第10話 闇を背負いし彼らが築いた、光のあふれる居場所



「「お帰りなさいませ、お嬢様!!」」」


日野「本日のおすすめは、ダージリンティーでございます」


「ひゅー、日野ちゃん、かっこいいーーー!」


「あ、あの、東條さん、チェキ一緒に撮ってもらっても」


東條「ええ、お嬢様とでしたら喜んで」


店は大盛況。


優真がパリピ仲間も連れてきてくれたから満席御礼だ。ほとんどが見知った顔となっている。

これなら仲間内のノリの延長みたいなので楽しめる。助かるな。


ゲン「」


———店長、さっきから機嫌わっる!!!


やべ、過去一機嫌悪い気がする。あまり出さないようにしてるみたいですけどスタッフにはバレてますよー店長ーーー??


『優真ーーー!!!!すかーとめくらせろー!!!』


優真「あぁん♡ご主人様、おやめくださぁい♡(自分からチラ」


『ひゅーーーー!!!!』


ゲン「ご主人様、メイドにそのような対応は大変困ります」


店長の殺意の波動がハンパない


優真「んだよ、盛り上がってんだからいいじゃんよけっちぃな、【店長】」


「なんだー?店長呼びってことはおまえら今日喧嘩中ー?」


ゲン「おまえもおまえだ、優真。ここはそういう店じゃない。わきまえ

ろ」


優真「ちぇ、はーーーい♡てんちょ♡かしこまりぃー!!」


ゲン「💢💢💢」


店長、今日殺人までいかなきゃいいなぁ(遠い目)


フォロー入れておくか。


柚原「優真!最低限、SSSとしての品格は保てよ!」


優真「あ、はいっ!承知しました!」


ゲン「…………柚原や東條さんの言うことは素直に聞くくせに」


柚原「店長に甘えてるんすよ、まぁ仕事なのに困りますけど」


東條「あいつにとってここは半分遊びなんじゃないか?困ったやつだ」


日野「だからこそ盛り上がるってのもあるから、まぁ今日は無礼講ってことで♡あ、はい!お嬢様、お呼びでしょうか!」


みんなそれぞれ仕事している。


柚原・優真「萌え萌えきゅんっ❤」


優真と息のあった萌え萌えきゅん。これでオムライスも美味しくなるはず。


ゲン「ゴゴゴゴゴゴゴ」


店長の殺意さえ無ければ———。


「優真ーー!!ポーズ撮ってー」


優真「はーい❤ご主人様♡なんなりとお申し付けください♡」


柚原「て、店長」


ダメだ、店長がスーパーサ〇〇人になっている


ゲン「オレのことは気にするな」


柚原「店長!一人称が微妙にサイ〇人になってます!お気を確かに!!」


優真「店長❤五番テーブルに愛のオムライスひとつ♡ついでにキス要求されましたのでほっぺ軽くつついてかわしておきました♡」


アァァァァ!!!店長が一気にスーパー〇〇ヤ人4になった!!!!


ゲン「出禁にしよう」


柚原「まだギリセーフっす、ギリセーフっす!!!」


ゲン「離せ柚原!これは許せることではないんだ!!!」


柚原「次!次何かやったらそうしましょ!ね!?」


一応念の為っと……


柚原「五番、要警戒」


インカムで全スタッフに警告は出しておく。


調子に乗ったお客様からスタッフを守るのもチーフの仕事だ。


ゲン「柚原…………めちゃくちゃ胃が痛い……」


柚原「あ、胃薬取ってきますね!!」


なんだ、今日オレの仕事、多すぎないか?

店長の介護もしている気がするぞ?


———


薬を持って店に戻ると、



柚原「え、う、うそ」


彼女「えへ、、来ちゃった」


目の前が真っ暗になった!!!


柚原「なんで!!!ここ事前チケット制なのに!!」


日野「私があげた♡」


柚原「なんてことを!!!」


彼女「ダメだったかな。。」


柚原「えっ、あの」


日野「おかえりなさいませ!お嬢様!!」


「「「おかえりなさいませ!お嬢様!!」」」




うあああああああああああぁぁぁ




店長ー!店長!!!そんな『胃痛仲間だな』って目で見ないでください!!店長!!!!たすけて!!



