スピンオフ第2話  天使とのデートと付きまとってくる画鋲バラマキの魔の手(後編)

店を出てしばらくしてもまだ気配を感じる



はーーーー、困ったもんだな日野さんも



ん?なんか目の前がざわついてる



って、おいあれ優真じゃね!?



ヤンキーA「おう、てめぇ有名人とかいわれて調子こいてんじゃねーだろな」

ヤンキーB「パリピとか害悪でしかねーんだよ、とっとと消えろ」

ヤンキーC「聞いてんのかコラ!!」



う、うわぁ、嘘だろ、優真、絡まれてる

隣にいるのは女の子?パリピ仲間かな。



彼女「え、ちょ、あの子スタッフにもいた子だよね」

柚原「うん、お、俺、ちょっと行って」



ブーッブーッ



日野さん!?こんなときに



日野『行かないで待機。見てなさい』



はぁ!?優真がピンチだってのに!?



ヤンキーA「おう、こら、なんか言えよ」

ヤンキーB「怖くって何も言えないのかなー?」

ヤンキーC「可愛い彼女連れてんじゃん?俺らに貸してよー!」



柚原「だめだ、見てられな」



優真「あーー、わりぃわりぃ。どうやったら皆さんの機嫌直るか考えてたんだ」



「「は?」」



機嫌って、何言ってんだ優真?絡まれてんのはそっちだろ



優真「とりあえず、俺こう見えて喧嘩はからっきしでさ!弱っちぃから暴力は勘弁してくんねぇかな!」


あいつは眩い程の笑顔でチンピラたちにそう語った


優真「あと、この子彼女じゃないんだよね。クラブ仲間。だからこの子殴るくらいなら俺を殴ってくれと言いたいとこなんだけどさ、」



な、何言ってんだよ優真!!!



優真「(パカ)見ての通り、病気抱えてさ、下手すりゃ死んじまうんだ。だから、機嫌損ねたなら悪かったよ。ごめん。それでここは見逃してくれね?」



優真は土下座こそしないものの、いつものへらっとした口調で手を合わせて謝っている

しかも、弱点であるピルケースまで見せびらかして。



…………んだよ、それ。



優真、人前で大好きなパリピのこともバカにされたんだぞ


お前にプライドないのかよ




ヤンキーA「な、なんだよこいつ、まったく骨がねぇな」


ヤンキーB「つまんねーー」


ヤンキーC「有名パリピ、チンピラにビビって謝り倒す!とかソイッターにあげていい?wwww」


優真「あぁ!全然構わねーぜ!なんなら一緒に撮る?ピースピース♪♪」


ヤンキーA「はぁ?なんだよそれ、調子狂うなこいつ」


ヤンキーB「意味わかんね、気持ちわりぃしもう行こうぜ」



すっかり戦意を削がれたヤンキーたちは優真から去っていた




なんなんだよ、なんなんだこれ、こんなの納得出来るわけ





ヤンキーたちが俺の前を素通りしようとする



思わず俺はヤンキーたちに



柚原「おいちょっと待、」


と声をかけようとして彼女に裾をぎゅっと握られた




その先の言葉は出てこなかった

幸いヤンキーたちにも聞こえてなかったようで素通りされた




心臓がバクバク言っている



日野さんがひょこっと前に現れた。




日野「納得行かないって顔してるね」


柚原「日野さん!行かないですよこんなの」


日野「でも、踏みとどまれたのは正解だったよ。お か げ で 彼 女 は 無 事 でしょ?」



ハッとする


そうだ、あのまま力もないのに絡みにいってたら、この子はどうなってたんだ



優真「あれ、日野さん、柚原さん、それとえーっとすみません、はじめましてですよね?」


彼女「あ、柚原さんとお付き合いさせて頂いております、はじめまして」


柚原「優真!無事か!」


優真「全然へーきっすよ!幸い発作も起きなかったし!!」


日野「賢いやり方だったね、喧嘩全くできないわけじゃないのによく我慢できたね」


優真「ゲンにはなぜか嫌な顔されちゃうやり方ですけどね。俺が身を守るにはこれが最善なので」



またしてもへらっとした顔で言う



日野「いいと思うよ、それに、」




日野「ちゃんと報いは受けてもらうつもりでいるし」



なんだか恐ろしいことを呟かれた気がする




ヤンキーA「でよーー」

ヤンキーB「ほんっとさっきの雑魚すぎたよなー」

ヤンキーC「ほんとそれ。有名人といってもたいしたことねーな!」



ABC「「「ぎゃははははは!!」」」



「おい」



ヤンキーA「あ?」



路地裏から声がかかる。暗くてどんなやつかはわからない



「スタッフから連絡があったんだがな」



ヤンキーB「はぁ?」



「物足りないなら俺が相手になるぞ」



ヤンキーC「あぁ?んだテメー」

ヤンキーA「ぎゃははははは!!有名人さまに勝った俺らに喧嘩売ろっての?おもしれーー!」





「喧嘩を売る?違うな」




蒼い陽炎が揺らめくような、そんな錯覚すら覚える




「買ってやるんだよ」




ゲン「二度と売る気にもならないくらいにな。2人でも3人でもまとめてかかってこい」





日野「かわいいかわいいうちのスタッフをかわいがってくれた子には、然るべき人から相応の報いが無いとね✩.*˚」




背筋が凍る気がしたけどきっと気の所為だと思うことにした




たぶん、いや絶対、売っちゃ行けない相手に売ったんだろな



———翌日、開店前





柚原「はーーー、やっぱり力こそパワーってわけじゃないんですね」


日野「若い男の子ほど力に憧れるものだけどね、場合によっては力に力で対応するより、ああいうやり方のほうが巻き添えは少なくて済むものなんだよ」


柚原「でもプライドはズタボロ、かっこわるいじゃないすか」


日野「柚原くんはどうしたいの、かっこよく見せたかったの?彼女守りたいの?」


柚原「うーーーーでも男ならヒーロー願望は誰だってありますってーーー!ね!店長!」



店長の体が『ヒーロー』と聞いた途端ピクっと固まった気がした


あれ、俺なんか地雷踏んだ?



東條「ほら、口より手を動かしなさい」


日野・柚原「はーい」


そう言えば気になってたことをこっそりと聞く


柚原「あいつらになにかしたんすか?」


日野「別に?ちょっと通る道に画鋲いくつか巻いてあげただけ」


柚原「えっぐ!!!えっぐ!!!」


東條「日野!柚原!!」




「あーぁ、柚原くんのせいで怒られた」と言わんばかりに日野さんに睨まれる




日野さんは怒らせたらやばい、それだけは確信した




日野「(あとは、ちょっと【店長に報告】しただけ、かな。うふふ)」




なにか背筋がまたゾクッとした。本当に、日野さんだけは怒らせないようにしようと誓う。




ー完ー



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