第6話 「天賦の記憶力~満州事変inメソポタミア文明編~」
咲夜がSSSに行くと、優真にめちゃくちゃ指名がついている。
咲夜「おいおい、いくらイケメンで明るくてウケが良さそうな要素持ってるとは言え、……どういうからくり?」
柚原「優真のやつ、すげーんですよ。お客さんの顔、名前、会話内容、来た日にちに時間。とにかく、【人に関すること】なら、ぜんっぶ一発で覚えるんです。だからリピーター率が異常に高くて。」
咲夜「異常なまでの、記憶力……?」
東條「ま、知識面の記憶力は、さっぱりだけどな。何回、オムライスはこの皿、カレーはこの皿、と教えても覚えてくれない」
日野「こないだ、『日野さん、よくわかんないんで、オーダー全部、とりあえずグラタンの皿でいいっすか!?』って言われたときはちょっとひやりとしましたねぇ」
咲夜「なんだその記憶力のギャップのありすぎは!!!」
優真「おっ、カリンお嬢様、もしかして、前髪、少しお切りになりました?とてもお似合いですねー!」
カリン「わかる!?気づいてくれたの優真くんだけよ!?彼氏すら気づいてくれなくて!」
優真「ミサトお嬢様、手の荒れがだいぶ改善されましたね。クリーム、変えたんですか?俺が勧めたクリーム、もしかして試してくださったんですか!?(にぱっ」
ミサト「なんでわかるの!?2回目だよここ来たの!そうなの。前回優真くんに教えてもらったクリームすごく相性よくて。お礼に来たんだけど、3カ月も前に初来店しただけだから、名前すら忘れられてるかなって思ってたんだけど……」
優真「ぜってー忘れませんよ☆(ウインク♪)俺、そーいうの覚えるのめちゃめちゃ得意なんでっ!!」
ーーー
咲夜「っは〜…。ありゃ人気も出るわ」
柚原「でしょー?うちの売上ガシガシ上げてるって話ですよ?歩合だから土日のシフトだけで結構ガッツリ稼いでる感じです」
咲夜「たいしたもんだな……。」
夕立「子供の頃からですね。歴史でも、人物や関連エピソードを覚えるのはとにかく得意で。
そのかわり地理とか事象に関してはダメですね。
国会中継1回見たら、議員の名前も顔も発言内容まで全員完璧把握なのに、こないだの期末テストでは、メソポタミア文明で満州事変が起きたとか書いてました」
咲夜「知識以前にいろいろなことに気付いて!?カタカナ文明で漢字の事件発生はおかしいとかさぁ!?」
東條「国会中継1回視聴で全議員丸覚え!?とんでもなさすぎるだろそれは」
咲夜「(……言われてみたら、あまりにも落差が激しすぎる。まさか。)」
咲夜「夕立。それが起きたの、いつからかわかるか?」
夕立「っえ?そう、ですね……。俺が十歳のときに転校してきて。そのときは割と普通だった気がします。……普通に、織田信長を豊臣秀吉だと回答して間違えてたりしてかな……」
東條「それもそれでどうなんだ?とおもうんだが」
夕立「あ、でも、知り合って半年後くらいに起きたセット誘拐事件。
アイツ、犯人を「全員、はっきり覚えてるっ!」って主張してたかと覚えば、ホントに12歳になる年の、・・4月くらいかな?
