第2話 

 食事を楽しむ中、アベルさんが聞いてきた。


「お前、お父さんの称号は知ってるのか」

「はい、〈英雄〉ですよね」


 そう、僕の父、ガイル・アリオスの称号は、『英雄』。


 人類の唯一の守護者と呼ばれる『英雄』は、その名の通り人類の英雄となるにふさわしいような、とんでもないスキルを持っているらしい。


「聖紋は、親子で似通うことが多いらしいからな、お前はいったいどうなるのか、楽しみで仕方ねえな」

「. . .はいっ」


 (お父さんが『英雄』なら、俺はどんなすごい称号になるんだろうか. . .いや、期待のしすぎはよくないな)


 そんな心配をよそに、当の本人はというとーーーー


「おうい、もう一杯もらってもいいかぁ」

「飲みすぎですよ、あなた」

「ふぎゃぁ!いだいいたい、わかった悪かったから、耳を、耳を引っ張らないでくれ、エリオ!」


 . . . . .この人は本当に英雄なのか?そんな疑問が脳裏をよぎる事もある。それくらい、僕の前では「普通の父」としてふるまっているということなのだろうか。


 前世での〈英雄〉の像がどんどんくずれていくけど、その分、優しくて、とても人間味のある、最高のお父さんだった。



 ▽



「あぁ、楽しかった」


 賑やかな誕生会が終わり、お母さんと俺以外はみんな寝てしまい、いつもの静けさが戻ってきた。


 俺は手持ち無沙汰から、片付けを手伝いに台所へと向かった。


「お母さん、」

「もう遅いから、早く寝なさい」

「. . 僕も、手伝っていい?」

「ダメっ、明日は早いんだから、ほら早く」


 そう、今日誕生日を迎えた僕には、明日聖紋の儀が待っている。


 気になってあんまり寝れないんだけどな。


「うん、分かった。おやすみ」

「おやすみなさい」


 期待と不安が頭をよぎる中、高鳴る鼓動を抑え、無理やり瞳を閉じた。

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