第6話
「知らないか? ……ああ、知らないかお前らは」
「なんだよ」
返答にむっとするノールを抑えて先を促すと、クリフは若干言い辛そうに口を開く。
「昔、お前たちがナニでモメたか知らねえけど、チームまで凍結した挙げ句一回別れてムーサを離れてた頃があっただろ。その頃に未調査海域に見つかった奇妙な鉱脈があるんだ」
「奇妙って、どう奇妙なのさ」
「俺には
――採掘師潰しの鉱脈、とも言う。
クリフは声を潜めてそう呟いた。
「採掘師、潰し……」
不安と不穏しか感じない物騒な呼び名に、ノールの目がおれに向いた。おれもそれには不安を視線で返す。
「見つかったばかりの頃の調査は上手く進められなくてすぐに終わったはずだ。そんで、調査の後海域ごと封鎖されてたんだけどよ。最近また調査が入ることになったらしい。……それこそお前らが一度別れたあの時期から続いてる鉱脈の枯渇で減った採掘量をまた増やせる場所になるんじゃねえかって、ムーサの統治者なんかも噛んでる計画が進んでるとかなんとかでな」
「へえ……。あんまり関わりたくない話だな」
ノールは軽い相づちで返す。話が面倒臭そうになってきたって雰囲気だ。
「偉い人ぽいのが話に出てきたとたん興味なくすの良くないと思うよ、ノール」
「……だってさあ」
この街の周辺では、もう何年も前に、鉱脈が枯れ始めたという騒ぎが起きていた。
今それは、星全域にある既存の鉱脈に着実に広まっているという。
いるんだけど、枯れが広まる以前のムーサでは、それを守らず採掘を続けてきた見せかけの豊かさがあった時期があった。その頃の採掘量と比べたら、今は半分以下って話だから、かなりの採掘量があったんだろう。
その頃の反動が枯渇の原因じゃないか。そう囁かれているくらいだ。
仮初めの黄金期が全て悪かったとはおれには言えない。星の繁栄も、技術の発展も、そしておれ自身も、その時期があってこそ今に繋がってきているから。
とはいえ、星が人を養わなくなれば、自然と人は星から離れて行ってしまう。
それでは鉱脈が枯れていくのと同じ速度で星が衰えていくことになるわけだ。
過去の栄華が忘れられずに縋るという線も大いにあるとしても、星の発展の可能性があるというなら物騒な鉱脈でも手を出したい、特に偉いひとならばそう願いたくなる時期なのかもしれない。
おれたちにその仕事が回って来るか来ないかは別として、そんな動きがあるというなら、ムーサで仕事をする以上は噂すら知らないままってわけにもいかないか。
おれはもう少し詳しく、とクリフに続きを強請る。
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