エルフに救われる #4

アストラル・オーブ。


それは、僕のいた世界でそこそこヒットした、オープンワールドのソロプレイ・アクションRPGだ。


人気の理由はゲーム自体の評価というより、動画配信の盛り上がりにあると言っていい。


やり込み甲斐のあるゲームとして、低レベルクリアやRTA、理不尽な難易度のボス討伐といった動画が数多く投稿されている。


僕もそんな配信動画に惹かれて購入したクチだ。


それなりに時間を費やし、コミカライズや公式資料集、攻略本を買い込むほどハマっていたのだが、システムが思いの外煩雑で、結局はレベリングに物を言わせるゴリ押しプレイに終始する、いわゆるヌルいプレイヤーに落ち着く。


そしてアストラル・オーブは、僕が生前最後にプレイしていたゲームでもある。


目の前のエルフは、僕をじっと見据えている。


「君は全く別の世界から転生してきたけど、この世界のことを知っている。……そういうことだね?」


静寂を破り、エルフが問いかける。


「僕のいた世界では、この世界は……物語として語られていました」


「ゲーム」という概念を省き、慎重にそう説明する。


僕の言葉にエルフは、「ほう」と短く息を漏らす。


「どんな物語なんだい?」


「女神エステラの導きによって、邪なるものからアストラル・オーブを守る、という物語です」


そう語ると、エルフは信じられないといった目つきで、僕を凝視する。


「君は……」


絞り出すような声で、エルフが呟く。


「……確かにこの世界のことを知っているようだね」


エルフはしばらくの間、何か考えるように黙り込むが、やがて僕の方へと視線を戻す。


「君には、かなり興味が湧いたよ。……どこか行く当てでもあるのかい?」


その問いに、僕は力なく首を振るしかない。


「全くないです。突然この森に放り出されたので」


僕の返答に、アイリシアは小さく微笑む。


「だったら、うちに来るといい。私はこの近くの街で暮らしているんだ。君に聞きたいことが、山ほどあるからね」

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