第11話

 扉を開くと、そこにはさっきと似たような光景が広がっていた。


「ここが2階層か」


 ここにも人は一人もおらず、俺はどんどん先へ進んで行く。


「うわっ、次は何だよ」


 曲がり角の先から出てきたのは・・・蜘蛛みたいな奴だった。


 狼の次は蜘蛛かよ、、しかも色がキモい。赤と紫と白って、ずうたいもでかいし。何で動かないんだ?


「シャァァゥ」


 急に糸を出して体に巻き付けてきた。身動きが取れない....

 そうするうちに蜘蛛はこっちに向かってきた。まあ、くらってやるか。


 蜘蛛は牙を俺に刺す。


「ゔっ、、、うん?なんか一瞬痛かったけど、、てか全然牙抜かないし、何か入れられてる?」


 しばらくしても全然終わらない。ていうか動かないし、何も起こらない。


「お前もダメか.....、もう良いや」


 まとわりつく糸を短剣で切り、そのまま蜘蛛に斬りかかった。


 蜘蛛の動きはめちゃくちゃだな。糸を張り巡らせる事で、俺の動きは制限されている。切っても切っても新しく出てくる。これじゃあキリがないぞ...


 どうしよ、短剣じゃあ手数で負けている。ーーこうなったら、もう一つしか道はないな。


 レインは動きを止め、立ち止まった。


「さあこい、蜘蛛野郎!受けて立ってやる」


  よしよし、蜘蛛が疑いもせず、こちらへ向かってくるぞ。 ・・っと、来たな。


 蜘蛛はレインに糸を巻きつけ、牙を剥き出しに襲いかかった。


 い゛ってぇ、、よし、今だっ!


 . . . 一撃で終わった。結局大した事ないな。いや、この<英雄>のスキルが強すぎるだけか。


 蜘蛛は倒れ、中から魔石が出てきた。


 それを回収し、歩みを進める。


 この階層には、蜘蛛もいるけど狼もいるみたいだ。進むにつれて魔物が強くなるって本当だったんだな。狼と蜘蛛は、共食いとかしないのか?



 か、囲まれた。前には蜘蛛、後ろには狼もいる、確かにパーティーがいないとキツいかもな。でも、俺ならできるっっ


 レインはためらいもなくそこへ入って行く。


「おりゃっ. . . . . . . . . . . . . .



 ▽



 *《19階層》*

 さらに進んで、19階層まで来たが、大して相手が変わらない。他にも骸骨とか、でっかいハチみたいな奴とか、いろんな魔物にあったけど、、


 《vs ハチ》

 'い゛っ. . たくはない、か。こいつハチみたいに刺してきやがったけど、すぐに傷は消えちゃった。毒も入れられてそうな見た目だったし、毒ならもしかしたらと思ったけど、なんともないし. . こいつもダメか、、 '


 《vs スケルトン》

 'この骸骨、確かに攻撃しても復活しちゃって倒しにくいけど、攻撃が弱すぎないか?遅すぎて次の攻撃の前に傷がなおっちゃうし. . こいつも、全然ダメだな'



 そんな具合で、全然苦戦もしないし、まだダンジョンに入って4時間位しか経ってないのにもう19階層まで来てしまった。


「今度は、、え?また狼かよ」


 前に見たのよりもだいぶでかいけど、本当に強くなってるのか?まあ確かめてみるか。

 俺は狼の方へ突進した。


「グァウゥ」


 . . . 痛くなぁい、弱ぁい。全然ダメだな。俺が麻痺してるのか?


 短剣を取り出し、狼を切り裂いた。短剣は綺麗な太刀筋で、一瞬にして狼を無に帰してしまった。


 てか、俺は短剣ばっか使ってて良いのかな?もうお金は無いから、武器を交換することもできないし、これを無くしてしまうと困る。


 そうだ、魔法を使ってみるか。


 よしっ. . . いや、そういえばどうやって使うんだよ、魔法って。どこかに、、そうだ、ステータスに書いて無いかな。


 〈ステータス〉


 **********




 **********


 これって押せるのかな?試しにこの〈光魔法〉って奴を押してみるか。


(ポチッ)


 ーー〈光魔法〉ーー


 グロリアス・アロー

 スヴェート

 ライトブレード

 ブライトランプ

 ブレストフラッシュ

 光弾(ライト・バレット)


 ーーーーーーーーー


 これが光魔法か、意外と少ないんだな。名前でなんとなくわかるものもあるけど、スヴェートとか、よく分からないのもある。使ってからのお楽しみってところか。


 じゃあ、この〈火魔法〉はどうだろう。


(ポチッ)


