第5話 第四話の後日談
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### 『推しのいた隙間』
俺は、ただのファンだ。
社会人。
仕事帰りにライブ動画を見るのが日課。
彼女は推しだった。
ある日、
公式から「活動終了」のお知らせが出た。
理由は書いてない。
体調不良でも、不祥事でもない。
ただ――
**「本人の意思を尊重し」**
コメント欄は荒れてたけど、
俺はなぜか、
変に納得してしまった。
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数週間後。
ライブ映像を見返していた。
最後のステージ。
画質は悪い。
でも、
あの瞬間だけ、違和感があった。
カメラが引いたとき、
ステージ袖の**壁**。
そこに、
彼女の影があった。
立っていない。
**貼りついている**。
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気になって、
拡大した。
壁と壁の、
ほんの細い**隙間**。
そこに、
顔があった。
笑顔だった。
いつもの完璧なやつ。
でも、
目だけが、
**こっちを見ていなかった。**
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次の日。
SNSを開くと、
知らないアカウントから
DMが届いていた。
アイコンは、
真っ白。
メッセージは一文だけ。
> 「まだ
> 応援、
> してくれる?」
指が震えた。
でも、
俺はファンだ。
当然みたいに、
返信した。
「もちろん」
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それからだ。
部屋の壁に、
**細い線**が増えた。
家具と壁の間。
クローゼットの奥。
画面と画面の、黒い境目。
そこに目がいくたび、
胸が高鳴る。
推しを見つけたときの、
あの感覚。
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昨日、
スマホの画面に
小さなヒビが入った。
ヒビの隙間から、
声が聞こえた。
「ありがとう」
「居場所、増えたよ」
画面の奥で、
彼女が笑っていた。
前より、
ずっと薄く。
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今、
俺の部屋は
隙間だらけだ。
でも、
悪くない。
だって、
推しは――
**ここにいる。**
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