第18話 アウトレットモール②

 私とサクラは既にアウトレットモールに着いていた。


「今日はアザミおしゃれ大作戦です!」


サクラは着いて早々意気込んでいた。往生際の悪い私は今からでも私自身がおしゃれをすることを回避するためにサクラに提案をした。


「せっかくならサクラが自分のお買い物したら?私はサクラに付き合うよ」


しかしサクラは聞く耳を持たなかった。


「今日の主役はアザミです」


サクラの目は本気だった。駄目だ、もう逃げられそうにない。私におしゃれな格好なんか似合わないのに。考えるだけでも恥ずかしい。でも、サクラが私のために何かを考えてくれるのは嬉しいな。…やっぱりそれとこれは別!


「アザミー、どんどん行くよ!」


サクラは一人先にお店に向かって歩いていた。あ、これはもう断れないな。


「…頑張ります」


ついてきた私を確認してからサクラは私に質問をしてきた。


「アザミは着てみたいコーデとかある?」


「特にないよ、わかんないし」


「じゃあいろいろ着てみようか。行くよー」


「うん…」


せっかくの二人きりなのに私の足取りは重たかった。


 サクラはお店に入ると足早と両手に服を取り、真剣に選んでいた。


「これいいな…これも似合うかも…」


私は自分では何も決めれないから、サクラの少し後ろで立ちながら待っていた。サクラが私のために真剣になってくれてる。私だってサクラは美人だしおしゃれだから、自分もおしゃれしなきゃ、って思っていた時もあったけど、結局おしゃれのことは全然わかんなかったし、サクラの隣で私がおしゃれをしている姿を想像したら似合ってなさすぎてすぐに諦めた。今からでも断れないかな。サクラが私のために選んでくれたのに、それを私が台無しにしちゃって、サクラに微妙な顔をさせちゃうかもって思うと怖い。こんなことならジーンズとTシャツはおしゃれで着てるって言えばよかった。サクラは服を選び終えて私の元までやって来た。


「アザミー、これ着てみてー」


「うん…わかった」


私はサクラから洋服を受け取り試着室に入り、受け取った服に着替えていた。やっぱり怖い。鏡で自分の姿を見たくない。でも事前に自分で確認しないと心構えができない。


「あ、アザミ、トップスはインしたほうがいいよ」


カーテンの外からサクラのアドバイスが聞こえた。私にはトップスをインするなんて発想はなかったよ。よし、鏡で確認しよう。白ニットのトップスの裾をハイウエストのグレーのチェック柄のワイドパンツの中に入れて、黒いベルトをパンツの高い位置で締めている。シンプルだけど大人っぽい感じ。でもカジュアルだから私が着ても違和感がない…ようには見える。けど、やっぱり私一人だとわかんないよ!


「アザミ着替え終わったー?」


サクラがなかなか試着室から出てこない私を心配して声をかけてくれた。サクラも待ってる。覚悟を決めろ私!私は試着室のカーテンを開けた。


「どう…かな?」


「めっちゃいい!似合ってるよ!」


サクラは喜んでくれていた。よかった、サクラに恥をかかせずに済んだ。


「ありがとう。じゃあもうサクラも自分のお買い物してきなよ」


切り上げようとする私に対してサクラは冷たく言い放った。


「何言ってるの?まだまだいろいろ着てもらうよ」


「これで終わりじゃないの!?」


「ほら着替えて。最後にサクラが気に入ったものを買ってくれたらいいから。着替えたら次に行くよ」


サクラは試着室のカーテンを閉めた。これは早く着替えてってことなんだろうな。似合ったものがあったらそれで終わりかと思っていた。一体今日はどれくらい服を着るんだろう。私のメンタル持つかな。


 急いで着替えた私はサクラについて行った。サクラは次の店に入り、私に服を持って来た。


「アザミ次はこれ着てみて」


「…うん」


私はサクラから服を受け取って試着室に入った。さっきみたいなカジュアルな感じたと、まだ恥ずかしさはマシなんだけどな。でも、渡された瞬間から気づいてた。これ、スカートじゃん。私スカートなんて高校生の制服の時以来履いてないけど。どうしてもスカートは女の子って感じで、私には履く勇気が出ないんだよね。でも、ブラウン系のチェックのロングスカートだからこれなら…でも、このブラウスは可愛すぎるよ。襟に編みレースが付いてる。せめて普通のブラウスを持ってきてよ。しかもこの緑の袖無しのベストも重ね着しろってことだよね。重ね着って何かおしゃれ上級者って感じでこれだけでも恥ずかしい…のに!なんでサクラしれっとベレー帽まで渡してるの!私人生で一度もベレー帽被ったことないんだけど。これ普通に被っていいの?正しい被り方なんかわかんないよ!私は鏡で自分の姿を確認した。この格好、流石に私には似合ってなくない?全然普段の私とは雰囲気が違う。女の子っぽい服装だ。


「アザミー?」


「はい!」


サクラの外からの催促の声に驚いた私は急いでカーテンを開けた。開けてから恥ずかしくなって私は恥ずかしさで赤面した。


「サクラ、さすがにこの格好は私には…」


サクラは私を見ると目を大きくしていた。やっぱり似合ってないよね…


「え…可愛い」


「可愛っ…」


サクラが私に可愛いって言った!?


「アザミはナチュラルな雰囲気も似合うなー」


「あ…ありがと」


サクラに褒められ素直に喜んでしまった。こういう格好はサクラのほうが似合うと思うけど。でも、サクラに可愛いって言ってもらっちゃったし、今日はもう満足だよ。満足しているのも束の間、非情にもサクラから聞きたくない言葉を告げられた。


「次は何着てもらおうかなー」


「まだ!?」


ちょっともう勘弁してほしいかも…私はすがる様な顔でサクラを見たけど、サクラは私のその表情には気付かずに話を続けた。


「だってアザミなんでも似合うんだもん。ほら着替えて着替えて」


サクラの目がキラキラしていた。サクラが楽しそうなのは嬉しいけど…でも、ここでもう嫌って言ったらサクラどんな顔するんだろう。サクラを困らせたくはない。あぁ、頑張るしかない。

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