 ーー〈火魔法〉ーー


 ファイア・ソード


 ーーーーーーーーー


 え、これだけ?一つしかないじゃん。何でだろう?てかずっと気になってたけど、この+Lv.537 って何だよ。


 . . . 他も見てみるか。


 ーー〈水魔法〉ーー


 ウォーターボール


 ーーーーーーーーー


 ーー〈氷魔法〉ーー


 フローズン・エリア


 ーーーーーーーーー


 ーー〈補助魔法〉ーー


 スピードコントロール

 パワード


 ーーーーーーーーーー


 やはり光魔法と比べて数が少なすぎる。魔法の数は一体どうやって増えるのだろか。さすがに1個って、、



 固有魔法は押せるのか?


(ポチッ)


 あれ、反応しない、、


(ポチッ)


 あっ、これは反応した。


 ーー〈レベル補正〉ーー


 レベル下限 Lv.538


 ーーーーーーーーーーー


 たぶんこれが +Lv.537 の正体、か?538は今の俺のレベルだし、これに合わせて増えるのかな。


 まあ良い、色々わかったし、これがあれば早く魔王のところへ行けるだろ。早く進もう。



 ▽



 *《23階層》*

 23階層まで来たが、それにしても人と全く会わない。さっきの冒険者たちは、ダンジョンが簡単すぎてもっと先にいるのだろうか。


「キィン、キィィン、」


 っ!この音は、人が戦ってる音だ!やっと会えた、、まあ、会ったから何と言うわけではないけど。


「あれ?この人達って、確か・・・」


 角を曲がると、そこではさっき話しかけてきた冒険者たちが魔物と戦っていた。


「おい、そっちは任したぞ」

「いや、1人でこの量は無理があるってば」

「やるしかないだろ」


 後ろには、怪我をした男とそれを治療する女が隠れていて、前では説教をしてきた男と剣を持った女が、5体ほどの魔物と対峙している。二人とも傷が多く、苦戦しているのか、余裕がないように見える。


「はぁ、はぁ、はぁ. . 」


 戦闘の様子を見ているだけだが、何の感情も湧かない。前の俺だったら、助けたいと思えたのかな....。


 まぁ、こいつらが先に行ってから進むとしよう。


 そう思っていると、通路の先からさらに大量の、マンモスみたいなクソでかいのがこっちへ向かってくる。


「うう、もう、ここまでか」

「流石にこの量は無理ね」

「それでも俺たちは最後まで諦めるわけにはいかない」


(はぁ、死にたくない奴が今にも死にそうで、死にたい奴が死ねないなんて、皮肉なもんだな.....)


 ただ、この光景を見るのは、何か嫌だった。俺は、終わりにできないというのに、すんなり死なれると困る。


 そして、俺は前に出た。


「よし、一回魔法を使ってみるか」


「『ライトブレード』」


 その瞬間、足元が光り、俺の周りに光の刃が10本円形になって現れた。

 刃は、俺が魔物に向かって刃を飛ぶよう念じると、思った通りに飛んで行き、魔物2体を突き刺すと消えてしまった。


 念じると飛んでいくシステムね、なるほどなるほど。


「な、何が、起こって. . .」


 男が振り向くと、そこにはさっきの男の子が立っていた。


「これは夢、か?それとも幻覚でも見ているのか」

「違いますよ、夢でも何でも無いです。でも大丈夫。僕が全部倒してみせますよ」


 それを最後まで聞く事なく、男は力尽き、そのまま倒れてしまった。



 よぉし、残りは9本。まとめていけるか。



 俺が念じると、光の刃は魔物へと飛び、突き刺して全滅させてしまった。


 よく分からないが、光の刃でさされた魔物は塵と化してしまった。塵っていうか、何も残らなかった。ただ、魔物から出た魔石だけが落ちている。


「嘘、でしょ、あの量を一瞬で?しかもまだ子供じゃない」

「・・信じられない。あんな魔法、見た事ないわ。一体何が起こってるの?」


 てか、これはとんでもないな。ほぼ体を動かさなくても、簡単に魔物を倒せてしまう。あまりに楽すぎる。これ、武器の意味ある?


 レインは、消えゆく魔物を見つめながら思った。


「あ、あの」

「はい?」

「ありがとう、ございます」


 女の人は、複雑な表情でこっちを見つめてくる。でも、俺はいまこの人達を助けたんだ。多分、説教される事はない、はずっ。


「まずは、この男の人の治療ですね。一度地上に戻りましょうか」

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