第17話
ーーレインの力を見たラントは、とてつもなく動揺していた。
お、おかしい。強いとは聞いていたが、ここまでとは・・・
魔法の詠唱は一度に一回が基本、熟練した者でも3つが限界だと言うのに、4つとは、、しかも、まだ余裕がある様に見える。
俺はAランクの冒険者だ。自分の力には自信があった。しかし、こんなものは、、まるで魔王の力でも見ているようだ。
それに、ライト・バレットもライトソードも、あんな魔法じゃない。もっと数も少ないし、何より攻撃力が高すぎる。
「『ライトソード』」
あぁ、これは...
「『ファイア・ブレード』」
「とんだ化け物だな」
・・・もう少し、観察する必要がありそうだ。
▽
*《60階層》*
まさか、1日でここまで来れるとはな。
「ラントさんのおかげですよ、もう60階層だなんて、最下層目前じゃないですか」
「いや、大体倒してるのはレイン君じゃないか・・・」
俺はほとんど何も出来なかった。魔石拾いとか、あとは残った魔物の討伐。楽すぎるし、全然倒せてない.....
「ここは、僕にやらせてもらえないか」
このままじゃ、いくらレイン君が強いとはいえ不甲斐なさすぎる。
「別に良いですよ」
前には魔物がいる。結構でかいけど、動きが鈍そうだな。こっちから仕掛けるかーーー
「『氷の刃よ その殲力を以て 斬り伏せたまへ』」
振るった剣から、無数の氷の刃が魔物に斬りかかる。魔物は、一瞬にして氷に包まれた。
そして、ここからが真骨頂だ。
「『氷刃錬成』」
俺の頭上に大量の氷の剣が生成される。
「はぁぁあっ!!!」
氷刃は凍った魔物を突き刺し、何もさせないまま滅びていった。
「うわぁ、すごいですね」
レイン君が不思議そうな目で近寄ってくる。
「さっきのは、魔法の詠唱ですか?」
「ああ、俺は魔剣士だからな。唱えることで、この氷剣と共鳴して魔法を発動させるんだ。普通のスキルとは少し違うかな」
「へぇぇ、氷以外は使えないんですか?」
・・・なかなか率直に聞いてくるな。俺もこれから頑張ろうと思ってたところなのに、、
「使え、るんだけど、あんまり得意じゃなくてね。何せ、剣と魔法を同時に意識しなくちゃいけない。これは氷専用の剣だからいいけど、普通の剣じゃあまり上手く制御もできない」
「そうなんですね、ありがとうございます」
まあでも、これで少しは役に立てた、かな。
「それじゃ、先に進みましょう」
...ずっと、気になっていたことがある。この子はすぐに先へ進もうとする。まるで、魔物なんか興味ないみたいに。
それに、俺と喋ってて、確かに普通の男の子に見えるが、、、たまに見せる、この虚ろな目は何だ?
何か心ここにあらずな感じが、ほんの少しだがひしひしと感じられる。一体この子はーーーー
「つきましたよ」
「あ、ああ」
まあいい、とりあえず、まずはここを踏破しなければ。
*《61階層》*
「ここ、本当に最下層ですか?なんか明るいですけど」
「君は、最下層に来たことがあるのかい?」
「まあ、一回だけ」
来たことがあるのか、、まあ、これほどの力があれば、ほとんどのダンジョンは1人でもクリアできるだろう。
『グァァウ、ガラ』
「魔物ですね、このダンジョンのボスでしょうか」
「ああ、だろうな」
何だ、意外と小さいな。これなら俺でも倒せそうだ。
てか、何だこのレイン君の顔?がっかりしたようなーーー
バタッッ...
あれ、何の音?・・・
ラントはふと下を見た。
「う、腕が、腕がぁぁ、?!」
何だ、何が起こってる?何をされた?
