人気者とボッチ

 列車に揺られること一駅。

 俺の家の最寄り駅。終点だ。

 学校から歩くとなかなかな距離だが列車では数分だ。

 

 今日はいつもと違い昼間という事もあってか客は俺一人。

 俺の両親は車で先に帰っている。


「――」


 これなら車で一緒に帰れば早かったな。

 などと思いながら無人の改札を抜けると――。


「――にゃ」

「は?」


 誰もいなかった駅と思ったが。

 何故か見覚えのありすぎる猫が座っている。

 そして猫の足元にはなぜか綺麗な花が一凛――。


「……お前あの猫か?」

「にゃ」

「いや、だから言葉わかるのかよ」


 すると猫が足元に置いていた一凛の花をくわえて俺の方に――なっ。これはまた最後の最後でおしっこ――などと俺が思い一歩下がるか考えていると。


「――」


 無言で猫が俺の前に一凛の花を置いた。


「うん?」

「――にゃ」


 まるで俺に上げると言わんばかりの花。


「これ――まさかお前俺が卒業式ってわかっているのか?いや、たまたま――にしても花?え?お前が?」


 しゃべらないので意図はわからない。

 しかし――今日の猫はおとなしい。

 そしてこの花はまるで今までの和解ではないが。

 それでも3年か相手をしてやったお礼――卒業祝いのように俺には見えた。


 超性格悪い野良猫――とか思っていたが実は――。


「うん?っか、なんでお前この駅に居るんだ?うん?」

「にゃにゃ」


 するとなぜかニヤッと猫に笑われた気がする俺だったが――まあ今日のところは最後にいいこともしてくれたので許すことにするのだった。


 ◆


 なお4月からまた今度は俺の家の最寄り駅に野良猫が住み着くとか。この時は思いもしない俺だった。




 了

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駅と猫と僕 くすのきさくら @yu24meteora

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