第3話
「…ただいま」
ガチャっと開いたドアのその先の暗くて空虚な空間に私が発した音だけが広がる。左手に持った唐揚げ弁当の入ったガサガサとなるレジ袋を廊下に置き、靴を脱いで上がるとレジ袋をリビングのテーブルまで持っていく。
着ていたスーツはハンガーにかけ、ワイシャツは洗濯カゴに投げる。その後は私服に着替えてから手を洗い、からあげ弁当のふたを取ってから電子レンジに入れて温める。
その間にコップに水を注ぎ、箸を取る。水を入れたコップはリビング中央のテーブルに置き、箸はその上に置いた。
残りの時間は電子レンジの前で弁当が温まるのを待っていたが、からあげの発するジュージューとした音に我慢できず、中途半端な状態で取り出す。
私はそれを小走りでテーブルに持っていき、ふぅふぅと冷ましながら弁当内の白米とからあげを食べ、今日一日を振り返る。
今日の仕事に関しての問題は特にないが、やはり朝に起きた謎の肉のことは不安だ。対処するにしても鍵を変えたらいいのか、犯人を捕まえればいいのか、引っ越しすればいいのか。
選択肢はあるが、金銭面的に鍵の変更も引っ越しもしたくはない。となると犯人を捕まえるしかないのだけれど、心当たりはないわけで。選んだとしても捕まえるのが難しいのだ。
今後こんなことが起こらなかったらいいけど。そう考えながらゴミ箱に食べ終わった後の弁当を捨てた時、ゴミ箱の底がチラッと見えた。
あれ?
…朝に捨てたはずの謎の肉がない。
どこにいったのだろう。もしや冷蔵庫だろうか?見てみたら朝のときのように何かが置いてあるかもしれない。
確認してみるだけ…
それなのに理由もなく悪寒がした。
冷蔵庫の取っ手を掴んで、引く。すると、そこには朝に捨てたはずの肉があった。しかも、それは朝と変わらずピクピクと動き、少し大きくなっているように見える。
これは、本当になんなのだろうか。ただひたすらに気味が悪い。肉が大きくなったように見えるからか、それともゴミ箱に捨てたはずの肉が移動してるから気味が悪いのか。
理由は分からないが、とにかく気味が悪かった。本当はこれを今すぐ何処かに捨ててしまいたかった。
だが、今から捨てに行こうにも燃えるゴミの収集日はまだ先なので少なくとも三日は待たなければいけない。
しかし、私はこれを遠ざけ、目に入らない場所にやりたかったので新聞紙で包んだ後、ビニール袋に入れて縛り、冷蔵庫に戻した。
“これ”は収集日になったらすぐ捨てにいくことにする。
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