に座り、自分の間違いノートを差し出した。


「これらは基礎問題だ、公式を間違えただけだ。」ノートには筆跡が整然と並び、各問題にはミスの原因と解き方が詳しく記されている。「分からないところがあったら、いつでも聞いていい。」


柚希はノートを抱え、目頭が熱くなった。陽太はその場に駆け寄り、檸檬飴を渡して笑った。「落ち込むな!理奈が教えてくれるから、きっと成績が上がる!俺も手伝うぞ!」


その日から三人の日常に固定の軌道が生まれた。朝、柚希は手作りの全粒粉パンを持ってきて、早く教室に来て問題を解いている理奈に渡す。昼休みには、陽太が園芸用具を持って、三人で空地に行ってひまわりの世話をする。夕方には、理奈が柚希に数学の問題を教え、陽太は傍で園芸用具を拭きながら、時々冗談を言って柚希を助ける。


陽太は偶然、教學棟の屋上を発見した。錠前のないこの場所は視界が開け、校庭全体が見渡せる。彼は古い椅子を運んできて、ブランケットを敷き、三人の秘密基地にした。


試験に失敗した柚希が屋上で遠くの山を眺めていると、理奈が知识点のまとめを持って来て、一つ一つ解き方を教えてくれる。理奈が競技のプレッシャーで泣いていると、柚希が温かいミルクを渡し、陽太が学校の面白い話をして彼女を笑わせる。陽太が世話をしていた野良猫が行方不明になると、二人は彼と一緒に校庭を探し、最後に屋上にキャットフードを置いて待っていた。


彼らの話題はいつも単純で、難しい数学の問題、育ち盛りのひまわり、学校の出来事、それぞれの夢——柚希は園芸の大学に入りたい、陽太は獣医になりたい、理奈は医学部に進んで医者になりたい。恋の匂いは一点もなく、ただ適切な陪伴がある。春の風のように、柔らかくて力強い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る