第3話 別れ3



「美優。ごめん。ホント、ごめん。大切なお前にイヤな思いさせて…」


ほら、またその言い方。

私が一番大切みたいなその言い方。

頭にくる。


「切るから。ホントにサヨナラ」


「待って、切らないで! そっち行くから話聞いて」


「来ないでって言ってるでしょ」


「でも開けてくれるまで待つから」


「やめてっ」



嫌な男。

そんな事したら私が部屋に入れてしまう事わかってて言ってる。


「…家は無理。近くのファミレスに来て」


「わかった」


このまま電話切ったら絶対に誠司はここに来るって思った。


それなら、会って話してこよう。


私は電話を切った。


出掛ける準備の最中、ホントは今ならまだやり直せるかもなんて思ったりもした。


だけど…


だけど…。


出掛ける前に私は洗面所の鏡の自分を見た。

情けない顔をしてる。


「同じ事繰り返さないで、私」


私は自分にそう言うと、鏡の中の目を見て頷いた。


「頑張れ」


私は小さく呟くとファミレスへ向かった。




ファミレスに向かう最中、寒さにブルッと震える。

この寒さやめて欲しい。

心も寒いのに。

私は足早にファミレスへ入った。

誠司はまだ来ていない。

奥の方の席へ向かい、コートを脱ぎ、ドリンクバーを1つ注文した。


ドリンクバーで温かいハーブティーを作る。

気持ちをゆったりさせるカモミールティーを選んだ。

少し緊張してるから。


席についてからゆっくりカモミールティーを口に含んだ。



「美優」


顔をあげると、肩を上下させている誠司がいた。

走って来たんだろうか。

車で来たらいいのに。

これも演出か何かかと思ってしまう。


私は表情を変えず、「…座ったら?」と向かいの席を誠司に勧めた。


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