第5話
あまりにも頭の悪い、しかし微妙に生物学的整合性のある異世界は、俺にとっては極楽だった。
おバカ映画の『26世紀青年』だとか、あるいは偏差値10の学生が知恵の勇者とか呼ばれてしまうラノベとかと同様、周囲のレベルがあまりにも低いが故の現象には違いない。それでも高名なアインシュタイン博士の言う通り、物事はすべて相対的なのだと、物理専攻の教授が助走つけて殴ってきそうなことを思う。実際ここでは女は食い放題、無責任なことし放題。ちょっと外出してみれば、見目麗しき貴族令嬢やら妖艶なる未亡人――男がさっさと死ぬので、既婚者の大部分が未亡人だ――やらが、釣り餌を前にしたダボハゼも同然に群がってくる。
今まさにホテルのスイートでぐったり眠っている別嬪さん達も、そうした中から選んだって訳だ。
本音をいうと、できれば自分の体を求めてくる全員の相手をしてあげたいが、流石にそれは難しい。幾ら脱法回復魔法の術者が街に1人はおり、バイアグリウムとかいう怪しからぬ即効性魔法薬が普通に市販されているといっても、一晩に相手できるのは8人が限界だ。性交自体が大変リスキーであったためか、ほとんどの女が挿入と同時に絶頂してしまうので、理論上は倍増させることも可能だが……それだけでは味気ない。やはり双方にとって最高の思い出となるよう、子宮にたっぷり精を注いでやるのが一番だ。
なおちょっと笑ったのは、タナトスとエロスが抱き合い踊り果ててるところ。つまりホテルと葬儀場がだいたい一体化しているのだ。男がシャケ的生態をしている以上、合理的な設計なのだろうが、もう少し何とかならなかったのだろうか。
「ところでイリーナはどうしたのか?」
そんな疑問の声が聞こえてきそうである。
性欲と独占欲の権化とも評すべきニンフォビッチ家次期当主様(笑)だ。俺がホテルで他所の女としっぽりしまくっているのを見たならば、たちまち阿修羅をも凌駕する存在となって、盛大に火炎弾をぶっ放してきそうであるが……実のところ彼女は半年ほど前、王国の憲兵隊によって逮捕され、信仰裁判所に連行されてしまったのだ。
「王国の藩屏たる地位を濫用し、浅ましき快楽のためだけに性を貪食した」
「淫魔として世を乱し、生殖にまつわる神の秩序を冒涜した」
確かにそんな罪状だったはずだ。
いったい何処の中世キリスト教会だと思うが、生殖に結び付かない性行為を禁忌とするのは、シャケみたいな男しかいないドーヘンタイン王国では至極当然のことなのかもしれない。加えて俺はまず睡眠薬入りのホットティーで監禁されたし、めそめそ兄弟みたいな例もあったから、謂れは腐るほどあった。ちなみにポリスメンに踏み込まれた切っ掛けは、俺とのハメ撮り念写を街のあちこちに貼り付けて自慢するという、本当に知能指数が2くらいしかなさそうな愚行である。
とはいえそれで火炙りというのは、幾ら何でもあり得なかった。
イリーナは腐っても有力貴族の嫡子。不輸不入みたいな特権を山ほど持ってそうな彼女に死罪が下ったのは、他のドーヘンタイン王国貴族家はもちろん、母親や姉妹からも見放されたが故である。だから俺は説得に回った。もちろん性的説得という奴だ。ニンフォビッチ一族を相手に迫真の親子丼プレイをし、メンヘラビッチやオメコビッチ、ナガチチビッチといった名門の子女を片っ端から堕としまくり、協力してくれたら皆にもっとサービスするからと、十全の陪審員工作をしたのである。
そして事前に処女でなくしておいた――残念なことに処女でなかったのも割合いたが――信仰裁判所の高僧達を前に、
「イリーナは俺を死ぬまで犯す気だったかもしれないが、俺はこの通り死んでない!」
「というかもっとあいつを抱きたい、俺の大事なセフレを奪わないでくれ!」
といった具合にクズさ全開の、心底頭の悪い大演説をぶってやった。
もちろん効果は抜群だ! 被告人席でひたすら絶望に打ち震えていたイリーナは、どこぞの県議ばりの大号泣であったし、あちこちからすすり泣く声とか万雷の拍手とか聞こえてきた。うーん、知能指数が0を突破してマイナス域だな。あまりにトチ狂った光景だったが、ドーヘンタイン王国基準では、ひどく文学的な何かになってしまったのかもしれない。
とはいえ何度も身体を重ねた相手だ、そう簡単に切り捨てられはしないだろう。
少なくともイリーナは俺を人食いシャケから助けてはくれたし、その後は日がな一日お楽しみだったのだ。腹上死させた男の数を競う悪徳貴族闇ゲームの一貫だったと言われても、俺はピンピンしているんだから知ったことではない。それからシャケは故郷の川の匂いを覚えていて、数千キロ離れた大海原から、遥々戻ってくるという。身一つでこの異世界に強制転移させられた俺は、それと似たような理由から、彼女の肉体に変質的な母性みたいなものを感じているのかもしれなかった。
もっとも少し残念なのは、一応はほぼ無罪放免となったイリーナが、謹慎のため修道院に入れられているところだ。今のところ面会は週に一度まで。それに「やればできる」という大変いい言葉の通り、お腹も膨らみ始めているらしい。
「まあそんな訳だから」
今日も今日とて、俺はひたすら腰を振り続けている。
派手に動き過ぎたせいで、かなり性治的もとい政治的な存在となってしまった俺は、権謀術数を繰り広げる貴族社会に組み込まれてしまっていた。まあそれもまったく悪くない。エロゲのフラグ管理的な面倒臭さもあるといえばあるが、念願のハーレムは完成されていて、まさに尻選び放題だ。これもまた社会の潤滑油って奴なのだろう。
「いやでも、潤滑油つったらこっちだよな」
「ああッ、ノボル様ッ」
傍らに転がり、上目遣いでこちらを見つめてきていたメンヘラビッチ家三女のユノウ。
16になったばかりの彼女の秘部に指を這わせ、大して上手くもないはずの愛撫をしてやる。陰核を刺激するたび、彼女はビクビクと身体を震わせ、俺の中指はあっという間に潤滑油まみれになった。
無論、前戯だけで終わらせる心算はない。
柔らかく弾力のあるハート形の尻をグイッと上げさせ、綺麗なサーモンピンクの湿った穴に、後ろから一気呵成に攻め込んだ。そうして断続的に発せられるユノウの喘ぎ声と、男を知って間もない肉の感触を味わいながら、つまるところ俺はどうしようもなくスケベなんだと開き直る。この頭のおかしい異世界では、実際スケベで問題が解決するのだ!
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