そのときに、たまたますれ違った犯人を指摘して、マジで摘発に至ってたので……。」
咲夜「なっ!?」
東條「マジか……」
咲夜「(待て。時期が一致しすぎてる。まさか、まさか!!!その【記憶力の正体って、】!」
ーーー
【トリオ会合】
利人「間違いないでしょうね」
咲夜「利人さんも、そう思われますか」
利人「ええ、ほぼ確定で、【紫暮因子による、常態染色体遺伝病の心臓病の発現の特徴】と一致しています」
龍崎「十歳で誘拐されたときに、発現。その結果、犯人の顔を完全に記憶できる特徴を得た、ね……。利人坊っちゃん。俺も紫暮因子の特徴はざっくりとしか知らねぇんだ。聞かせてくんねぇか」
利人「えぇ。紫暮因子の心臓病は、
正式には『常染色体優性心筋イオンチャネル異常症候群』
……我々の間では通称『紫暮因子』と呼んでいますが、これは常染色体上の特定遺伝子変異に起因する、極めて稀な遺伝性疾患です。
片方の親から変異遺伝子を受け継ぐだけで発症リスクを持つ、優性遺伝の形式をとります。
本来であれば、この変異を持つ者は心臓への負荷に耐えきれず、成人前に命を落とすケースが大半でした。
しかし、この特異性にいち早く気づいた我々の祖先が、徹底した保護と独自の治療体系を構築してきた。
その結果、生存者バイアスにより、現在では紫暮家の血統以外での確認例は皆無となっています。」
龍崎「咲夜、難しいことはわからん。わかるように言え」
咲夜「【普通なら早死にしちゃう、珍しい遺伝性の病気を研究してそれで死なないように大切に扱ってきたから、その方法が確立されてる紫暮家以外の人たちはもうとっくに死んじゃってるよ】、ですね」
龍崎「理解」
利人「もっとも、大切に扱われるなんで言い方は生ぬるいほど、神格化されてきたということですが」
龍崎「っは!病気を神格化、ねぇ。紫暮も紫暮で狂ってんな」
利人「致し方ないことです。高いストレス環境下にて発現。
つまり、心臓病発現のスイッチがオンになると、同時に脳機能にも影響を与えるスイッチがオンになると研究では出ています。
それは、エピソード記憶の強化や、直感力など、さまざまなところで人並み外れた能力を発揮する特性を持ちます。
紫暮家は、心臓病というマイナス要素を研究によりリスク最小化しつつ、その特性を最大限に活かしたため、いまの繁栄があるんですよ」
龍崎「咲夜、つまり?」
咲夜「【その心臓病が発病すると、人並み外れて頭と直感力が良くなる】、ですね」
龍崎「理解」
咲夜「やはり、優真は確定で紫暮遺伝因子保有者なんですね。」
利人「医療データを確認するに、通常の狭心症であれば、ニトログリセリンなどの血管拡張剤が即効性を示すはずです。
しかし優真くんの場合、従来の治療では発作の頻度も重症度も横ばいだった。
ところが、紫暮因子特化の治療プロトコル……具体的には、自律神経へのアプローチと、感情トリガーを考慮した予防投薬に切り替えたところ、発作頻度が月平均4.2回から0.8回へ、回復までの時間も平均12分から3分以内へと大幅に改善しました。
通常の狭心症なら、治療法を変えてもここまで劇的な差は出ません。この改善パターンは、紫暮因子保有者特有のものです。
……つまり、彼の心臓病は一般的な狭心症ではなく、紫暮因子由来のものとみて、まず間違いないでしょう」
龍崎「咲夜。」
咲夜「【紫暮遺伝因子特化の治療法に変えたらすごぶる体調が良くなったようだから、それで間違いないでしょう】、ってことですね」
龍崎「理解」
利人「だとすると、」
龍崎「咲夜」
利人「まだ何も言ってませんが……」
咲夜「10歳の事件はまだ調べないとわかりませんが、12歳になる年の4月に紫暮遺伝因子発現傾向が出たことが紫暮の耳、いや群三の耳に入ったとすれば、」
龍崎「……っ!優真12歳になる5月の、母親喪った火災!まさかあれ、……群三のたぬきの仕業か!?優真ごと消そうとしてた!?」
咲夜「可能性も、動機も充分かと。あの日、あいつは「たまたま」下校時刻を大幅過ぎて帰宅したとのことですから」
利人「なぜ………わかるんですか……。私が言おうとしてたこと……」
龍崎「ふざけてやがんな・・。わかった。こっちでも、火災事件について洗う」
咲夜「わかりました。俺も聞き込みしてみます」
利人「私は、」
龍崎「咲夜」
咲夜「紫暮のほうでも調査する、とのことです」
龍崎「理解」
利人「だからなぜ咲夜くんはわかるのです!?というか今解説必要でした!?」
ーー本編第6話、完ーー
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