第8話 夢の果て

「さぁ、次ですよ次。次は世間をアッと言わすようなバズる動画を撮影してインターネット上に公開します。それはもう、危険を承知の上で、命懸けの動画を撮影するのです!」


「…それ、なんのためにですか?」


「それはもう貴方の夢の為に決まっているじゃないですか!」


「俺の…夢?」


「そうです。貴方の夢は終わらせません!」


「終わらない…夢。」


「そうです。私達が貴方の夢を叶えます。決して貴方が世間から忘れられることのないように、我々は全力を尽くします!」


「世間から忘れられないようにする?」


「はい。それが我々の目標ですから。」


「…役人さん。」


「はい?」


「目的、変わってませんか?」


「?」


「役人さん。」


「はい?」


「あんた、俺の夢がなんなのか、知ってるんですか?」


「…ああ!そうでしたね。私達は貴方を通じて社会の若者に夢の重要性を訴える為にですね…」


「違う!そうじゃない!」


「はい?」


「俺の夢は小説家になることだ。」


「…。」


「その為にずっと努力してきた。耐えてきた。」


「…何が言いたいのですか?」


「俺はもう二度と安易に自分の夢を語らない。そう誓った。」


「…。」


「だけど、一度だけ言わしてくれ。」


「…どうぞ。」


「あんたらさぁ。俺の夢がどうとか言うのならさぁ。」


「はい?」


「一度でも俺に俺自身の夢の話をさせてくれた事があったか?」


「ないですね。」


「俺の夢を応援してくれた事があったか?」


「ありませんね。」


「なんでだよ!あんたらは夢を支える仕事をしてんだろ!なんで俺の夢を応援してくれなかったんだよ!」


「その必要がないからです。」


「は?」


。」


「…は?」


。」


「…は?」


。」


「…。」


「全ては我々厚労省の会議室で話し合われ、決定されます。貴方の判断は不要です。だから安心してお任せください!」


「…なんだそりゃ。」


「…。」


「役人さん…。」


「はい、なんでしょう?」


「あんた達さ、いい加減、諦めたらどうだ?」


「はい?」


「夢にはさ、いつか必ず終わりが来るんだよ。」


「?」


「夢にはさ、『夢の果て』が、あるんだよ。」

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