第7話
「あの、先輩起きてください。黒子駅、着きましたよ。」
「最初から起きてる。降りるぞ。」
電車から降りる前に忘れ物がないかの確認を行い、東保が席に置いていた鞄を持って降りてくる。
やたら人の少ないホームに停車した電車は私たちが降り、他に降りるものがいないことを確かめてから駅を離れていった。
時刻は21時47分。
充分遅い時間である。駅を出て自宅に向かっている最中、そういえばと気付いた疑問を東保に投げかけた。
「東保、お前今日いきなり家行ってもいいか聞いてきたけど、肉見た後どうするんだ?」
「帰るつもりではありますけど、考えなしに来ちゃったんで家に帰る為の電車があるか次第ですね」
「それは場合によっては帰れないってことだよな?その時は止まってくか?布団あるぞ。」
「いいんですか?じゃあその時はお願いします。迷惑にならないようなるべく帰るようにはしますけど。」
「分かったけど無理はせずにな。寒いし、風邪を引かれたら困る。会社の業務的に。」
ぐたぐた喋っていると私の住んでいるアパートの目の前に着いた。壁が薄く、声が他の部屋にも聞こえる可能性がある為、東保にはあまり大きな音を立てないよう注意しながら階段を上る。
鞄から鍵を取り出して、穴に差し回す。ガチャと音を立てて開いたのが分かる。ドアを開けたら東保を先に上げて、ジャンバーをハンガーに掛けさせる。
「先輩、動く肉ってどこにありますか?テーブルまで持っていきます。」
「ん、冷蔵庫。新聞紙で包んでからビニール袋ん中入れて縛ってるから一目でわかると思う。」
場所を東保に教えて、靴を脱いでいる最中。唐突にリビング方向から、ドンッ!!と大きな音が鳴った。
少し驚きながらも急いでリビングに行くと、冷蔵庫前に落ちているバスケットボールサイズの肉塊と落としてしまったようなポーズで固まっている東保がいた。
落ちた肉塊の下には赤い水溜りのようなものがあり、そこに肉塊が落ちたからか至る所にそれが飛び散っていた。
「おい!大丈夫か!やたらとデカい音してたけど、怪我とかないか?」
「いや、それはだいじょうぶですけど。ゆかとかよごしちゃいました。なんかもったあとすこしちからがはいらないときがあって、それで」
「落とした理由は分かったから、雑巾持ってきて。床拭くから。キッチンの下の棚の中に入ってる。」
「せんぱい。」
「なに?」
「かえります。」
塊獣 malin @konpeitou014
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