第40話 海🌸
私はあの日と同じように待ち合わせ場所の大画面に向かう。あの日と同じように私はオトナっぽくメイクをして、とびきりおしゃれをしている。自分でもドキドキしているのがわかる。今日はアザミとデート。私とアザミのデート。
待ち合わせ場所に着くと、既にアザミは私のことを待っていた。アザミはあの日と違っておしゃれをしている。私のためにしてくれている。私はアザミに声を掛けた。するとアザミから可愛いって言ってもらえた。思えば、アザミは恥ずかしがり屋なのに、いつも私に可愛いって言ってくれたね。私もアザミに可愛いってちゃんと口に出した。アザミとはいつも一緒に二人でお出かけしているのに、デートって意識するとこんなに緊張するんだね。
アザミが壁に魚の絵が描かれた通路で止まっている。見惚れているのかな。確かにこの通路は綺麗だけど、一度見ているのに。もしかして前回は私に気を使って全然集中できていなかったのかな。もしかしたらこの先の大水槽のことも覚えていないのかも。私はアザミの手を引きながら先に進む。下の階まで行ってから、アザミに水槽を見てもらった。アザミは目の前の水槽に惹き込まれている。私にはその横顔がとても綺麗に見えた。私は無性にアザミに触りたくなって、気付いたらアザミの左手を握っていた。アザミが私に手を握られたことに気付いて、私の顔を見た。私はその顔から目が離せない。やっぱり私はアザミのことが好きだ。私はアザミのことを愛している。
私たちはあの海にいる。あの日とは違って、今は夕日が綺麗だ。アザミが私が夕日を見たかったって言っていたのを覚えていてくれたなんて。私でさえ、アザミに言われるまで忘れていたよ。アザミは本当に友達思いで優しい。でも、アザミはちゃんと伝えないと分かってくれない。私は自分の気持ちをアザミに伝えた。やっぱりアザミは自分なんかって顔をしていたけど。このままアザミに告白しても、アザミは私の気持ちが分からないと思う。だからまだ言わない。アザミが自分なんかって思わなくなるまで、私はアザミに寄り添い続けるよ。
そう思っていたのに、アザミが私に聞いてほしいことがあるって言ってきた。アザミがまたあの顔をしている。夜景のときと同じ表情。私はその表情に惹き込まれる。アザミに何を言われるんだろう、怖い。アザミが下を向いてしまった。もしかしたら今からアザミが言おうとしている言葉は、私が言ってほしい言葉ではないのかもしれない。それでも、私はアザミの全てを受け入れたい。たとえ、拒絶されたとしても。私は自分の右手で優しくアザミの顔を触って、アザミの顔を上げた。アザミ、聞かせて。
アザミは私の顔を真っ直ぐに見て、真剣な顔で言ってくれた。私のことを愛していると、恋人になりたいと。アザミはすごいな。私は話を聞くことでさえ怖かったのに、絶対アザミの方が怖かったはずなのに、私にちゃんと自分の気持ちを伝えてくれた。私もアザミの気持ちに応えたい。私も愛しているって伝えたい。でもアザミは私が言葉にしても、私が気を使っているだけって思ってしまうかもしれない。だから、行動で示すよ。私はアザミの唇にキスをした。自分の唇をアザミの唇から離すとアザミが私のことを見てくれている。アザミ、私もアザミの恋人になりたい。私の言葉を聞いてアザミが泣いてしまった。この涙は私の気持ちがちゃんと届いったってことだよね。私は優しくアザミを抱きしめた。
アザミは落ち着いたけど、今度は今の状況を受け入れられていないみたい。そういうところはアザミらしい。私がアザミのことを愛していることは信じてくれたけど、これからも自分のことになるとそんなわけないって思っちゃうんだろうな。だから私はちゃんと伝えていこう。言葉でも行動でも。そうやってこれからももっと、アザミと楽しい思い出を作っていけたらいいな。
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