第12話

 レインたちは、地上へ戻ると魔物に襲われないよう気をつけながら治療を進めた。


「あなたは人を治療するスキルを持ってるんですか」

「はい、私回復術士なので」


 へぇ、回復術士なんてのもあるのか。回復だけって、なかなかきついんじゃないか?まあ、だからパーティーを組んでいるのか。


「ていうか、さっきの魔法って. . . 」


 その時、回復術師のお姉さんが言った。


「まずはお腹空きません?話もありますし、回復できたらみんなでご飯を食べに行きませんか」

「まぁ、いいですけど」



 ▽




 そうして、俺たちは町のレストランに来た。


「助けてもらったんだ、今日はおごるよ」

「本当ですか、あ、じゃあこのお肉ください」


 俺は、ただ黙々と飯を頬張る。


 食べ終わると、男たちは話し始めた。


「改めて、さっきは本当にありがとう。自己紹介しよう。俺はラフィス・アルンだ。戦士をやってる。みんなは俺をフィスと呼ぶ、よろしく」

「おいらは、ドノ・スウェンだ。称号は〈タンク〉、よろしくな」

「・・ラナよ、魔法剣士。よろしく」

「私はフェルンよ。回復術士をやってるわ、よろしくね」


「僕はレイン・アリオス。魔術師です。」


 ラフィスは話し始める。


「いや、さっきは本当に助かった。危うく死んでしまう所だった。覚悟はしていたけど、やはり怖いものだな」

「いや、そこで立ち向かっていけるのは、すごいことですよ」


 心にもない言葉を紡いでゆく。


 そこに、急にラナさんが入ってきた。


「てか、さっきの魔法は何?ライトブレードみたいだったけど、それにしては剣の数が多すぎる。何なの、一体」

「魔法について詳しくは言えませんけど、少し魔法に恵まれたところがあるので.....」


 レインは苦笑いしながら答える。正直、俺も魔法があれほど強いとは思わなかった。短剣なんていらなかったんじゃないかと思うほどに、強かった。


「生まれつきってこと?てか何よ、詳しくは言えないって。喧嘩売ってんの」


 あれ、怒らせちゃったかな. . .


「まあまあ、落ち着いて。誰にでも人に言えない秘密なんてある物なんだから。おいらにも隠し事くらいあるし」


 ドノさんが仲裁に入る。


「それはそうだけど. . やっぱり、あまりにおかしすぎる。あんなの出来るわけない。あの魔物、私たちが万全だったとしても勝てるかどうかわからなかった。そんな魔物を一瞬で倒すなんて、きっと何かあるはず、、じゃあ、ステータスを見せて、それで満足だから」

「いや、それはちょっと..」

「何よ、何か見せられない理由でもあるのかしら」


 あるんですよ、見せられない理由が。


「おい、ステータスは冒険者にとっての機密情報だ、そう易々と見せられる物じゃない事くらい分かるだろ」


 ラフィスさんがフォローしてくれた。でも、俺に何かあるっていうのは確かだし、このままだと俺への疑いが晴れない。


「それじゃあ、代わりに僕の冒険者証を見せるのはどうですか」

「んー、別にいいわよ」


 俺は冒険者証を取り出し、机の上に置いた。


「何っ、総合能力〈D〉?嘘だ、さっきのはそんなレベルじゃなかった。少なくとも〈B〉はあったはず. . 」


 少しの沈黙の後、ラナさんは言った。


「やっぱり信じられない、信じられないよ。ステータスを見せなさい」

「おい、もうやめろ。この冒険者証は確かにレイン君のものだ、偽造なんて出来るはずがない。これ以上は無駄だ。俺らは信じるしかない」

「あんな馬鹿げた魔法を見て、これを信じるですって?冗談じゃないわ、見せるまで. . . 」

「ちょっと、人の前で見苦しい事はやめなさい」

「すまない、もう帰ってもらって構わない。今日は本当にありがとう」

「いえ、僕もごはん、ありがとございました。別に大したことじゃ無いですよ」


 そう言って、俺は店を離れた。



 ▽



「午後は時間あるけど、どうしよう」


 店を出て考えていると、ラフィスさんが店から駆け寄ってきた。


「おい、レイン君」

「はい?」

「さっき、言い忘れてた事があるんだ」


 言い忘れてた事?何かあったっけ. .


「その、、今日の朝は、本当にすまなかった。失礼な事を言ってしまったが、君は本当に強かった。俺にあんな事言う権利はない」


 ああ、あれのことか。


「別に気にしませんよ。それに、あれは俺を心配して言ってくれたんでしょう?」

「そうか、それならよかった。そうだ、明日ダンジョンに行くつもりなら、一緒に行かないか。俺らも少しは役に立てると思うが」

「一緒に. . いや、遠慮しておきます。僕は一人の方が向いてると思いますし」

  「わかった、じゃあここでお別れだな。またどこかで会おう。またな」

「はい、さよなら」


 一緒に行くなんて、俺の死の妨げになるだけだ。仲間は、いない方がいい。一人でいる方が早く終われる。仲間なんて居たら、俺の邪魔でしかないんだ。

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