第3話
誕生会から一夜明け、俺は教会に出向いた。聖紋の儀というのは、どうやら教会の神父にしか出来ないらしい。
俺らは馬車に乗って移動中だ。初めて乗るけど、結構乗り心地悪い・・・まあ、前世の文明の力に敵うわけないか。
「聖紋の儀で、スキルと称号、魔力量とか、自分に関する大体の情報がわかるようになるんだ」
アベルさんが言った。
「どうやって見るんですか?それ」
「ステータス魔法は絶対に付与されるから、それを使って見る」
ステータス魔法...そんな魔法があるのか。確かに、自分の魔法が分からなきゃ使いようがないしな。
「聖紋の儀って、受けてる時どんな感じなんですか?」
「目を瞑って、女神様を想像するんだ。そうすれば、体の力が抜け、目の前が一気に明るくなって、そして聖紋が与えられる」
. . .それって、俺が死んだ時と同じじゃないか?また魂を持っていかれる、ってことか?
「授けられるって、女神様と会えるってこと?」
「いや、会えない. . . 会えないことがほとんどだ」
「会えた人もいるんですか」
「ああ、それは・・
「着いたぞ、ここが教会だ」
あれ、今何か言いかけて・・・
え、、
「いやでっか」
これ何かのビルくらいにはデカいぞ。町の近くにこんなものがあったとは、、
「じゃあ、ここからはレイン1人だ」
「お父さんたちはどうするんですか」
「近くで適当に暇を潰しておくわ、なに、ものの1時間弱で終わるさ」
げ、1時間もかかるのかよ。てっきり、俺は何かの儀式だけやってパパッと帰れると思ってたんだが...
そうやって、俺は教会へと入っていった。
♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
入ってすぐに、たぶんこの世界の女神であろう像が目に入る。
何だか心なしかあの女神と似てる気がするが. . .
まあ何がともあれやはり美人だ、女神ってみんなこんななのか?
その前には全身白い服装で、何やら分厚い本をもっている神父であろうおじいさんが立っている。
身長がでかいなぁ。
「レインくんだね。悪いが聖紋の儀が立て込んでいてね、早速始めさせてもらうよ」
そこから、神父の長い説明が始まった。
この世界の始まりや女神について、だいたい40分くらい話していた。
(だいたい聞いた事あるものばかりだな)
レインは、これまで寝る前にはお父さんに世界についての色々なことを聞いてきた。そのおかげか、この世界にもいつしか馴染んできていた。
「最後に、スキルについて説明しよう。スキルというのは、簡単に言うと魔力の使い方のようなものだな。私たち人間はこの<スキル>が無ければ魔力を使う事が出来ない」
そんな人間のために、魔力の使い方を教えるようになった、と。
「注意事項だ。知っていると思うが生物は魔力が無くなると死ぬ。だから、スキルの無駄使いはしないこと、そしてスキルの譲渡や追加は出来ない。以上だ」
「はい」
この世界には寿命というものが無いらしい。
その代わり、魔力が日常で少しずつ使われて行き、無くなると死んでしまう。
スキルで使った分の魔力は、ほとんどが大気から体内に補充されるらしい。
「では始めよう。目を瞑り、このように祈りを捧げるんだ」
レインはゆっくりと目を瞑り、体勢を整えて体の力を抜いた。
(. . . 長い。. .まだ始まらないのか)
少しきつくて体勢が崩れそうになった時、何だか一気に体が軽くなった。
そして、あの時のように、視界が真っ白に染まり. . .体が、動かせなくなった。
また、あの時の感覚だ。
♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
「. . . れ、これって聞こえてるんでしょうか」
「バカね、魂のままじゃ何も出来ないじゃなぁい」
(. . .ん?なんか聞いた事ある声に聞いた事ある会話、、)
「うわっ」
急に視界が切り替わったと思うと、目の前には何やら見たことのある様な姿があった。
「お前っ」
「あら、久しぶりねぇ」
そこには見覚えのある美人と、......見覚えのない美人が並んで立っていた。
「ちょっと、この人を呼んだのは私なのよ。あんまり邪魔しないでよね」
この人がイリスティア、なのか?系統は違うがこっちも中々の美人だな。
「それで、何であなたがここにいるんですか」
「べ、別に何でもいいじゃないのぉ」
「こいつがどうしてもって言うから、しょうがなく連れてきてやったってわけ」
なんだ、からかいにでもきたのか?
「そんな事より、あなた本当にあのガイルの息子なの?あの人は私のタイプそのものだったから、息子でしかもイリナのお気に入りだなんて言うあなたには期待してたのに」
「.....は?」
「とんだブサイクね」
・・何だこの失礼極まりない女神は、喧嘩売ってんのか
やはり女神と言うのはどいつもこんななのか. . .
「期待外れだったし、もう話すこともないわ。すぐに返してーーー」
「それなら、私が少し話してもいいかしらぁ」
「あ?. . . ちょっとだけだぞ」
話って何だ?こいつも俺を煽ろうってか?
そんな考えとは裏腹に、意外な言葉が飛んできた。
「あの時は本当にごめんなさいっ」
「え.......?」
「あの後、あなたの気持ちも考えずに勝手な事して、何かとても申し訳なくってぇ、、、」
.....なんだ、そんな事を考えてたのか、、
「まあ、もう過ぎたことだし。それに、、」
「それに?」
「それに、今はすごく楽しい。死んでも何も思えなかったあの時とは違う。この生活を、この家族を手放したくないと思えるようになった。生きていたいと、思えるようになったんだ」
魂のままだからだろうか、本音がすんなり出てきたような気がする。
そうだ。俺は、あんなにも嫌で、死んでしまいたいと思っていた人生が、いつの間にか、愛おしいと思える様になった。
「だから、意外と感謝してるんだよ、お前には」
「そう、それなら良かったわぁ」
「そろそろ時間だ、早く失せろ」
イリスティアの冷たい言葉とともに、俺の視界は一瞬にして白光に包まれた。
. . . やっぱこいつは大っ嫌い
♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦
「、、はい、これで終了だよ」
「え?これで?」
あの女神共と話しただけだけど. .
「あれ、何ともないのかい?」
「は、はい」
「痛みとか、無いのかい」
「いや・・・」
どういう意味だ?別に痛くも痒くもないんだが、
「おかしいなあ、普通は痛くて声も出ないんだが. . .」
えっ、ーーーーーーーーー
"ピキッ"
「. . いっっっだぁぁぁあ」
「よし、聖紋の儀は成功だね」
満足げに頷く神父を前に、俺は悶絶した。
「こんな痛いなら最初からうぉいっづぇぇ」
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