第6話
昼休憩が終わり、再び仕事をこなして今日の業務は終了した。定時で帰れはしなかったが、早い方なので文句は言わない。
今は冬だから日が暮れるのが早く、息も白い。今日はいつもより寒いのに手袋をしてこなかったことが悔やまれた。
東保が肉を見に行きたいと言っていたので、自分の仕事が終わった後も暫く会社前で待っていたのだが、中々来ない。
外で待つことには耐えられなかったので、一度近くのコンビニに暖かい何かを求めて行き、カフェラテを買って戻ってくると、丁度ジャンバーを着た東保が会社から出てくるところだった。
「お〜い… やっと来たな。遅いぞ、いつまで待たせるつもりだ。危うく凍死しかけたぞ。」
「すいません。少し長引いてしまって、本当は早く終わらせたかったんですけど… 」
「はいはい、分かったから。行くなら早く行くぞ。こっちはお前のせいで凍えてるんだからさ」
「本当にすいません。あとで、なにか温かいもの渡します。」
そこから若干駆け足で駅に向かい、冷えた両手でカフェオレを持っていた。
駅に着いて、電光掲示板を確認すると残り7分の黒子行きの電車があるのが分かった。
「東保、乗るのは黒子行きのやつだからな。早く行くぞ。」
「先輩、少し待ってください。自分、交通系ICカードとか持ってないので、切符買わないといけないんですよ。」
「分かったけど早くしてくれよ。これ乗り遅れたら次は30分後なんだからな。」
東保はそそくさと黒子行きの切符を買いに行き、私はそれを遠くから見守る。間違えないとは思うけど、万が一。
遠目から見ていても東保は切符を買えたらしかったので、近付き改札に向かいながら交通系ICカードを取り出す。
素早く改札を通り、カードをしまって、駅のホームへ行くと電車は入ってくる直前だった。電車は勢いを少しずつ殺し、乗車位置でピタリと止まった。
乗ると退勤時間が他より少し遅かったからなのか、人が少なく席に座る余裕があった。
「なぁ… 東保。今から寝るから黒子着いたら起こしてくれるか。」
「分かりました。先輩、今日しっかり寝れてないって言ってましたもんね。任せてください。」
「うん、任せた。」
もう一度まだ冷えている両手でカフェオレを持ち、目を瞑る。疲れが蓄積していたのかは知らないが、それだけで少し眠れる気がした。
そこから結局六つ駅を通り過ぎる間、眠れそうで眠れない状態で黒子に着いた。
『まもなく黒子に到着いたします。お出口は右側です。お降りの際は足元にお気をつけください。』
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