柚原「店長………先程はすみませんでした。五番テーブル出禁にしていいので彼女のこともいっそ……」


ゲン「交渉のつもりなのか知らんが彼女さんは何もしていないだろう……」


うぅ、つらい。。。



カチャリ



柚原「本日のおすすめ、ダージリンティーでございます、お嬢様」


彼女「ありがとう、あの、その、」


柚原「は、はい」


彼女「かわ、いいね」



柚原「……………………………(やばい、全然嬉しくない)」



店長!!だから仲間だなって顔でこっちみてこないでください!!!



柚原「なにか、食べたいものはございますか?」


彼女「じゃ、じゃあ柚原く……ちがった、今日は柚ちゃんなんだっけ?」



———だれかオレをころしてくれ



柚原「どちらでも構いませんよお嬢様のお好きに」


彼女「じゃあ、柚ちゃんの萌え萌えきゅんっ❤オムライスが食べたいな!」



———だれか俺にトドメをさしてくれ



柚原「店長…………4番テーブルに………萌え萌え………うぅ、」


ゲン「生きろ。お互いにな」


柚原「あと、1時間……最後の30分は俺と優真のショーステージだから逃げ切れるはずだ」

……あれ、店長が拳を強く握りしめてる。どうしたんだろう


柚原「店長?」


ゲン「…………………なんでもない」



もともとこのステージは店長と優真がって予定だったんだけど、店長が当初女装を拒否ってたため、オレに出番が回ってきた



柚原「………気にしなくっていいのかな」



———



ん?店内がざわつき始めた



いったいなにが———



店長!五番テーブルのお客様が4番の方にちょっかいかけています!五十嵐が対応中」



インカムでそう聞こえた瞬間、オレはぞわっとした。4番って!!




ゲン「すぐに行く」



あ、店長の怒りが。もうこれダメだ


五番「なぁ、キミはメイドちゃんやらないの?」


彼女「え、いえ、私は」


優真「おい、タクマ。流石にそれは調子に乗りすぎだ、やめろ」


ゲン「いい加減にしろ。」


優真「ゲン………じゃなかった、店長!」


ゲン「お前らはもう客じゃない、出禁だ。金はいいから帰れ」



店長の怒りがピークに達してる。


あ、しまった。これ、さっき出禁にさせるべきだったのかも。店長の判断は正しかったんだ。止めるべきじゃなかったんだ。



柚原「大丈夫!?」


彼女「大丈夫、ありがとう。あの、店長さんもそんな大したことでは無いのでそんなに怒らないであげてください。お騒がせしてすみません」


五番「おいおいこっちはご主人様、だぜー?」


柚原「こいつ、、!」


ゲン「だからおまえはもう客でもなんでも」


「はいはーい、そこまでーーー」



聞き慣れた声が聞こえてきた



柚原「咲夜さん!!」



こういうときのための用心棒!!!



咲夜「おいたはだめよ?ね?よいこでいられるねー??それとも、反省、してない?おじさん、めってしちゃおうか?」


タクヤ「う‥。さ、咲夜・・・さん」


咲夜さんは常連の中では知らぬ者はいない有名で、咲夜さんにはだれもかなわない、そんなこと、みーーんなわかってる。ふ、勝ったな!!



タクヤ「す、すみません・・。調子に乗り過ぎました・・。今日は、もう帰って頭冷やします。お金もちゃんと払います。・・ごめんなさい」


咲夜「よし、100点!!」


こうやって、すーぐ点数つけたがるのも咲夜さんの癖なんだよなぁ。なんか、誰かの指導役経験とかあったりするのかな?っと、俺が気にすべきはそっちじゃないや!


柚原「無事だった?」


彼女「うん、大丈夫だよ」



東條さんがお会計を済ませている。一応反省もしているようだし出禁は見送りなんだろうか。知り合いみたいだし、これからの会議次第かな



———ざわ、ざわ



まずい、今の騒ぎでちょっとお嬢様たちが動揺されてる


この状況、どうやって挽回すれば



「レディースエンド、ジェントルメン!!」



「「!!??」」



ステージに。

まさに華が咲いた。




優真「お騒がせしてごっめーん!!これから、私、五十嵐優真ちゃんのワンマンラーイブ!そのあとは柚ちゃんとのショータイムだよっ!!」



ゲン「優真……!勝手なことを」


日野「いや、いまお客様の動揺を止めるには1番効果的だと思うよ」



すごい。一気に盛り上がっていく。即興でこんなことが出来るなんて。さすが超有名パリピの名は伊達じゃない!!!



