第7話

 「はい、いらっしゃぁい」


 元気がいいな。


 一階は食堂も兼ねているのか、昼飯を食べている人で賑わっている。


 受付には、若い女性が立っていた。


「すみません、これから1人っていけますか」

「大丈夫ですよ、何日ほどのご滞在ですか?」

「ええと、3週間でどれくらいかかりますか」

「食事含めて、ちょうど4500ティアですね」


 ギリギリだ……ただ、迷っていてもしょうがない。


 これから仕事も見つけて、もっとお金を稼がなきゃならないんだ。早くしないと。


「分かりました、これでお願いします」


 そして、4500ティアを支払い、自分の部屋へと進んだ。


「こちらの405号室になります。ご不明な点がございましたらお申し付けください、では」


 早速部屋の鍵を開け、中に入った。


 そこには、大きなシングルベッドと、手前にはトイレと風呂があった。部屋は大分片付いている。


 レインは、疲れから思いっきりベッドへ飛び込んだ。


「がふっ、、、ふぅ………………………

 ………………………………………………………

 ………………………」


 そう言えば、食事付きって言ってたっけ。昼ご飯、食べに行こう。






 一階に戻ると、相変わらず賑やかなままだった。


「ご飯食べたいんですが、、」


 そう言うと、ホールのおばちゃんが答えた。


「部屋の鍵、あるかい」

「はい」


 レインは鍵を取り出す。


「はい、大丈夫ね。メニューはそこにあるから、決まったら呼んで」

「ありがとうございます」




 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦




 ご飯を食べ終わると、すでに12時を過ぎていた。


「仕事探しでもするか」


 俺の所持金は残り500ティア。しかも後3週間でここを出なければならない。

 早く仕事を見つけなければ。野宿なんてのは、流石にちょっとなぁ。





 ・・・そうやって宿を出たはいいものの、、全然わからない。この世界じゃ、一体どんな職業がいいんだろうか?





 ーーー探し始めてから3時間くらい経った。探し回り、町の人に聞いてみても、俺位の年齢の大半は家にいるか、学校に行っているらしく、できる仕事は少ないようだった。


 そんな時、入り口の近くに〈求人〉と書かれた掲示板があった。


「ああ、あった」


 さっき聞いた人によると、掲示板には少ないが年齢制限なしのものがあるらしい。


「どれどれ. . . ああ、これか」


 町の掃除に、、荷物配達?年齢制限なしは、この二つだけっぽいな。


 ていうかなんだよこの給料、時給50ティアって、、普通なら、こんなのは嫌だけども。


 でもこれしかない。まあとりあえず、明日行ってみるか。







 次の日、起きたレインは町の役場へと向かった。


「すみません」

「はい」


 受付の男が答えた。


「あの、掃除の求人を見たんですけど…」

「え、君が、ですか?」


 驚いたような表情でこっちを見つめてくる。


「はい、そうですが」

「……ち、ちょっと待ってもらえますか、」


 どうしたんだろうか。やっぱりーー


「すみません、ご年齢はおいくつでしょうか」

「11歳です」

「ええ、そうですね… 申し訳ございませんが、14歳未満の方は、応募する事が出来ないんですよ」


 ん?何言ってるんだ、この人?


「え?でも掲示板には年齢制限なし、とーー

「掲示板での求人は、全て15歳以上が条件でして、それは注意書きにも記載が……」


 おふぅ...マジ、か。

 知らなかった、というか、もっとしっかりと読んでおけばよかった。


ここまでくると不運だな。ここの町には、俺の職は無いのか?別の町だったらあるのか? 本当に全くわからない。


「わ、かりました」

「すみませんね」


「・・・・・・」


 要するに、これで荷物配達も無理な事が確定した、と。このままでいいのかな、俺。なんか何も上手く行ってなくないか?


 通りかかった同年代の子供たちは、にこにこで笑い合っている。普通は、何も心配せずにいられるんだよな・・・


 この時のレインは、すでに心が疲れ切り、これ以上仕事を探す事もできなかった。




 ▽




 宿に戻り夜ご飯を済ましたレインは、部屋で1人、考え事をしていた。


「俺は、もうどうすればいいのだろう」


 これまでの出来事を回想しながら、深く考える。



 大切な物はまた奪われ、少しでも楽しいと思えた人生は、また憂鬱なものへと戻ってしまった。その後もこの心が晴れる事はない。それは、これからも...



 ………もう、いいじゃないか



 これまで抑えていた感情が、溢れてきた。


 俺は人生をやり直すべきじゃなかったんだ。

 お父さんには感謝してるけど、、俺は苦しんでまで生きる必要はあるのだろうか。


 俺は、もうーー


「死にたい」


 レインは、家にあった剣を取り出す。


「お父さんの剣を、こんな事に. . .」


 罪悪感もあった。ただ、それ以上に思いが強まっていた。



 ・・頭の中に、昔の事が流れてきた。俺がずっと守っていきたかった、ずっと続くと思っていたあの生活が、今ではもうどこにもない。



 最低だな、俺って、お父さんがくれたものを、こんな. . . いや、もうそんな事を考えても仕方ない。


 俺は剣を持ち、自分の心臓へと向けた。


 息は荒く、鼓動が早まってくるのが自分でもよくわかる。


 そして、勢いよく胸を突いたーーーーーー


 

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