第4話 勘違いバトル


森の奥、薄暗い林の中でエリオは立ち止まった。

目の前に現れたのは、先ほどより少し大きな

魔物。黒い毛並みと赤い瞳が、じっとこちらを

見つめている。エリオの心臓は跳ね、全身が

緊張で固まった。


「や、やばい…これは、強敵だ…!」

だが、魔物はじっとしているだけ。まるで何も

考えていないようだ。エリオは慎重に剣を構え、

少しずつ後ずさる。「いや…でも俺、まだ弱いし…

慎重に行かないと…」勘違い全開で、全力で

戦闘準備を整える。


その時、魔物が突然吠えた。

「うわあっ!」エリオは全力で剣を振り上げ、

空振り。枝に引っかかり、木にぶつかる。

「うわあっ!やっぱり攻撃してきた…俺、やばい…」

自分の全力行動も勘違いの一部だと気づいていない。


魔物はひらりと避け、こちらを挑発するように

飛び跳ねる。エリオは「くっ…動くな、俺の前に

出るな!」と必死に構える。足元の落ち葉に滑り

ながらも、勘違いで「俺の剣技は完璧だ…!」と

心の中で宣言する。


木の根に躓き、倒れた瞬間、魔物が近づく。

「うわっ、これは反撃だ!」全力で反撃を試みるが、

剣は空を切り、逆に転がって後ろに落ちる。

魔物はびくともしない。エリオは「くっ…強すぎる…」

とまた勘違いし、全身で戦闘態勢を維持する。


突然、枝が折れ、魔物は宙を舞った。

「うわっ、飛んできた!攻撃か!?いや、防がねば!」

エリオは反射的に飛び上がり、剣を振る。

だが魔物は枝にぶつかっただけで、こちらに害はない。

本人は「やっぱり俺、戦場の神だ…!」と勘違い。


魔物が森の小川に逃げる。エリオは追いかける途中、

足を滑らせて川にドボン。全身びしょ濡れ。

「うわあ…やっぱり弱い…でも…でも…!」

勘違いと落ち込みの狭間で、少年は必死に立ち上がる。


再び魔物の前に立つと、枝の陰からもう一匹が現れた。

「な、二匹!?ちょっと待て、俺、弱いのに…!」

勘違いで全力で警戒し、剣を構えるが、

魔物は遊んでいるだけだ。エリオはそれを

真剣に脅威と捉える。


「俺…まだ弱いけど…絶対負けない…!」

そう叫び、全力で突進。魔物たちは驚いて逃げ、

枝や木の間を縫って跳ね回る。

エリオは剣を振り、足元を滑らせ、枝に絡まり

転がる。まるでドタバタ劇の主役だ。


だが、偶然の連続で魔物は混乱し、林の奥へ

逃げていく。エリオは全力で「勝った…!」と

喜ぶ。汗だく、泥だらけ、枝だらけ。本人は

自分の力で倒したと思い込み、胸を張る。


少し離れた場所で、ヴァルが現れる。森を静かに

進んでいた探索者だ。

「エリオ…いや、これは…君、何やってるんだ?」

驚きと呆れが入り混じった顔で、エリオの

泥だらけの姿を見つめる。


「勝った…俺、魔物を撃退したんだ…!」

全力で胸を張るエリオに、ヴァルはため息混じり

で頭を掻く。「いや…完全に偶然だな。君、本気で

戦ってるつもりだけど…」

エリオは勘違い全開で「偶然じゃない!俺の力だ!」

と力強く言い張る。


森の木漏れ日を浴びながら、エリオは初めての

勝利を噛み締める。勘違いで自分を弱いと思い

込みつつも、無意識に魔物を追い払ったのだ。

「俺…まだまだ弱いけど…少しは強くなれた…!」

心の中でつぶやき、汗と泥を拭いながら立ち上がる。


初めての本格的なバトルは、勘違いと偶然の

連続で終わった。森の中に残るのは、枝が折れた音

と、泥だらけの少年の誇らしげな姿だけ。


エリオは短剣を握り直し、胸を張る。「よし…

次はもっと強くなるぞ…!」勘違い全開の少年は、

また一歩、冒険者としての道を歩み始めた。

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