第5話 中級ランクへの挑戦
ティオは、ストーンヘイブンを抜け出し、
グラニス山脈へ向かう道を歩いていた。
今回はGランクではなく、Bランク以上を狙う冒険者たちと
共に挑む中級ランクの依頼だ。
「ここが…グラニス山脈か」
道中、険しい山並みが連なり、冷たい風が吹き抜ける。
胸に高鳴る期待と不安が、同時に押し寄せる。
「僕は…ついていけるのか?」
同行するのは、レオと数名の中堅冒険者たち。
その中で、ティオは自分の立場がまだ小さいことを痛感する。
しかし、師匠であるレオの背中を追いながら
一歩ずつ進む覚悟を固めていた。
山脈の中腹に差し掛かると、依頼内容の魔物の気配が漂う。
岩の間から黒い影が動き、ティオの心臓は跳ねる。
「これが…中級ランクの敵…!」
小さな体が自然と緊張し、剣を握る手に力が入る。
最初に現れたのは、三つの頭を持つ獣。
普通の魔物より大きく、牙と爪は鋭く光る。
ティオは深呼吸し、昨日までの経験を思い出す。
「焦らず、基本を忘れず…!」
レオは冷静に指示を飛ばす。
「ティオ、右の岩影から斬り込め。体重移動を意識しろ」
ティオは剣を構え、指示通りに動く。
体が少しずつ連動し、剣先が魔物に届く感触を覚えた。
最初の一撃で獣は怯み、仲間の冒険者が連携攻撃を加える。
小さな勝利が、ティオの胸に自信を生む。
「僕でも…やれる!」
目の前で仲間が戦う光景が、彼の決意をさらに固める。
だが、戦いはすぐに激しさを増す。
三つの頭の獣は連携して攻撃を仕掛け、仲間も危険に晒される。
ティオは反応が一瞬遅れ、横腹に軽い傷を負う。
「まだ…まだだ…!」
痛みをこらえ、剣を振り続ける。
そのとき、レオが横合いから飛び込み、魔物の攻撃を防ぐ。
「焦るな、体を信じろ!」
その言葉に、ティオは再び気持ちを立て直す。
剣の軌道を意識し、体重を移動させながら攻撃を重ねる。
一撃一撃の感覚が、昨日よりも確かに体に馴染む。
魔物の動きのパターンが少しずつ見えてきた。
連携攻撃、跳躍、斬り込み――
体と剣の一体感を感じながら、ティオは戦い続けた。
長い戦闘の末、三つの頭の獣は倒れ、森は静寂を取り戻す。
ティオは膝をつき、息を整える。
肩や腕には傷が残るが、胸には確かな達成感があった。
「よくやったな、ティオ」
レオが近づき、肩に手を置く。
「まだ完璧じゃないが、成長は見える」
その言葉は、疲れ切ったティオの体に力を与える。
依頼の報告をギルドに提出すると、ナリッサが微笑む。
「随分たくましくなったね、ティオ」
ティオは汗まみれの顔でうなずき、軽く笑った。
「まだまだだけど…少しは強くなれました」
夜、ギルドの宿に戻ると、ティオは星空を見上げる。
広がる夜空は、冒険者としての可能性を象徴するようだった。
「僕は…もっと強くなる。もっと、あの人に近づくんだ」
胸の奥で誓いが膨らみ、未来への希望で心が満ちた。
翌日、ギルド長ザレクが静かに言った。
「お前の成長は、次の試練で試される」
ティオはうなずき、剣を握り直す。
「わかりました。僕、必ず強くなります!」
こうしてティオは、中級ランクの挑戦を乗り越え、
少しずつ剣士としての階段を登り始めた。
小さな勝利、痛み、そして学び――
すべてが未来の剣聖への礎となる。
冒険の道はまだ長く険しい。
だが、ティオの目には、かつてないほどの決意が光っていた。
「僕は…剣聖になる!」
小さな少年の大きな夢は、確実に形を取り始めたのだった。
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