第21話 アウトレットモール🌸

 火曜日、二限目の講義中、隣にはアザミが座っている。やっぱりアザミは可愛いよね。なのにあざみは全然女の子を楽しもうとしない。アザミは人には優しいけど自分には無関心。実際に聞いてみてもアザミは当たり前のように自分はおしゃれをしていないって言う。もったいない。するとアザミはそもそも服を持っていないって言うから私はアザミを買い物に誘った。アザミはずっと遠慮をしている。自分のためにしてもらうことに抵抗があるのかな。私はずっとアザミに甘えてばかりなのに。アザミにはもっと自分のことにも興味を持ってほしい。何より私がもっと可愛いアザミを見たい。あれ、何で私今、こんなこと思ったんだろう。違うでしょ、あくまでもアザミにおしゃれをしてもらうのは、いつも助けてもらっている分のほんの少しのお返し。アザミにも自分自身のために何かをしてほしいだけ。


 アザミが試着室のカーテンを開けた。すると何故か目の前に美少女がいた。目の前にいる人がアザミだってことに気付くまで少し時間がかかった。可愛い。さっきのカジュアルな感じと違って、いつもと雰囲気が違うからかな、アザミを見てドキドキした。いつもと違うアザミをもっと見てみたい。次はどんな格好をしてもらおうかな。


 アザミが着替え終わったから次の店に一緒に向かった。でもアザミがついてきていない。アザミはいつまで私に遠慮しているんだろう。仕方ないから私はアザミの手を取った。アザミが遠慮するなら私は勝手にアザミのために行動する。今までアザミに優しくしてもらった分、私は強引にでもアザミに返していかなきゃ。アザミの手を引いているとアザミが私の手を握り返してくれた。アザミにも手を握られた瞬間、私はまたドキドキした。いや、このドキドキはアザミに手を握られたからじゃなくて、試着室でのアザミを思い出したからかな。


 今日は色んな雰囲気のアザミを見ることができて嬉しいな。私は一方的に楽しんじゃったけど、アザミはどうだったんだろう。アザミに今日着た服で一番好きだったものを聞いたけど、選べないって言われた。だったら今日は何も買ってくれないな。アザミはどんな格好も似合っていたのに。せっかくだし私が何かプレゼントしようかな。


 するとアザミは今日着たものは全部買うって言い出した。全部買うってなったら十万円は軽く超えるのに。アザミは私が選んでくれたから全部買うって言ってくれた。自分が好きだからじゃなくて、人に選んでもらったから買うっていうのもアザミらしい。私が選んだから買ってくれるんだ。アザミは一人でお店に行こうとしたから私も慌ててついていった。本当ならどれか選んで買おうよって言わないといけないのに、アザミが私を感じてもらえるものを多く買ってくれるって思うと、アザミを止めることができなかった。


 私たちはテラス席に座ってクレープを食べている。まさか本当にアザミが今日試着したものを全部買ってくれるなんて。私がはしゃぎすぎたせいでアザミにたくさんお金を使わせちゃったな。でも、アザミが今日買った服をたくさん着てくれるといいな。

 

 なのにアザミは大学では着ないって言う。だったら今日買った服はこれからずっとタンスの中に仕舞ったままなの。それは嫌だ。私がアザミに二人きりの時には着てほしいってお願いをしたら、アザミは了承してくれた。私だけが知っているアザミっていうのはなんかいいな。思えば服装に限らず、アザミの照れてる顔なんて私しか見たことないのかも。アザミのあの顔は可愛いかったな。私しか知らない可愛いアザミ、つい独り占めしたくなる。独占欲の強い人の気持ちってこんな感じなのかな。


 ゴンドラに乗り込もうとしたら私の座るところがなかった。アザミはなんで荷物を自分の隣に置いちゃうの。私はアザミの隣に座りたいのに。私はアザミの横に置かれた紙袋を全部向かいの椅子に移動させた。観覧車なんていつぶりだろう。小学生ぶりかな。アザミも小学生の時に動物園に行った時ぶりなんだ。確かに動物園には小さい遊園地があったな。遊園地か、アザミと行きたいな。でも県外にしかないからなかなか行けないよね。思い切って冬休みの時に誘ってみようかな。


 外の景色を見ているとお城の様な建物が見えた。アザミによると結婚式場みたい。あんな綺麗な場所で結婚式を挙げられたらいいな。アザミに冗談で結婚したい人がいるのかを聞いたらすごく顔を真っ赤にしていた。この反応は誰かいるってことだよね。アザミは誰なのか教えてくれなかった。アザミは恥ずかしがり屋だな。そっか、アザミは好きな人がいるんだ。全然想像できない。アザミが恋愛しているなんて私は全く分からなかった。バイト先の人とかかな。なんかもやもやする。アザミが私に好きな人を教えてくれないから?それともアザミに好きな人がいるから?そういえば恋愛に限らずアザミが自分のことを話すことってない気がする。私はアザミのことなら何でも知りたい。私はアザミのことをもっと知りたい。

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