第3話 スイッチを入れたのはあなた

 考える間もなく胸に回っていた手が少しずつ寝間着の中へと入ってくる。

「良いですよね? 私、もう我慢できないんで」

 そう言った中野さんは一気に私の胸を掴んで刺激した。

「あぁ、うっ」

 自分でもビックリするくらい甘い声を出してしまった。と同時に長い間オフになったままのスイッチがオンに切り替わった。


 振り向きざまに中野さんの唇を塞ぐ。彼女の着ている寝間着の留め紐を解き、寝間着を大きく左右に開く。

 ユニットバスから漏れている灯りだけでも中野さんの身体の形は充分に分かる。凄く興味をそそる美味しそうな身体。

 胸を唇と舌で攻めながら左手をそっと下半身へ這わせると中野さんは既に濡れきっていた。

「悪い子ね。もうこんな風になっているなんて。あなたがスイッチを入れたのが悪いんだから覚悟してね。私、容赦はしないから」

 レズビアンの気持ち良さをあなたに教えてあげる。これを知ってしまうと男なんか要らなくなるのよ。

 その晩、私たちはお互いに身体を求め合い、中野さんは二回、私は一回昇った。


 充分に満足感を得た。気になっていた彼女をタップリと堪能した。

「中野さんは同性愛者なの?」

「ええ。小学生の頃から好きになる子はみんな女の子でした。課長は?」

「私はバイなのよ。どっちもイケる」

「このまま付き合うってわけにはいきませんか?」

「残念。私、婚約者がいるのよ」

「男の人ですか?」

「もちろん」

「どう言う人なんですか?」

「オーナー会社のボンボン」

「ボンボン?」

「そっ。お金持ちのボンボン」

「いつ結婚するんですか?」

「さぁ、何時かしらね」

「決まってないんですか?」

「全然」

 婚約者の谷本は女の子との夜の活動に忙しくしている。婚約者がいるのだからそれは俗に言う浮気なんだけど、谷本自身には浮気をしているという自覚はまったくない。自分の気持ちに正直に可愛いものを愛でてるという感覚でしかない。


 谷本の浮気を知ったのは正式に婚約者となってすぐのことだった。バレたのではなく極々普通に、プロフィールの一部として趣味を語るようにサラリと言われた。

──そうそう今、付き合ってる女の子が三人いるんだ

 最初、何を言われているのかまったく理解出来なかった。

 谷本の言い分によれば、身体だけと割り切った関係の女の子が三人いて日常的な性欲はそこで充分に処理出来ていて、私には谷本家の嫁として子を産み育てる存在であって欲しいらしい。

──君に性的関係を求めることはない。君との性的関係は子作りのための手段でしかない

 その時、『愛人の二人や三人、抱えてもらっても構わないぞ』とまで言われたのは私がそんなこと出来そうもない女だと思われたからかも。

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