第9話

 すぐにダンジョンに行きたいって言っても. .


「さすがに手ぶらでダンジョンって訳にはいかないよな」


 冒険者となった俺は、準備をしに町の中心にきている。


 こんな俺でも、武器は必要だよな。そう思い、近くにあった武器屋に入った。



「すみませーん」


 中にはずらっと剣や鎧が並べられていて、客がいないせいか、ものものしい雰囲気をかもしだしている。


「はいよ、何をお探しで」


 奥から毛深いおじさんが出てきた。この店の店主だろうか。


「ダンジョンに行くために、武器が欲しくて. . 」

「どんな武器だ?」


 あれ、この人、驚かないな...これまでの人は、みんな驚いてたけど。


「あ、あの、僕の年齢って気にならないんですか」


 思い切って聞いた。


「年齢?まあ少し若いかなくらいには思うが、別に気にせん。もっと若いのも見たことがあるしな」

「僕より若い. . . 」


 俺より若い!?それって、要するほぼ一桁歳じゃねぇか、おい。そんな奴が本当にいるなら、一回会ってみたいものだが。


「そんな事より、どんな武器がいいんだ」

「そうですね、、、じゃあ短刀がいいです」

「短刀?そんなんでいいのか」

「はい」


 俺は子供だし、ちっちゃい方が使いやすいだろ。武器さえまともに使った事ないんだ。包丁に似てて、まだ使えるはず、、はず。


「わかった、ちょっと待ってろ」


 そう言って、おじさんは奥へ行ってしまった。


 そう言えばーー俺が冒険者登録した時、俺のステータスは昔のままだった。


 何でだろう、お父さんは俺に魔力を渡す事でスキルも渡したと思ってたけど、俺の聖紋には何も書かれていなかった....うーん

 もう一回、スキルを見てみるか。


「『ステータス』」



 ’ステータス'

 ーーーーーーーーーーーーーーーー


【名前】 レイン・アリオス 

【種族】 人間族  【年齢】 11歳 

 魔力 : 38064731

【称号】

 <魔術師>  Lv.3

 <英雄> Lv.538

【スキル】

 〈魔法系〉 

 [水魔法]Lv.1 +Lv.537


 [火魔法]Lv.1 +Lv.537


 [氷魔法]Lv.1 +Lv.537


 [援助魔法] Lv.1 +Lv.537


 [光魔法] Lv.765


 〈剣術系〉  剣王 (詠唱不要) Lv.965


 〈防御系〉  英雄の加護 Lv.1095


【固有魔法】 ステータス

 元帥

 極・超回復

 レベル補正


【総合能力】 S++



 ーーーーーーーーーーーーーーーー




 やっぱり、お父さんのステータスだ。


 あれは俺の見間違いだったのか?いや、そんな事はないはずだ。俺はしっかり見たし、何より受付の人は何も驚かなかったじゃないか。

 ステータスに<英雄>なんて書いてあったら間違いなくびっくりするはず。でも、そうはならなかった。


 それなら、どうしてステータスは昔のままだったのだろう?


 そもそも心臓を取りかえただけでステータスも入れかわるものなのか?さっぱり原理がわからない。


 神父の人も、確か"ステータスの譲渡は出来ない"って言ってたし、そんなんで出来るならとっくに見つかっててもおかしくないはず. . .


 まあ、見つかって余計に騒がれてもしょうがないし、別にいいや。


 それに、昔の話でいくと、この世界には<英雄>は唯一の存在らしい。俺が英雄なんて知られたら、お父さんがいなくなった事もバレてしまうだろう。


「ーーーはい、持ってきたぞ」


 店主が奥から箱を持って来た。


「よいしょっ、これがうちにある1番いい短剣だ」


 箱の中には、2つの短剣が入っている。


「1番って、そんなものいいんですか?」

「短剣がいいなんて言う変人はほとんどいないからな」


 変人て...、まあ、否定はしないけど。


「ちなみに値段って、、」

「お前冒険者なりたてだろ、まけてやるよ」

「本当ですか? ありがとうございます!」


 そうやって、俺は武器を手に入れた。



 ***********



「やっぱこの短剣、めっちゃかっこいい」


 武器調達を終えた俺は、他の準備のために市街地に来ている。


 人がすごく多い、、ていうか、武器以外に何が必要なんだ?・・・まずい、冒険者について知らなさすぎる。必要な物が全くわからない。

 とりあえずお腹がすいた。何か買うか。


 そう思い、ご飯がありそうな方へ歩き出した。



 それにしてもここはが人が多いな。家族で来る人も沢山いるようだ。ちょっと歩きにくい。


「お母さーん、これ買ってぇ」

「はいはい、一つだけよ」

「やったぁ」

「あっ、ずるい。私も!」


 ああ、懐かしいな


 "(あつっ、うぅ)

 (こらレイン、すぐに触ったりしないの)

 (あづっっ)

 (ええ、あなたまで?もう本当に. . )

 (痛い、痛いよぅ)

 (わかったわかった。二人とも、こっちに来なさい。水で洗わなきゃ)"


 通りの家族を見ると、自分の家族を思い出してしまう。昔は俺も. . .

 いや、あんまりそっちを見ないようにしよう。

 もう思い出してもしょうがない、変な気持ちが増すだけだ。


 終わりにしたい→できない→さらに落ち込む

この思考のループは、ここ2週間で何度も経験した。これ以上は、もう心がもたない気がする。


 早くご飯を済まして、ここを離れたい。ここに長居するのは、俺に良くないと思う。これは、賑やかだからっていうのもあるかもしれない。



「おい、そこの坊主。うちの肉、食べてけよ」

「ん?」


 肉のいい匂いと声につられて振り返ると、肉の串刺し?みたいなものがあった。


「おいしそうですね、1つもらえますか」

「はい、10ティアね」


 お金を払い、肉を頬張る。


「うまっ!これ、何の肉ですか」

「そうだろ?これ、魔物の肉なんだ」

「魔物?」


 そう言えば昔食べた事あったっけ. . .

 でも、なんか味が少し違うような。


「近くに森があるからな、新鮮な肉を仕入れやすいんだ」

「そうなんですね」

「とはいえ一日数量限定だ、ラッキーだったな」

「はい、、」


 ーーやっぱりここはどうにも俺に合わない。早く買い物を済まして戻ろう。


 そう思い、俺は最後に冒険の服を買いに行くことにした。



 ▽



「ふぅ、、」


 買い物を終えたレインは、時間が無くてダンジョンに行くのを明日にして、宿に戻ってきた。


「今日は結局あんまり買わなかったな」


 服屋には行ったけど、冒険の服は高くて買えた物じゃなかった。それに、俺の持っている服は意外と高価な冒険服だったらしい。そうには見えないけどなぁ。


 とりあえず歩き疲れた。明日に向けて、早く寝よう。

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