東條「なんだかんだ、救われてはいるな。あいつに」


日野「そうですね……」


ゲン「………」



——————





咲夜「……ったくよ。みんな、いい顔してんな……」


———星矢たち、よくここまで作ったよな。あの地獄の屋敷から、こんな笑顔の場所まで。アイツらが守った 居場所”が、ちゃんと 楽しい”になってる。しかもーー、そこに、優真がいて、あんなに無邪気に笑ってるとか……


(少し笑う)



咲夜「……俺の出番、もうねぇかもなぁ」


———いや、違ぇか。こうして、遠くから見て笑ってりゃいいんだ。今はもう、こいつらの番だ


———でもな、なんかあったらすぐ飛び込んでやるからな。

そのときは、 用心棒ってのが、まだ現役ってことだ





(着信)


咲夜「ん・・?もしもし。あ?うちの会社のパソコントラブルぅ?おいおい、勘弁しろって。どんだけ重大情報あると思ってんだ。わーーったわかった。いまちょっと、SSS抜けて見てやるから騒ぐな」


柚原「咲夜さん?」


咲夜「わり、星矢に伝えといて。ちょっとうちの何でも屋事務所のPCトラブル。30分か一時間くらい抜けるわ。終わり次第すぐ戻る。うちのスタッフがぱにくりちらかしてる以外は、重要性はそこまで高くはねぇから、なんかあったら気軽に電話してくれって言っといてくれ」


柚原「はい、了解です!」





咲夜からトリオへのLINEグループメッセージ



咲夜「SSS、みんなマジで楽しそうでしたよ。特に優真。 あいつ、女装似合いすぎて天使降臨してたんでこっそり証拠写真送っときますね😆✨」


(画像添付:くるっと回ってピースしてる優真のメイド姿)



利人の反応(数秒後、冷静に即既読)


利人「……想像以上に完成度が高い。やはり彼は天使と評するにふさわしいですね」

(静かにPCに保存済み)


「安心しましたよ。彼が笑っているなら、それが・・、私たちトリオが、本家の闇から唯一、光を守りきれたという、何よりの成果だ」





龍崎の反応(爆速で既読、既に拡大して見てる)


龍崎:「……クッソかわいいじゃねぇか」

「なんだ?これ、アイツ本当に群三の血か?ってくらいピュアじゃねぇか……」

「保存っと……つーか咲夜、お前コレもっと撮ってんだろ?全部出せ。」


(ちょっと感動してるし、心底安心してる)


龍崎「あいつを守ること。それが・・・。俺たちトリオが、本家の暴虐からまもりきれなかったやつらへの、罪悪感を埋める、・・唯一の贖罪方法だ」



咲夜(返信しながら笑ってる)


「……みなさんもそうなんですね。俺もちょっと……泣きそうになっちまったんですよ」

「みんな本当に…… 笑ってたんで」


「優真が ここが好きって顔してんの見て……」



「……あぁ、やっぱ、SSSは。なくちゃならない場所で。守らなきゃならない場所なんだなって」



優真「優真ちゃんワンマンライブ、しゅーりょ―!柚ちゃーん!かもーーーん!」


柚原「はーーい!本日のアイドル、柚ちゃんでーす!!れっつ、」



「「ショータイム!!!」」




観客はもはや熱狂状態。でも・・。


舞台の上から、初期メンバーたちの複雑そうな顔が目に入った。


——— 時々、いや稀にだけど、東條さんたち、優真に対して業務態度以外にも当たりが強い気はしていた。



あのときのヘアカラーの一件以来。



何があったんだろうか。



経営陣はなにか隠してるって噂も立っている。


そもそもこんな若い人たちだけで構成されてるのに、どこから開業資金を引っ張り出してきたのか俺にも分からない。


でも変な噂はなだめるのも俺の仕事だし、なにより俺はここが好きだ。ここの人達が本気で好きだ。

守りたいと心から思う。


ただ、この店は光だけじゃないことは察してる。


それが全て明らかになったとき、オレは。店は。お客様は。そして優真は。

どう判断するんだろう。



———だけど。



——————


『ここか。随分と騒がしいな。、まぁ最後の楽しいおままごと騒ぎだけは楽しませてやるか』



オレはまだ知らなかった。


波乱はここから始まるんだってことに。

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紫暮財閥物語<シーズン1>~いってらっしゃいってえがおで~ せら @thera

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