「レイン君、早く逃げーーー
前を見ると、腕は切り落とされ、胸を刺されて崩れ落ちる、レイン君がいた。
「おい、レイン君、レイン君!」
近づきたくても、腕の痛みで立ち上がれない。
何でだ、ここはB級のはずじゃなかったのか?どうして、こんな、、
「レイン君!」
その時、突然レイン君から光が放たれた
何だ、眩しいっ...
「よいしょっとぉ」
「レ、レイン、君?」
そこには、何一つ傷のない、レイン君が立っていた。
レイン君の傷が、どうして・・?
「レイン君、だ、大丈夫なのか」
「はい、心配しなくても大丈夫ですよ」
ま、まさか、回復魔法?でも、腕が生えるなんて、そんなの回復魔法の域を超えている、ほぼ蘇生みたいなものじゃないか...
しかも、さっきの光。見間違えじゃなきゃ、胸の奥から出ていた。こんなの、まるで、昔のーーーー
「『ライトソード』」
光の刃が魔物へと飛んでゆく。
しかし、ダンジョンの床から魔物の正面に石壁が生えた。
壁が生えた?これ、見たことがある、かも。
「な?!まじかよ、どうなってるんだ、こりゃ」
「レイン君!たぶん、そいつはこのダンジョンと繋がってるんだ。だから、そいつを倒さなきゃ、外へ出られない!」
「えぇ?そんなのありかよ、、じゃあ、もう早く終わらせないとな」
早く終わらせるって、どうやってやるつもりだ?魔法なんか使えば、自分に当たるがも知れないのに・・
「短剣?そんなので....」
レインは、腰から短剣を一本取り出した。そして、それはすぐに別の姿へと変わった。
「い、いつのまに長剣に?」
何だあの武器、姿が変わった?あんなのは見たことがない。もう何が何だか分からん...
「『ファイア・ブレード』『スピードコントロール』」
「へぇ、やっぱこの武器にも使えるのか。それに、格段に動きやすいな」
レイン君は魔物へと斬りかかった。剣まで使えるのか、、すごい剣技だ。どれだけ壁が出てこようと、全て斬り伏せてしまう。
しかし、魔物には傷一つついていない。魔物自体もとてつもなく強い。何より、速さが尋常ではない。
「『ライトソード』『ライトソード』『ライトソード』っ」
レインは全てのライトソードを、一気に発射した。確かに、一点に集中して攻撃すれば、壁は貫通する事ができる。
壁が燃えないから、次は数で勝負、か。戦いに長けているようにもみえる。魔物は手数の多さに追い詰められていく。
「あっっ...」
「レイン君っ!!」
背後から、不意を突かれて壁で突き刺された?!だいじよう、ぶ、か?ーーやっぱりだ。レイン君は、攻撃を受けてもいつのまにか傷が治っている。見たところ、回復魔術を使っているようには見えない。だとしたら、可能性は絞られる。まずはーー
「くっ、まだダメなのかよ、、もうっ!『スピードコントロール』『ライトソード』『ライトソード』『ライト・バレット』『ライトソード』『ライトソード』ぉ」
「今何個発動した?!」
今のは、絶対に、おかしい! あんな量は、必ず一度には唱えられないはずだぞ?! だって、1つの聖紋にも魔法を構築するのに限度がある。そんな量を一気になんてしたら、体がもたない・・・今、レイン君にはとてつもない負荷がかかっているはず。人間技じゃない。
・・・俺は、驚いてばかりだな。何もしていない。
「これでっっ」
その時、天井から何かがレイン君に向かって出てきた。
「何だっ、これ、、動けない。石の拘束具かっ....」
レイン君は、動けない。壁から出た石のリングは、レイン君の体を締め付けている。
残ってるのは、俺だけか・・・・俺は今日、何をした?子供に守られて、自分は魔物を譲ってもらっただけだ。
これは、、チャンスだ。俺が活躍できる、唯一の機会かも知れない。俺は、ここに来た意味がようやくできるかもしれない。
「ありがとう、レイン君。君のおかげで、俺も役に立てそうだ」
「『氷刃錬成』」
これで、終わりだなーーーーーー
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