ガタリンピックへの遠い道…。

「……うう、もうダメだ。私の胃壁が、有明海の干潮よりも早く干上がっていく……」 

鹿島市観光協会、もとい暗黒観光協会(K.T.A.)の地下トレーニング施設。 仲田(なかた)事務局長は、泥が詰まった巨大なランニングマシンの上で、四つん這いになって喘いでいた。 


「あら仲田さん、まだ目標の時速200キロに届いていないわよ? 魂(アニマ)が抜けているんじゃないかしら」 

優雅に扇子を仰ぐのは、広報担当のマダム・アルモニアだ。 彼女は仲田をペットのように扱い、数々の「恥ずかしい広報活動」を強いる天才である。 


「アルモニア様……時速200キロで泥の上を走るなど、物理法則が鹿島市の条例を無視しています……っ!」


「いいから走りなさい。これは『ガタリンピック』を世界規模のMA(機動兵器)競技に進化させるための、崇高なデモンストレーションなの。あなたが泥を蹴り上げる衝撃波で、この1000枚の観光ポスターを干潟一面に貼り付けてきてちょうだい。失敗したら、一ヶ月間ワラスボの生け作りしか食べさせないわよ?」 


「ア、アニマの御心のままに……っ!(もはや胃薬を飲む握力さえ残っていない……!)」 

同時刻、道の駅鹿島のほど近く。


「わぁぁ🌼 見てだぉ🌼 仲田さんが、泥んこになって回転車の中のハムスターみたいに走ってるぉ🌼」 


**鹿島 幸来(ゆき)**が、『ムツゴロウ・ショルダー』を揺らしながら無邪気に指を差した。 


「おいおい、あれはただのハムスターじゃねーぜ🌸 権利関係ギリギリの、某・泥まみれスポーツ漫画の特訓シーンのパクリにしか見えねーぜ🌸」 

山本 マキは『ワラスボ・ポーチ』で仲田の移動速度を計測し、呆れたようにツッコミを入れた。


「あたいの解析によれば、あのオッサン、あと5分であの世の『ドリームランド』に旅立つ計算だぜ🌸 鹿島市の観光資源を身体(とはらわた)で守るにしても、限度があるんだぜ🌸」 

その時、マキのポーチに、ノイズ混じりのシリアスな通信が飛び込んできた。


「(通信音)……マキ、幸来。仲田の無様な姿に惑わされるな。……奴はあの過酷な訓練の裏で、ガタルギアの機体バランスデータを泥の飛沫(しぶき)に紛らせて送信している🥷」 


泥の中から、**WRSB(ワラスボ)**の冷徹な声が響く。 彼の語尾には、もはや一切の華やかさ(🌸)はない。 


「(通信音)……俺も今、泥に同化してデータの回収に当たっている。……仲田、死ぬなよ。君の胃が壊れるのが先か、俺が泥に沈むのが先か……勝負だ🥷」 


「勝負するポイントが間違ってるぜ🌸」 

マキが鋭いメタ発言で切り捨てた瞬間、仲田を乗せたマシンが過負荷で爆発。 泥まみれの事務局長が、鹿島の夕空高くへと舞い上がった。

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